とてもおいしいオレンジジュースから紡がれた転生冒険!そして婚約破棄はあるのか(仮)

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第二章 熱き炎よギルロに届け、切なる思い

その111

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俺だけにしかわからない様に現れたとしたら、それは何のためだ?

俺がこの世界の他の奴らとは違うから、確かめに来た?でも、パルンガをこの街に連れて来たって、怒ってたな。死んでも地獄だぞ、みたいな事言ってたよな。

さっきは、俺に直接攻撃をしてきた訳じゃないけど、次に会う時にはどんな気持ちで来るかわからない。

もう少し、この街の事を知る必要があるな。



「テテ、どうした?」




「いや、別に。パルンガは、この辺りにエルキーブルって獣がいるから、この辺りに近づいたりしなかったんだよな?」



「オデは、エルキーブル恐くはないど。街で暮らせるから、北の森しかない場所に行っても、あまり用がないんだど」



森しか…?じゃあ、この街は何なんだよ。少し前にこの辺りの事を聞いたら、知らないって答えてたけど、何も知らないってよりは、ごくたまにしか来ないから、変わり過ぎて、今の状況がわからないって事か?



「じゃあ、南だと、どう過ごしてたんだよ?」



「オデ達ゼドケフラーは、神獣と呼ばれてた時もあったんだど。だから、食べ物や住む場所に困らなかったんだど」



「え?神獣…?お前が?」



「クリュケードバリアを張れるのも、オデ達ゼドケフラーだど」



「何だ、そのクリュケードバリアって」



第2大陸のオフジエってばあちゃんも、オーブルバリアで、街とか人を守れるって言ってたよな?また大陸が崩壊しそうな時に、自分の住む街と人を守れるって事か?



「オデ達の住んで生活する場所と住人達を全て守るんだど」



やっぱり、そうか。オフジエばあちゃんと同じだな。意外と役割重いんじゃないのか?だから、ゼドケフラーの成獣は人から敬われていたとかって、前に言ってたんだな。

目の前にいる幼獣はバカ丸出しだけどな。



「お前の家族は、今、南にいるのか?」



「オデ達、5才くらいになったら、1人になるんだど。だから、何処にいるのか、よくわからないど。たまに集まった事はあったけど」



何だ、早く親元離れるってのは、獣の世界そのものだな。見た目が獣だから、当然か。



「偉い住人は、命を狙われるんだど。1つに固まってたら、殺されるんだど」



何だそれ。だから、親兄弟から離れて暮らすのか?

子が幼ければ親が守ればいいだろうが、そんなものは。

自分の子なんだから。

でも、俺の父親みたいに、冷たい奴もいるから、わからないよな。

他人みたいに、冷たくできる才能を持ってるみたいだからな。

でも、きっと、誰に対しても興味がないんだ。

まぁ、そんな生き方をすると、誰からも愛されない。

それは間違いないな。



「パルンガの母さんは、どんな人だったんだ?」



「う?母獣マグか?優しかったど。今でも、覚えてる。優しい目で、ずっと見てくれてた」



優しい目か。そうだよな。自分で産んだ子供だから、自分の分身だから、大切にしてくれる。父親は、自分の腹を痛めてない、ただ子を産むきっかけを与えるだけに過ぎないんだ。だから、冷たくできるんだよ。でも、母親は違う。

俺の母さんも違った。

父さんと違って、優しい目を向けてくれていた。

ただ、ある時から…。



「テテの母獣はどうだったのか?」



「母さんの事か?同じだよ、お前と。多分、何処の母親も同じだと思うよ」



「…前にこの世界が壊れてから、会ってないけど、またいつか会ってみたいど」



星の崩壊…。そうなってから、大陸はまだ復活途中なんだろ?とても、その辺の話は聞きづらい。

その星の崩壊がいつ起きたのかわからないけど、お前は生き延びたんだな。

お前が生き延びたんなら、お前の仲間の誰かがクリュケードバリアってのを張ってくれたんじゃないのか?

だったら…。



「きっと、そのうち会えるよ」



そのためにも、お前は早くベルダイザーを探して、成獣になれよ。
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