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第二章 熱き炎よギルロに届け、切なる思い
その163裏
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「よお!」
ポン!
「やあ!」
ポン!
「浮浪殲滅部隊隊長カルケヤンよ、弁帝街周辺の状況を報告せよ」
「この街の周辺における警備状況は以前とは比べものにならないくらい、平穏そのものでございます。ゼドケフラーの成獣も、もうこの世界に生存していないのでしょう、出くわす事もありませんでした」
「それは何よりだ…。オーロフ族による浮浪殲滅部隊の目覚ましい活躍により、敵対勢力も今は存在しない、そうだな?カルケヤン」
「その通りでございます」
「だが、お前の言葉に聞き捨てならないものが含まれている事に、自身で気づく事ができるかな?」
「どういう事でしょうか?」
「この街に光と闇の両面を見せた存在がゼドケフラーなのだよ。例えゼドケフラーの幼獣であれ、侮る事はできない。ゼドケフラーの全てを駆逐せよと、私は浮浪殲滅部隊に通達したはずだが、お前達の中で私のその言葉が迷走した様だな」
「ゼドケフラーの幼獣程度、恐るるに足らず。ハムカンデ殿も、警戒心がずば抜けて高いのは結構だが、それは杞憂というもの」
「…だから、ゼドケフラーの幼獣をこの街に通した、そう言いたいのだな?」
「その通りでございます」
「不慮の死を遂げたホルケンダの精鋭部隊であるお前達に目を掛けてやった恩を、今仇で返された気分だよ。わかるかね…」
「何を…!」
「ナグ、入って来い!」
ガタッ!
「貴様!?この私をナグに殺させるつもりか!?」
「よお!」
ポン!
「やあ!」
ポン!
「同族であっても目に余る言動だな、カルケヤンよ。お前に見せたいものは、黒眼五人衆の凶刃ではない」
バンッ!
バンッ!
バンッ!
「ハムカンデ様、お連れしましたー」
「よく目を開いて見るが良い。このゼドケフラーの幼獣を…」
ザッ…!
ザッ…!
「ガルルルルルルッ!」
「な、何だ?様子がおかしいぞ。大き過ぎる!これがゼドケフラーの幼獣だって?体が膨れ上がって今にも破裂しそうだ…。しかし、その目は、殺意に満ちている」
「お前達がこの街に通したゼドケフラーの幼獣だ。わかるかね?お前達が犯した過ちを」
「…このゼドケフラーの幼獣に何をした?」
「ホルケンダの誇る浮浪殲滅部隊の隊長が、過ちを認めないのだな。実に嘆かわしい…。しかし、このハムカンデ、その程度でお前達を見限る事などするはずもない」
「よお!」
「ポン!」
「やあ!」
ポン!
「さあ、このゼドケフラーの幼獣の後始末をこの場で見せてくれ。それが、お前の、お前達浮浪殲滅部隊の汚名返上だ」
「ガルルルルルルッ…!!」
「舐めるなよ、ハムカンデッ!このカルケヤンの刀技、見せてやる…」
「ナグよ、嫌な役割をさせたな。そのゼドケフラーを解放せよ。そこのカルケヤンが倒してくれるそうだ…」
「はいー!」
パキンッ!
「ガルルルルルルゥゥアアアッ!!!」
「くらえっ!」
ビュン…!
ガキッ…!
「どうした?ゼドケフラーの幼獣に振った刀をいとも簡単に受け止められてしまった様だが…?」
「くうっ!この力は、一体…!?」
「ハハハ、弱音を吐きおって。お前の主は今もまだホルケンダのままなのだろう?」
「くうぅっ!!こ、このままじゃ、やられる!ハムカンデッ!何をしている、助けてくれ!」
「私に従順な者達への慈悲なら持ち合わせているつもりだ。特にオーロフ族にはな…。だが、お前はそれに値しない」
「ぐくっ!だ、だめだ!」
「幼獣程度と吐いたその同じ口で、敗北に等しい嘆きを響かせるか。ホルケンダもおもしろい者を隊長に選んだ…」
ザシュッ!!
「ぐっ!はぁあっ!!」
「爪で胸元を深くえぐられたな。だが、お前の敵討ちなど、私はせぬぞ。これは浮浪殲滅部隊の不手際。お前が死ねば、また機を見て浮浪殲滅部隊から1人呼び寄せ、同じ事をさせる。ハハハ、だから安心して死ぬが良い」
ザシュッ!ザシュッ!!
「ギャアアアアアッ!!」
ポン!
「やあ!」
ポン!
「浮浪殲滅部隊隊長カルケヤンよ、弁帝街周辺の状況を報告せよ」
「この街の周辺における警備状況は以前とは比べものにならないくらい、平穏そのものでございます。ゼドケフラーの成獣も、もうこの世界に生存していないのでしょう、出くわす事もありませんでした」
「それは何よりだ…。オーロフ族による浮浪殲滅部隊の目覚ましい活躍により、敵対勢力も今は存在しない、そうだな?カルケヤン」
「その通りでございます」
「だが、お前の言葉に聞き捨てならないものが含まれている事に、自身で気づく事ができるかな?」
「どういう事でしょうか?」
「この街に光と闇の両面を見せた存在がゼドケフラーなのだよ。例えゼドケフラーの幼獣であれ、侮る事はできない。ゼドケフラーの全てを駆逐せよと、私は浮浪殲滅部隊に通達したはずだが、お前達の中で私のその言葉が迷走した様だな」
「ゼドケフラーの幼獣程度、恐るるに足らず。ハムカンデ殿も、警戒心がずば抜けて高いのは結構だが、それは杞憂というもの」
「…だから、ゼドケフラーの幼獣をこの街に通した、そう言いたいのだな?」
「その通りでございます」
「不慮の死を遂げたホルケンダの精鋭部隊であるお前達に目を掛けてやった恩を、今仇で返された気分だよ。わかるかね…」
「何を…!」
「ナグ、入って来い!」
ガタッ!
「貴様!?この私をナグに殺させるつもりか!?」
「よお!」
ポン!
「やあ!」
ポン!
「同族であっても目に余る言動だな、カルケヤンよ。お前に見せたいものは、黒眼五人衆の凶刃ではない」
バンッ!
バンッ!
バンッ!
「ハムカンデ様、お連れしましたー」
「よく目を開いて見るが良い。このゼドケフラーの幼獣を…」
ザッ…!
ザッ…!
「ガルルルルルルッ!」
「な、何だ?様子がおかしいぞ。大き過ぎる!これがゼドケフラーの幼獣だって?体が膨れ上がって今にも破裂しそうだ…。しかし、その目は、殺意に満ちている」
「お前達がこの街に通したゼドケフラーの幼獣だ。わかるかね?お前達が犯した過ちを」
「…このゼドケフラーの幼獣に何をした?」
「ホルケンダの誇る浮浪殲滅部隊の隊長が、過ちを認めないのだな。実に嘆かわしい…。しかし、このハムカンデ、その程度でお前達を見限る事などするはずもない」
「よお!」
「ポン!」
「やあ!」
ポン!
「さあ、このゼドケフラーの幼獣の後始末をこの場で見せてくれ。それが、お前の、お前達浮浪殲滅部隊の汚名返上だ」
「ガルルルルルルッ…!!」
「舐めるなよ、ハムカンデッ!このカルケヤンの刀技、見せてやる…」
「ナグよ、嫌な役割をさせたな。そのゼドケフラーを解放せよ。そこのカルケヤンが倒してくれるそうだ…」
「はいー!」
パキンッ!
「ガルルルルルルゥゥアアアッ!!!」
「くらえっ!」
ビュン…!
ガキッ…!
「どうした?ゼドケフラーの幼獣に振った刀をいとも簡単に受け止められてしまった様だが…?」
「くうっ!この力は、一体…!?」
「ハハハ、弱音を吐きおって。お前の主は今もまだホルケンダのままなのだろう?」
「くうぅっ!!こ、このままじゃ、やられる!ハムカンデッ!何をしている、助けてくれ!」
「私に従順な者達への慈悲なら持ち合わせているつもりだ。特にオーロフ族にはな…。だが、お前はそれに値しない」
「ぐくっ!だ、だめだ!」
「幼獣程度と吐いたその同じ口で、敗北に等しい嘆きを響かせるか。ホルケンダもおもしろい者を隊長に選んだ…」
ザシュッ!!
「ぐっ!はぁあっ!!」
「爪で胸元を深くえぐられたな。だが、お前の敵討ちなど、私はせぬぞ。これは浮浪殲滅部隊の不手際。お前が死ねば、また機を見て浮浪殲滅部隊から1人呼び寄せ、同じ事をさせる。ハハハ、だから安心して死ぬが良い」
ザシュッ!ザシュッ!!
「ギャアアアアアッ!!」
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