とてもおいしいオレンジジュースから紡がれた転生冒険!そして婚約破棄はあるのか(仮)

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第二章 熱き炎よギルロに届け、切なる思い

その197

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「いーぃ、判断だよ…。リョウマ族のくせにさ、素晴らしい判断と褒めてあげるよ」



東角猫トーニャ族のティデ…じゃないこの猫女はムカつくけど、俺はどうしても今日、この街を出なければないないんだ。そのためには、毒薬を飲むしかねえ!

だけど、こいつを別に信用してる訳じゃない。

それは今も変わらない。



「じゃあ、今日のいつ頃に宝酷城ほうこくじょうに侵入するのか話し合おうじゃないか?その時に約束通り毒薬を飲んでくれたら、隠れ布を2人分渡してあげるよ」



パルンガと俺の分で2枚。

毒薬のおまけ付き。



「そうそう、隠れ布は一度被ると、そこから一定時間で効果が切れる。恐らく1時間程度が限界だろう。そうなると、100日くらい経たないと、効果が戻らないからね。気をつけるんだよ」



何ぃ?このクソ女、直前になってそんな事を言ってくるのか?しかも、1時間なんて短くねえか?あの城に行き慣れていて、パルンガが閉じ込められてる様な扉を毎回、気軽に開閉して過ごしてる訳じゃねえんだぞ!

一度失敗したら100日経たないと再チャレンジできないだなんて。でも、失敗したら、そもそも命がないよな。100日だろうが、1000日だろうが、あまり関係ない。



「しかしさぁ…」



「あんた、どうして急に毒薬を飲むなんて条件を受け入れる気になったんだい?」



「他に方法が見つからなかったんだよ。どの道、この街にい続けたら、俺も奴隷にされる可能性だってあるんだ。それだったら、もう賭けるしかないだろう」



「私を…信用してくれたって事でいいのかい?」



テメェを信用する?お前は俺を信用しないのにか?おもしろい冗談言えるんだな、この化け猫わ。第一、俺を城に向かわせてこの街から出れなくしやがったのは、お前だろうが!



「ああ、信用…するしかねえよな」



自分をな。自分の運を信用するしかねえな。



「仕方がなく…という事でも、あんたはやるしかないんだよ。私も命懸けさ、わかっておくれよ」



それだけは全くわからねえな。お前、この家の主人の、オーロフ族が事故か何かで死んだんだろ?それなりに自由があるじゃねえか。別に、今日明日この街を出なきゃならねえ理由なんかないだろうが。

俺に毒薬なんか飲ませようとしねえで、快く隠れ布ってやつを貸してくれればいいのによ。



「日が落ちた時にあの城に行った方がいいのか?」



「この街は、夜更けに怪しげな動きを見せるんだ。それはあの城も例外じゃない。ゼドケフラーを救い出したら、まず私のこの家に連れて来るんだ。そして、消札けしふだを回収するよ。私の分と、そしてあんたとそのゼドケフラーの分も取ってくるといいさ。それからあんたに解毒薬を渡す。この街を出るのは、今日の夜辺りがいいよ」



「夜に怪しげな動き?街の出入り口は大丈夫なのか?」



「ああ、そこまで警戒する必要はないよ。ただ、夕方ぐらいになると、この街に帰る東角猫トーニャ族達と出くわすからね。その時間帯は避けた方がいいのかも知れないねぇ」



「オーロフ族の浮浪殲滅部隊もたまに帰って来るよ。あいつらに見つかった方が面倒臭いか…」



ああ。背中に殲滅とか書いてあった服着てる奴?俺が見た奴は、肌が灰色で、青っぽい結晶のある胸辺りから血管が這ってたよな。みんなあんな感じか?気持ち悪いな。

それで、めちゃくちゃ強かったら最悪だ。

もうこれ以上、敵は作りたくない。

でも基本、この世界には敵しかいないよな。



「さぁ、決めようか。あんたはいつにあの城に行きたいのか、希望はあるのかい?」



夜は止めとけとか言ったよな。だったらよ、もう決まってるじゃねえか。



「この街を脱出できなかったら、この街にいるリョウマ族の屑と同じ道を歩む事になる訳さ。でも、そうなる前に、あんたは私の毒薬で死ぬ。それはあんたに対するせめてもの温情ってヤツでもあるのさ」



ああ、いたな。リョウマ族のクズ野郎が。

待て。今、温情って言ったか?何が温情だ、イカレ猫が。お前、絶対に温情って意味知らねえだろ。



「中々決められないよねぇ?それなら、私から提案してあげるよ。今は、昼下がり。もう少し時間が過ぎてから、夕方より前に城に侵入するといいさ」



「ああ、決まりだ」

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