とてもおいしいオレンジジュースから紡がれた転生冒険!そして婚約破棄はあるのか(仮)

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第二章 熱き炎よギルロに届け、切なる思い

その205

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元々、まともな奴なんか、この世界にいる訳がない。本性が知れて良かったんだ。

ブタウサギめ、今までよくも騙してくれたな。

俺を殺すだなんて言いやがって。

俺との旅は、少しの心も通わさなかったって事か?

そうかよ…。

お前には、俺が負担だったって。そう言いたいのか?俺が邪魔でしょうがなかったって。むしろ、殺したいくらい、嫌いだったんだな。

俺だって、お前の事。

大っ嫌いだよ。

これからはあいつの事を考えなくて済むんだ、これで負担が減って身軽になった気分だ。

さっさと消札けしふだを2人分取って戻ろう。

あの猫女と俺の分だけで十分だからな。

くそっ。

パルンガとのやり取りで今、どのくらい時間が残ってるのか全くわからなくなった。

4階で消札を取ったとしても、元の道を通って城の外に出る時間が残ってるのか?

場合によっては、城の各階の屋根頼りに、外から降りていくしかないかも知れないな。

時間がない、4階への階段を上ろう。

階段を上りながらも、上から誰か来そうで、気が気じゃない。

パルンガとのやり取りの時、俺は声を抑えようとしていたけど、少し感情的になって声を大きくしたり、パルンガも扉をバンバン叩いていたからな。

気づかれてもおかしくはないだろう。

だけど、この城はあまり人が行き来しない様な印象だからな。

気づかれにくいのかな。

でも、4階のどれかの部屋に人がいたら、聞こえてもおかしくはない様な気がする。

どうだろう。

意外と壁なんか、防音素材なのか?

少なくとも、3階のパルンガが閉じ込められていた部屋の扉は、かなり重々しい感じで、叩いて鳴っていた音も低く、あまり響いていない感じもしたからな。

そのまま4階に上がると、その通路にはまた誰もいなくて、静かだ。

無警戒なのか、それとも何か仕掛けがあるから、特に見張りを立たせる必要がないのか。

先に歩いていたオーロフ族も、それについて行ってたシブもいない。

通路の左側には、色々なものが描かれたふすまがあって、柱の色で階級分けされた様な感じがする。ナグに案内された時にここは一度、見ている。部屋には入っていないけどな。柱は、鏡の様に磨かれた黒い柱、黄金色の柱、普通の木にニスでも塗った様な柱がある。

中央側にある黒い柱で囲まれた襖の中が、位の高い人の部屋なんだろうな。

つまりは、ハムカンデの部屋。

でも、消札がハムカンデの部屋にあるとも限らない。

真っ直ぐに歩くと、通路の端に天守層への階段がある。その左側に1人分の隙間がある。そこを少し真っ直ぐに行くと、左に曲がって、そこからまた通路が続いていそうだ。

この上り下りの階段のある通路からそのまま入れる部屋に、重要なものを隠す部屋があるものなのか?

いや、あるものなのかも知れないけど。わからないな。罠が仕掛けられたら、面倒臭い。

この街に入る門も、無警戒で入ろうとしてたら、普通に食われてただろうしな。

ただ、シブがあのオーロフ族を見張り終えて、天守層から階段を下ってきそうな気もするし、迷ってる暇はない。

真ん中の部屋の襖を開けてみよう。

襖には、炎に包まれた鳥の絵が描かれている。

大剣を床に置いて、襖にある取手に手を掛けると、その襖が重くて、かんたんに開かないのがわかる。鍵穴なんかもある訳がないし、またハムカンデの術でもかかってんのかな?

ん?

いや、最初が重いだけで、意外とその後はかんたんに開きそうだな。



ス…ッ。



「うっ…!」



部屋の中に引っ張られる!

くそっ!

何かの罠か?

部屋の中は、畳の敷かれた広さ10畳くらいの部屋が見えるけど、このまま入っていいのか?

ダメだ!引っ張られる力が強過ぎる…!

入る入らないなんて、選べない。

くそっ!一度入るしかねえ!



ガチャッ!



大剣だけは、持って入らないと…!
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