とてもおいしいオレンジジュースから紡がれた転生冒険！そして婚約破棄はあるのか(仮)

第二章 熱き炎よギルロに届け、切なる思い

その231裏

私の操り人形が、いつぞやから紡がれた糸を食い千切ろうと、勝手を働く様になった。

そして今、役割を完全に放棄し、私の計画を台無しにする様な行為に及んだのだ。

さあ、シブ。

罪を贖あがなうのだ。

その身をもって。

元々は燃え尽きるはずの命の灯火ともしびを、このハムカンデが再燃させた。

その時から、あやつだけの命ではなくなっていたのにも気づかんとはな。

その身で受けた恩を仇で返そうとは、正に愚の骨頂よ。

しかし、もうそれもどうでも良い。

古球磨族は用済みだ。

あのゼドケフラーのエズアを完全な手駒にする事に失敗もしたが、古球磨ごくま族のシブとナグがあのエズアの一件で、思わぬ形で私の意のままに動く操り人形に仕上がるのだと、期待もしたが。

屑は、所詮、屑という事だ。

特にシブは、他の古球磨族よりも心の隙が見え隠れしていた。

エズアから受けた致命傷から、本来持つ残忍で攻撃的な古球磨族の本質を発揮し始めたと思ったのだが。

完全な失敗作。

私の操り人形にもなり得ず、そして古球磨族にもなり切れなかった。

それならば、お前の居場所はこの弁帝街べんていがいにはない。

そして、この世にも、お前の存在を置くべき理由も見当たらん。

勝手をしたお前を許しはしない…。

この私に歯向かうなどと、あってはならぬ事なのだ。

この街は、私の存在あって脈打ち、輝きを放つのだ。その恩恵を受け、住み生き長らえる喜びを得たのなら、私に感謝すべきだ。

そう。

誰もが私に崇めよ。

この安息の地を築き上げたのは、紛れもなく私だ。

その私に歯向かう事は、即ち死を意味するという事を、知るが良い。

私のやり方を邪魔するホルケンダは葬った。

決して、もう誰にも私の邪魔はさせぬぞ。



…。



ぐぅう…。



…。



フハハッ。



…封印を解放、せよ。

この現世を光など及ばぬ深遠の闇に堕とし、全ての呪縛から魂を解放してやる。

もう何も恐れる事もない、期待する事も、される事もない。

真の安息の地を手に入れる事になるのだ。



フハハッ。



もう少しだ。

もう少しで…。



はぁ…っ。



はぁ…っ。



この…△△△に平伏せぬ者共に、一瞬であらゆる生命を破綻させる圧倒的な力を見せてくれる。



フハハッ。



フハ、ハ…。



はぁ…っ。



はぁ…っ。



あの忌まわしくも絶大な力を克服し、この世の真の支配者になるのは、このハムカンデに他ならないのだ。