とてもおいしいオレンジジュースから紡がれた転生冒険！そして婚約破棄はあるのか(仮)

第二章 熱き炎よギルロに届け、切なる思い

その289裏

私に牙を突き立てたのだ。この先、波風立たぬ時を過ごせると思うなよ…。

私の彫魔法ジェルタを遮断し、何処ぞの呪術を私に仕掛けてきたな。

お前が何処にいようとも、必ずやお前の身に死が襲うだろう。

このハムカンデを、容易く頭を押さえつけられる猫と思わぬ事だ。

必ずや、後悔させてやる。

しかし、この小僧、手練れの呪術を操る者と徒党を組んでいたとはな。

やはり、このリョウマ族は何かある様だ。

生かすも殺すも、私の指先ひとつで叶わねばならぬのだよ。私がこの世界の再構築に一躍買おうというのだ、それが今のこの地における道理というものだ。

それを邪魔立てする存在というのならば、お前には死んでもらうとしよう。

だが、私が直接手を出す事もあるまい。

小鈴ショウレイはこの戦いで、相性が悪い。

腕を斬り落とされた復讐もあるだろう、黒眼こくがん五人衆のメベヘにやらせればよい。

あ奴ならば、あのリョウマ族に万が一にも敗れても、生死すら気に病む事はない。

メベヘがこの先、私に忠誠を誓おうと、そうでなかろうと、オーロフ族の戦力が整い次第、死んでもらう。

あの呪術使いは一時的に遠ざけた。

今は、あのリョウマ族を殺す事を最優先としよう。

しかし、私が先ほど呪術に手を焼いていた時、私に襲い掛からんばかりの意気込んだ表情を見せたな。

1人はシロク。

珍しく私の命に従ったかと思えば、その様な魂胆だとは。

シロクとハロス、ザロムンガはあの忌々しいホルケンダの飼い慣らした浮浪殲滅部隊の一員にも関わらず、私は奴らの実力を認め、目を掛けてやったというものを。

シロクが姿を見せたが、ハロスとザロムンガが姿を見せないのは解せんな。

何か企んでいるに違いない。

だが、お前達も所詮はホルケンダの息の掛かった下衆どもよ。

この際、お前達も葬ってやろう。

そして…。

私の命を狙うもう1人は、メカリエ。

私の前では忠誠を誓う言葉を並べ、不穏な動きを抑えている様に思えたが、やはりお前もまた所詮は、古球磨ごくま族。

忠誠などというものは存在しなかった様だな。

お前が動くなら、ゲルも感情を抜かれたとは言え、油断ならない。元々、メカリエとゲルは、この街が仕上がって間もなく、私を陥れる様な動きを見せていた。

それにだ、ゲルはシブの亡骸を担ぎ、この私の元へ向かう動きを見せた。

お前の妹を葬った恨みを忘れてはいないのだろう。

私への当てつけをしたな。

メカリエとゲルもまた、葬らねばならん。

シブが夜な夜な魔力を増したオーロフ族を斬り殺しているという噂も、真実。

お前が指示していたな？

メカリエ。

私が本気を出せば、お前達を全て片付ける事など、容易いというものを。

それ以上のものを持ってきたとしても、私には奥の手がある。

私には、2つの力があるのだ。

そのひとつは、身の毛もよだつほどの圧倒的な力。

偶然にも、この辺境の地でこの力を手に入れた私は、明らかな進化を遂げたと言っても良いだろう。

この世界に私が絶対的な存在として君臨する日も、そう遠くはない。