とてもおいしいオレンジジュースから紡がれた転生冒険!そして婚約破棄はあるのか(仮)

sayure

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第二章 熱き炎よギルロに届け、切なる思い

その300裏ノ裏

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ポタッ…。



ポタッ…。



「その程度の傷で済むだなんてよお。やっぱりお前はイカれてやがるなぁ…」



仕掛けを加えた刀、滅多に抜かぬ脇差しが君の奥の手か。

握りで仕掛けを解くと、刀身が5cm毎に切り離され、中心部に通る極めて細い鎖を軸に、刃を蛇の様にうねらせ、刀の軌道を予測困難にさせる。

体勢を変え、刀を引き、遠くへ弾く様に払ったつもりだった。

それでも尚、君のその刀は僕の胸元に襲いかかろうとした。

少しは見直したよ、シロク。

だが、負った傷は深い訳でもない。

君の刀は僕の胸部を捉えはしたが、それは、左上の端。それも、刀の威力が軽減されたものを、避けきれずにかすめる様にして受けたに過ぎない。

僕の動きを封じるには、十分ではなかったのだ。

そう。君はただ、僕の怒りを買っただけ。





「シロク、挟み撃ちでメカリエをォォ、殺すぞぉォおッ!」



「げぇぇ…。太鼓六変人ロクヘンジン、お前なんかと組んで何が楽しいんだ?俺がこいつに傷を負わせてやったんだから、ありがたく思えよ。これで倒せないんなら、お前は首を括るしかねぇなあ?」



ザッ!



愚かな…。

僕から逃げられるとでも思っているのか?



「シロク、何をしている?決着の時だよ…」



「時間の使い方が下手な奴だなぁぁ?今は、俺を追うのかぁ?ゲルがやられたら、次はお前がやられるんだぞぉ?」



余程、僕への今の一撃に全てを賭けていたか?

今更、命が惜しいとでも言うつもりか?

それならこのメカリエに刃を向ける事こそが自殺行為だ。その事を、身を以て、知るべきだ。



「ハムカンデをどうしてもやると言うのなら、もう止めはしないさぁあ。お前に滅多刺しされるハムカンデを見てやるのも一興だしなぁぁ…」



「もう、そうもいかないのは、わかるだろう?シロクよ」



「ハムカンデを斬る前に、刀を君の骨で研ぐとしよう…」



「!?」



「頼むから、動かないでくれ」



その取り繕った険しい顔の奥に、見え隠れする君の怯え…。それが全て、君の表皮に這い出るのだ。

その時、君の喉からどの様な音色を奏でてくれるのか。

さあ、僕に教えてくれ…。

シロク。



「浮浪殲滅部隊のシロク様を舐めるなよぉ?鬼眼鴉キメア族から逃げ回ってるお前に、俺から引導をくれてやるぞぉ」



「笑止…」



「!?」



「シャーーーーッ!!」



蛇の様にうねりながら、飛びかかる刃。その刃は次第にその容姿を変え、僕の懐に入る頃には、恐ろしい毒を持った真っ赤な蛇へと化する。



ハムカンデの…彫魔法ジェルタ!?



ザシュッ…!



「ほう…?よくかわしたな、メカリエよ。この私にも、誇闘会ことうかいの参加を促すとは、その気配り、痛み入るぞ。早速、参加をさせてもらっているが、実に愉快だと、感じている」



シロク、化けた白桃怪シュトケ族の後ろからこちらを覗き見るハムカンデの目は、もはや怒りを超越し、己の脳が感情を識別する事すら敵わない、無を求める冷酷な目をしている。

小鈴ショウレイを負傷程度で済まさず、殺めるまでに至ったメベヘ。うまく制御はできなかったが、それもまた大した違いはない。

いずれ古球磨ごくま族の障害になるものは全て殺すのだから。

僕らは、最悪最強であってこそ、この世において、存在を為す。

僕は、サイクロスの様な失態など、するはずがない。



さあ、皆殺しの時間だ。






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