とてもおいしいオレンジジュースから紡がれた転生冒険!そして婚約破棄はあるのか(仮)

sayure

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第二章 熱き炎よギルロに届け、切なる思い

その311

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「多少はできる様だな。しかし、戦いに多少の躊躇いを感じさせるのは、一流の戦士とは呼べない。お前はすでにゼドケフラーを殺しているのだ、今さら適当に戦って許しを請い、この場を逃れようなどとは思ってはいまいな?」



ゼドケフラーの目つきは鋭く、しかし何故か濁りのない純粋な目をしている。

お前の目は節穴か?

そんなに悪そうな人相をしていない。それなら、何故、この東角猫トーニャ族を見抜けないんだ!?

こいつは悪い奴じゃない。誤解があるんだ。それを何故、聞こうとしないんだよ!

神獣が何だ?

何にも見抜けないんじゃねえかよ!?



「最後に…言う事はないか?」



ゼドケフラーが?

今更だけど…。

ようやく、話を聞く気になったのか?



「真実はただ一つ…」



そうだ、もう一度言えばいい。アンタを認めた証拠だ。今度こそ、ゼドケフラーは話を聞くはずだ。



「君達がそれを聞き入れないのなら、この俺から伝える事は…」



「最早、ないもない」



何言ってんだよ!?

誤解があったと言って、もう一度、本当の話をすればいいんだよ!

今度は、しっかりと聞くかも知れないのに。



「お前があいつの人生を終わらせた。それは何も変わらない。この目でしっかりと…」



見たって、そう言うのか?

おい、東角猫族。

何か言ってくれよ。

それは間違いだって…。



「君達が自負する神獣として、一点の曇りのない目で見極めた結果が、それか?」



「何…?」




「俺の伝え聞いているゼドケフラーの成獣とは程遠い…」



なあ、東角猫族…。

俺はパルンガを救ってやれなかった。

お前は。

お前だけは、あの仲の良かったゼドケフラーの幼獣を、救ってやって…。

欲しかったんだよ。

でもアンタが俺に見せてきた景色は、すでに終わっている事なんだ。もう、何も変える事はできないのは、わかってるんだよ。

でも、つい何か言っちまう。

見てらんないんだよ。

お前の終わり方は、後悔のないものだったか?

それなら、もう…。

それでいい。

ここで、ゼドケフラーの成獣達に殺されても、お前が後悔がないって言うなら…。

それでいいよ…。



「白妖狐仙術・霊王」



もう1人のゼドケフラーも、何かの魔法を使った!?

青白い炎に姿を変えた。

まるで体が炎に溶け込む様に。

人の形をした青白い炎。

もうあんなの、生き物なんかじゃない。



「苦しまぬ様、お前の人生を終わらせてやる。それが、せめてもの情け!」



赤い炎に包まれたゼドケフラーと、青白いのに化けたゼドケフラー。

動きはまるで異なっていても、常軌を逸した動きなのは違いない。

俊敏なこの東角猫族でも、とてもかわし切れるもんじゃない。



ぐっ!?



何処かやられた…かっ!?



胸に深い爪痕が…!

い、痛い…っ!



「星が回る、そして時は繰り返す、空に昇る光を、星空を、そして闇に眠り…また、光を見る」



ゼドケフラーの動きが読めない…!?

青白い炎が通る場所に、たまに大きく炎が燃え上がる。

それが本体なのかもわからなくなる。

跳ね回る青白い炎、流れる様に動き回る赤い炎…。

動きが速い!?

ゼドケフラーは何処だ!?



「星が回るより早く時を駆け、そして貴方に二度出会う。時が時でなくなるまで、永遠を…」



ザシュッ!



くわぁあっ!?



東角猫族、もうまともに反撃すらしないつもりか!?

そして、このまま死ぬつもりなのか?

これ以上、胸をやられると、心臓を破られそう…だ。

痛くて堪らねえよ。

もう、止めてく…。



…。



これじゃ、いけないよな。

アンタがどういう生き様だったか、み…。

見届けてやるよ。

気の済むまで、やってくれよ。

俺は、覚悟を決めたんだから。

もちろん、最後まで。

付き合ってやるッ!



「…永遠を語り続ける」



「さあ、眠るがいい!東角猫族!」



「これで最後だ!」



くそっ!?

でもやっぱり、見てられねえっ!

俺に力を貸してくれた奴の死に様を、ただ指を咥えて見てるなんて、できねえよ!



桜雅穿孔無影一心殺おうがせんこうむえいいっしんさつ!」



「!?」



一体何が起きたのか、わからなかった。

ただ、この東角猫族が放った槍の一撃は、目の前のゼドケフラーを上回ったという事だけはわかった。

どうやったのかわからないけど、ゼドケフラーの2人は、吹き飛ばされ、まともに着地ができないほど、苦しみ、悶えていた。
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