とてもおいしいオレンジジュースから紡がれた転生冒険!そして婚約破棄はあるのか(仮)

sayure

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第二章 熱き炎よギルロに届け、切なる思い

その344

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くらえ、ゲルッ!



「!?」



俺が武器を投げつけそうだって、思っただろう?

当たり、その通りだ。

だからって、勝負を投げた訳じゃない!

この大剣を、かんたんにかわせると思うなよ!?



「うぉおおおおっ!」



東角猫トーニャ族屈指のクェタルドが投じる槍と同じくらいの威力と精度、お前にぶつけてやる!



「…鬼乱技・鉄砕斬てっさいざん!!」



どんな技を出そうとしても、お前の攻撃は間に合わない。

俺の方が、先にお前に届く!



ビュゥウンッ!



ビュウッ!



「!?」



ガキィィン…ッッ!!



「うぐぅ…ぅっ!」



大して距離も空いていないのに、刀で俺の投げつけた大剣を叩き落とした。

大した奴だな、ゲル。

やっぱりお前は強い。

メカリエと同じくらいに強いのかも知れない。

だけど。

ここまで、俺の計算通りだ。



ガチャリ…ッ。



ガシャンッ。



「今度は、お前が刀を落としたな?」



「あの時は、メベヘが刀を落として、傲慢な態度でお前に刀を借りようとして、お前はメベヘの片腕を斬り落とした」



「今度はお前が誰かに刀を借りる番か?それなら、メカリエに借りろよ」



「お前は低姿勢であいつに頼み込む事だな。どうか、刀をこちらに投げて下さいってよ?」



「調子に乗るなぁああっ!?」



「調子に乗った結果、お前が刀を落としたんだよ!」



俺は最初からお前に大剣をかわされずに弾き返される事を考えて放ってんだよ!?

メカリエにやったのと同じ様な、大剣が当たったものに対して、衝撃の強くなる様に、魔力を使ったんだ。

俺の中にあるクェタルドのさっきの技の感覚をたどってやってみたけど、うまくいったみたいだ。

どうだ?刀を落としちまうくらいに、衝撃で手が痺れて、まともに戦えないんじゃないのか?

ちょっとハムカンデにベクトル変えられたくらいで、見当違いの俺に八つ当たりしやがって。

お前はシブがハムカンデに殺された時、お前はシブのすぐ近くに俺がいた事を知っていたのに、刀を俺に振りかざさずに、シブの体を抱き抱えて、ハムカンデのいる宝酷城ほうこくじょうに向かっていったよな?

シブはハムカンデに殺されたんだと気づいていたはずだ。

ハムカンデは、あそこの壇上で薄ら笑いを浮かべて、高みの見物してるぞ?

シブが殺された後、せめて、ハムカンデにビンタでも食らわしてやったのかよ?

この腰抜けが…。

そのまま、ぶっ飛ばしてやる!



「おおおおおっ!」



ブゥンッ!



「!?」



バキィッ!



「ぐぅう…っ!」



バキィッ!



「この腰抜け野郎、かかって来いよ!?」



ドゴォッ!



「傷の状態をハムカンデに操られながら、苦しんで生きていたシブの方が、まだ根性があったぜ!お前はこんなもんなのかよ!?」



あいつが最後に俺を助けなきゃ、ハムカンデに殺される事もなかったのにな。

ハムカンデの、人をおもちゃみたいに操って、言う事聞かなきゃ、捨てるやり方が気に入らねえ。

あの時は、お前もハムカンデに対して、同じ気持ちだと思ってたのによ。



「おお…おッ!」



ゲル。歯を食いしばって、指を振るわせながらも必死に拳を握ろうとしている。

どうした?

俺に根性なしって思われたのが、そんなに悔しいのかよ?



バシィィッ!



「!?」



震える手で、俺の拳を受け止めやがった。



「シブ…は。そして、ハクナは…」



こいつ。

そのハクナはハムカンデに殺されたか?



「お前に…!」



メカリエと違って、ゲルはハムカンデの彫魔法ジェルタに完全に操られているのか?

術で、恨みの相手を間違えるなんて。

情けねえ…!



「そのハクナを殺したのは、どの顔か、忘れちまったみたいだな!?お前の恨みはその程度だったって事だよ!」



「お…お前?」



ザザッ!



「フッ!今のゲルに何を言ったところで、その心に届くまい」



「!?」



しまった!

メカリエに背後を取られた!?



「君はこの戦場で、誰と誰を相手にしているのか、よく認識していない様だ」



「メカリエッ!?」



「卑怯などという言葉は、戦場に存在などしない事を…」



「あの世で猛省し、永遠に後悔するといいさ」



カチャッ。



「終わりだ、偽矢倉郁人…」



「く…っそ…!」



ビュンッ!
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