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第二章 熱き炎よギルロに届け、切なる思い
その355
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俺はクェタルドと意識を同化した事で、東角猫族の姿に変わった。
その後、わずかな可能性に賭け、パルンガを助けようとクェタルドと一緒に、目を閉じたままのパルンガの中にいたエズアの意識に呼びかけた。
その時くらいから、クェタルドの意識が俺の中から消えた。
クェタルドは、パルンガの中にいたエズアと再会できたんだろう。
クェタルドはエズアの意識と、何処かに行ってしまったのかも知れない。
でも、まだ俺は、東角猫族の姿をしている。
それなら、その2人はそう遠くに行ってしまっている訳ではないのかもな。
ただ、クェタルドの意識を感じないというだけでなく、いた時と比べて、力は50%程度まで落ちている感じはする。
それでも、この姿になる前よりも力は格段に上がっているのは、言うまでもない。
この戦いは、長引かせたくはないから、もう決着をつけたい。
だけど、さっきみたいな東角猫族の魔眼と言われた獣猫王琥珀色眼は、今の俺には危険過ぎる。
一時的に、使えたけど、身も心も保たない。
諸刃の剣とも言える。
…。
目の前で険しい顔して、刀を構えているメカリエが、また予想しない何かを仕掛けてくるかも知れない。
それに、あの灰色の目…。
あの灰色の目で睨まれると、まるで俺が本当にサイクロスって人に何かをしたんじゃないかと錯覚する。
妙に説得力のある目をしているのが、心に引っかかる。
俺に見せたあの幻覚は、少し真実を元に再現されている気がした。きっと妖悪鬼は、ずっと前にあの灰色の目の種族に酷い事をしたんだろう。
幻覚の中で、メカリエは灰色の目の女に姿を変えていたな。
古球磨族のメカリエ達の中に、その灰色の目の種族はいるんだ…。
取り憑かれている訳じゃない。
メカリエの様子に、違和感はない。
幻覚の中で、俺の前に現れた女は、妖悪鬼に犯され、殺されたと言った。
俺を、妖悪鬼と。旦那様と。
そして、狂った赤ちゃんみたいなのがいたよな?
まさか…。
その血が、お前ら古球磨族に受け継がれているのか?
「…その灰色の目は、赤くなる目を受け入れなかったみたいだな」
「そんな事を君が気にする必要はないさ。このまま、次の攻撃で君を仕留めてみせよう」
そうか。
だから、血塗られた…呪いの種族。
灰葬楼族と、そう呼んでいたよな?
お前は、言った…。
だからこそ、最悪で、最強でなければならないと。
でも、お前が達成できそうなのは、最悪だけだ。
最強にはなれない。
サイクロスを失って、そんな悲しげな目を見せ続ける奴が、どうやって最強になるんだ?
それは俺にも言える事だけどな。
俺も心に傷を負って、もう治らないかも知れない。
でも、俺はお前と違って、最強を目指している訳じゃない。
じゃあ、いっその事。
最弱決定戦って事にするか?
心にナイフが刺さって、抜けない弱り切った心。
どっちが、先にその突き刺さったナイフを抜けるのか。
俺か?
お前か?
「今の僕は、あの呪術を破られ、魔力もかなり消費している。そして鬼眼も受けつけない状態だ。それに対し、君は覚醒とも言える大きな変化を遂げた」
「それでも、僕に勝機があると思えるのは、やはり君とその姿に違和感がある事に尽きる…」
違和感…か。
それはそうだよな。
実際、俺の本来の姿じゃねえ。
隠そうなんても、思っていない。
「その姿をうまく扱えていない。だから、僕に勝算は大いにあるという事だ。しかし、油断をしている訳でもない」
「しっかりと、確実に止めを刺すつもりさ…」
「この…」
メカリエが一瞬、地面を踏み締めた。
何かを仕掛けてくる!?
来いよ…。
もう1人の俺が生きていた時にやった事に、文句つけてんだろう?
もう1人の俺は、きっと間違っていない。
言葉で惑わされて、死ぬハメになったっていうのが不満なら、今度は俺が力でわからせてやるっ!
「骸ノ悲鳴、異型・重殺…」
俺は負けねえぞ!
勝負だ!
「…?」
その時、後ろの方で苦痛を訴える声が、俺の耳に入って…。
右頬に何かの水滴が当たった。
鉄の錆びた臭い。
…血だ。
「パルンガッ!?」
俺の視線は、メカリエから外れ、パルンガの方に。
その隙を、メカリエは見逃すはずはなかった。
その後、わずかな可能性に賭け、パルンガを助けようとクェタルドと一緒に、目を閉じたままのパルンガの中にいたエズアの意識に呼びかけた。
その時くらいから、クェタルドの意識が俺の中から消えた。
クェタルドは、パルンガの中にいたエズアと再会できたんだろう。
クェタルドはエズアの意識と、何処かに行ってしまったのかも知れない。
でも、まだ俺は、東角猫族の姿をしている。
それなら、その2人はそう遠くに行ってしまっている訳ではないのかもな。
ただ、クェタルドの意識を感じないというだけでなく、いた時と比べて、力は50%程度まで落ちている感じはする。
それでも、この姿になる前よりも力は格段に上がっているのは、言うまでもない。
この戦いは、長引かせたくはないから、もう決着をつけたい。
だけど、さっきみたいな東角猫族の魔眼と言われた獣猫王琥珀色眼は、今の俺には危険過ぎる。
一時的に、使えたけど、身も心も保たない。
諸刃の剣とも言える。
…。
目の前で険しい顔して、刀を構えているメカリエが、また予想しない何かを仕掛けてくるかも知れない。
それに、あの灰色の目…。
あの灰色の目で睨まれると、まるで俺が本当にサイクロスって人に何かをしたんじゃないかと錯覚する。
妙に説得力のある目をしているのが、心に引っかかる。
俺に見せたあの幻覚は、少し真実を元に再現されている気がした。きっと妖悪鬼は、ずっと前にあの灰色の目の種族に酷い事をしたんだろう。
幻覚の中で、メカリエは灰色の目の女に姿を変えていたな。
古球磨族のメカリエ達の中に、その灰色の目の種族はいるんだ…。
取り憑かれている訳じゃない。
メカリエの様子に、違和感はない。
幻覚の中で、俺の前に現れた女は、妖悪鬼に犯され、殺されたと言った。
俺を、妖悪鬼と。旦那様と。
そして、狂った赤ちゃんみたいなのがいたよな?
まさか…。
その血が、お前ら古球磨族に受け継がれているのか?
「…その灰色の目は、赤くなる目を受け入れなかったみたいだな」
「そんな事を君が気にする必要はないさ。このまま、次の攻撃で君を仕留めてみせよう」
そうか。
だから、血塗られた…呪いの種族。
灰葬楼族と、そう呼んでいたよな?
お前は、言った…。
だからこそ、最悪で、最強でなければならないと。
でも、お前が達成できそうなのは、最悪だけだ。
最強にはなれない。
サイクロスを失って、そんな悲しげな目を見せ続ける奴が、どうやって最強になるんだ?
それは俺にも言える事だけどな。
俺も心に傷を負って、もう治らないかも知れない。
でも、俺はお前と違って、最強を目指している訳じゃない。
じゃあ、いっその事。
最弱決定戦って事にするか?
心にナイフが刺さって、抜けない弱り切った心。
どっちが、先にその突き刺さったナイフを抜けるのか。
俺か?
お前か?
「今の僕は、あの呪術を破られ、魔力もかなり消費している。そして鬼眼も受けつけない状態だ。それに対し、君は覚醒とも言える大きな変化を遂げた」
「それでも、僕に勝機があると思えるのは、やはり君とその姿に違和感がある事に尽きる…」
違和感…か。
それはそうだよな。
実際、俺の本来の姿じゃねえ。
隠そうなんても、思っていない。
「その姿をうまく扱えていない。だから、僕に勝算は大いにあるという事だ。しかし、油断をしている訳でもない」
「しっかりと、確実に止めを刺すつもりさ…」
「この…」
メカリエが一瞬、地面を踏み締めた。
何かを仕掛けてくる!?
来いよ…。
もう1人の俺が生きていた時にやった事に、文句つけてんだろう?
もう1人の俺は、きっと間違っていない。
言葉で惑わされて、死ぬハメになったっていうのが不満なら、今度は俺が力でわからせてやるっ!
「骸ノ悲鳴、異型・重殺…」
俺は負けねえぞ!
勝負だ!
「…?」
その時、後ろの方で苦痛を訴える声が、俺の耳に入って…。
右頬に何かの水滴が当たった。
鉄の錆びた臭い。
…血だ。
「パルンガッ!?」
俺の視線は、メカリエから外れ、パルンガの方に。
その隙を、メカリエは見逃すはずはなかった。
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