魔gic Operation Girl! HARUKA

sayure

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第1章 怨讐に女童

好機

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鮮血の目を持つクーペリュスと、くせっ毛金髪少女優美留ゆみるは、強力な魔法で一瞬で決着をつけようと、隙を窺う。

少し離れた所で、明花はるかは困惑し過ぎて、意識を朦朧もうろうとさせながらも、少しずつ、彼ら2人の元へ歩み進めていた。

「ドルヴァスク魔幻男爵様に、実力で勝ったと思うのなら、私に苦戦などするはずがない…。要は、魔力が爆走し、偶然にも、それがうまく魔法に繋がった、それだけの事。オルロッド銀銃士団の屈指の、痛々しい魔法使い、という訳だ」

クーペリュスはそう言い、白塗りの様な真っ白の両手を、指先から、徐々に闇エネルギーの影響か、黒い蒸気を発しながら黒く染めていく。

「ボスが死んだのに、近くにいたはずのクーペ、お前が生きてるなんてさ。逃げ足だけは速い、手下なんて、いらないよな」

優美留はそう言い、馬鹿にする様な、乾いた笑い声を出す。





明花は、立ち止まり、メデナリンジェの心の声に耳を傾けた。

『誰かのために戦う事は、皆同じだわ。そうして、皆お互いが助け合って、支え合って生きているのが、人間よ。貴女には、魔力もあるし、戦える力がある。他のお友達なんかじゃ、できない貴女の役割ってものがあるのよ』

メデナリンジェの心の声に、明花は頷いたが、視線は重力がかかったかの様に、地面に向けられたままだった。

『あの子だって、貴女と同い年くらいだけど、戦っているわ。あれも、あの子なりの役割だと思うわ』

メデナリンジェの心の声に、明花は顔を上げ、優美留の後ろ姿を見た。

「…私は、あの子とは、違うと思うんです…」

明花はそう言い、溜め息を吐いた。

『わかったわ、明花。じゃあ、あいつの暴走を、止めて。必死でね。殺すの、殺さないのとか、考えなくていいわ。それは、私が考える。目の前の…あの子を助けなさい。さぁ…!』

メデナリンジェの心の声に、明花は頷いた。そして、今度は、しっかりと優美留とクーペリュスに視線を向ける。





優美留は構えを解いたり、ステップを踏んだりして、クーペリュスの隙を作ろうとするが、クーペリュスは、隙を作らず、さらに闇エネルギーを溜めようとしている。

「…もうお前に残された時間はないぞ。オルロッド銀銃士団の仲間はどうした?呼ばなくていいのか?もう少し待ってやるが、呼べないのなら、終わりだ」

クーペリュスはそう言い、鮮血の目を大きく見開き、優美留の少しでも戸惑い、失望する表情を期待した。

優美留は、両手を横に大きく広げ、にこりと笑った。

「好きにしていいよ、クーペ。お前の勝ちだ。これ以上、あたしの魔力は続かない…」

優美留はそう言い、一歩、二歩とクーペリュスに近づいていく。

それを見たクーペリュスは、憮然とした表情をする。そして、片眉を上げ、不愉快そうに笑う。

「不愉快な雑魚め…。早々に消し去ってくれよう…!」





明花はクーペリュスと優美留の姿を視野に入れ、駆け出そう、そう思った瞬間、背後に荒い吐息が吹きかかる。彼女は咄嗟にその場を離れようと、地面を蹴る…、その直前、彼女の足が地面から離れた。

明花の細い腰を抱え込む様に腕を回し、持ち上げる魔幻とくし。

「ハハハッ!相手がいないのなら、僕が、この魔幻とくしが!相手をしてあげるよ!」

魔幻とくしは、優美留に蹴られた右頬を腫らしながら、そう言った。

明花は、必死に魔幻とくしの腕を外そうと、彼の両腕を掴んだが、力は想像を上回り、中々外せそうもない。

『明花!さあ、私が伝える魔法をやってみて!イメージが大事よ…』

メデナリンジェの心の声に、明花は頷く。





「オルロッド銀銃士団の魔法使い…!さあ、くたばるがいぃい!!」

クーペリュスの鮮血の目は優美留を捉え、その彼女に向けて、彼の両手に燃え上がる闇エネルギーの漆黒の炎が、放たれる…

正にその瞬間、優美留の少し離れた後方で青い炎が吹き上がり、魔幻とくしが回転しながら吹き飛ばされているのが、見えた。

「…何!?」

クーペリュスが、その青い炎にわずかに気を逸らされたその時を、優美留は逃さなかった。

ad'i.grod'ell.midiel.oz.yeze'erエディ グロンデェル ミディエルォズ イーズァア!!」
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