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第1章 怨讐に女童
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図書室は、学校の敷地の中央にあり、校舎とは別の建物で、連絡通路はない。そのため、初等部から高等部の学生が、一度上履きから靴に履き替えてから、行かなければならない。
黒原王土は、勇ましそうな目、端正な顔をしている。
すれ違う女子中学生達は彼を見て、かわいいじゃない、と呟いた。
「黒原君、本は好き?」
丹羽桃華は、黒原王土に話しかける。
王土は、二度頷いて、返事をした。
「たまに本は読むかな。嫌いじゃないよ」
所属している学生から図書室と呼ばれているが、街中にある独立した図書館と見劣りしない大きな建物で、土日は一般人に解放されている。名前は、聖アスガ中央図書館。
靴を脱ぎ、それを鍵付き靴箱に入れ、靴箱上段にあるスリッパを履いて、館内に入る。
建物の隅々にまで敷き詰められた本は、大小サイズごと綺麗に整頓され、コーナーごとにまとめられている。
王土は、本の多さに、納得する様に頷いた。
「いい図書館を持っているね。前の学校じゃ、小さな図書室があるくらいだったからさ。本当、ここまで本が多いとは、驚きだよ」
明花は、王土の顔を覗き込み、声をかける。
「黒原君、どこから来たの?」
王土は、ニヤリと笑みを浮かべ、都会から来た、と嫌味を言った。
「…あ、はぁ…い」
明花は、生返事をし、黒原王土に対する苦手意識を一層深めるのだった。
『明花、聞いてみなさい』
メデナリンジェの声に、明花は眉をひそめる。
「(何て聞くんですかぁ?)」
明花の問いに、
『(鍵なの?貴方…、って言えばいいじゃない)』
メデナリンジェは、そう答えた。
「(…直球過ぎます。バカにしないで下さぃ…)」
と、明花。
『音楽室に誘導しなさい。貴方達の所ではなく、中等部の所のね』
メデナリンジェの言葉に、明花は思わず、声を漏らす。
その声を聞いた丹羽桃華が、どうしたの?と聞く。
「い、いえ。何でもない…」
明花は、慌てて両手を振り、否定のポーズを取る。
「(な、何で、中等部の音楽室…?)」
『…この黒原王土って子の、正体を探る魔法を、私がやろうかな、って思っただけよ』
「(え!?)」
『貴女は、魔法戦闘服の自動呪文詠唱装置を使わないと、魔法は使えないからね。いきなり変身する訳にもいかないでしょうし』
「(メデナリンジェさん…?)」
『中等部の音楽室なんて、行った事がないけど、私わかっちゃったのよ。そこから強烈な霊的エネルギーが私の所まで流れてきて、音楽室の印象が伝わってくるの。そのエネルギー、使えると思うわ。私の今の状態じゃ、魔法は使えないし、貴女の魔力を使うのも、貴女を壊しそうで、少し恐いのよ。だから…』
「(メデナリンジェさん…。行きたくないんですが…)」
『何で?』
「(霊的とか、どうも…)」
『貴女、平気そうな感じよ?』
「…」
『じゃあ、貴女が、魔法を使ってみるのは、どう?』
黒原王土は、勇ましそうな目、端正な顔をしている。
すれ違う女子中学生達は彼を見て、かわいいじゃない、と呟いた。
「黒原君、本は好き?」
丹羽桃華は、黒原王土に話しかける。
王土は、二度頷いて、返事をした。
「たまに本は読むかな。嫌いじゃないよ」
所属している学生から図書室と呼ばれているが、街中にある独立した図書館と見劣りしない大きな建物で、土日は一般人に解放されている。名前は、聖アスガ中央図書館。
靴を脱ぎ、それを鍵付き靴箱に入れ、靴箱上段にあるスリッパを履いて、館内に入る。
建物の隅々にまで敷き詰められた本は、大小サイズごと綺麗に整頓され、コーナーごとにまとめられている。
王土は、本の多さに、納得する様に頷いた。
「いい図書館を持っているね。前の学校じゃ、小さな図書室があるくらいだったからさ。本当、ここまで本が多いとは、驚きだよ」
明花は、王土の顔を覗き込み、声をかける。
「黒原君、どこから来たの?」
王土は、ニヤリと笑みを浮かべ、都会から来た、と嫌味を言った。
「…あ、はぁ…い」
明花は、生返事をし、黒原王土に対する苦手意識を一層深めるのだった。
『明花、聞いてみなさい』
メデナリンジェの声に、明花は眉をひそめる。
「(何て聞くんですかぁ?)」
明花の問いに、
『(鍵なの?貴方…、って言えばいいじゃない)』
メデナリンジェは、そう答えた。
「(…直球過ぎます。バカにしないで下さぃ…)」
と、明花。
『音楽室に誘導しなさい。貴方達の所ではなく、中等部の所のね』
メデナリンジェの言葉に、明花は思わず、声を漏らす。
その声を聞いた丹羽桃華が、どうしたの?と聞く。
「い、いえ。何でもない…」
明花は、慌てて両手を振り、否定のポーズを取る。
「(な、何で、中等部の音楽室…?)」
『…この黒原王土って子の、正体を探る魔法を、私がやろうかな、って思っただけよ』
「(え!?)」
『貴女は、魔法戦闘服の自動呪文詠唱装置を使わないと、魔法は使えないからね。いきなり変身する訳にもいかないでしょうし』
「(メデナリンジェさん…?)」
『中等部の音楽室なんて、行った事がないけど、私わかっちゃったのよ。そこから強烈な霊的エネルギーが私の所まで流れてきて、音楽室の印象が伝わってくるの。そのエネルギー、使えると思うわ。私の今の状態じゃ、魔法は使えないし、貴女の魔力を使うのも、貴女を壊しそうで、少し恐いのよ。だから…』
「(メデナリンジェさん…。行きたくないんですが…)」
『何で?』
「(霊的とか、どうも…)」
『貴女、平気そうな感じよ?』
「…」
『じゃあ、貴女が、魔法を使ってみるのは、どう?』
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