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6桁の数字と幻影ビルの金塊
025 奴隷の塔
しおりを挟むぎゃぁあああああっ!!
思わず悲鳴をあげて、美玲ちゃんの背後に隠れた。
折り重なるように積まれた人間たちと、目が合ってしまったのだ。
それもひとつだけ。
顔の真ん中に、ひとつだけ目があるんだ。
「この屑共のように成りたくなければ、わしに勝負で勝たねばならぬ」
奴隷の塔のてっぺんにある巨大な玉座に座った人影が、落ち着きのある低い声で言った。
「わたしは自分の意思で此処にきた。あなたの指示には従わない」
美玲ちゃんが毅然とした態度でこたえる。
すると、列を成していた人影たちが、ぼくらのまわりを取り囲み始めた。
「ルールに従え、この世界の王はわしだ」
空気が張り詰める。
緊迫した状況に慌てたジョーが、ふたりの会話に割って入った。
「気を悪くしねぇでくれや親分さん、こいつは身の程を知らねぇただのガキなんだ。……え~っとそれで、何をすれば無事に帰していただけるんで?」
「わしと賭けで勝負だ。勝った奴は帰してやる」
「なるほど、ギャンブルって訳かい……」
ジョーは突き出た顎をひとさすりすると、威勢よく声を張り上げた。
「よっしゃあ! 女、子どもはすっこんでな、ここはおれの出番だぜ!」
勝負に前のめりのジョーの袖を引っぱって、美玲ちゃんが耳打ちした。
「だめだよ! 言ってたじゃん、以前ギャンブルで散々痛い目にあったって」
「だからこそだ! 今まで積もりに積もった負けの数はよう、今日の為にあったんだぜ! でねぇと勝ち敗けの割合があわねぇ!」
美玲ちゃんの忠告を無視して、ジョーが玉座に向かって声を張り上げる。
「それで、何を賭けて勝負するってんだい?」
「互いに相手の賭けるものを決めるのだ。お前はわしに何を望む?」
ジョーがニヤリと笑う。
「決まってらぁな、このビルの金塊!!」
それは暗闇に響き渡るような大声だった。
「へへ、お見通しだぜ? こんなに子分を従えてるってことはよう、あんた只者じゃあねえもんなぁ?!」
「いいだろう、わしに勝てば金塊をやる。では……」
玉座に深く座った人影が、少し前のめりになった。
ジョーの姿を観察しているようだった。
「わしが勝ったらお前の目玉を1つもらおう。そのうえで奴隷となるのだ」
そのグロテスクな要求に、美玲ちゃんが思わず口を押さえる。
見ると、ジョーの顎からもぽたりと汗が滴り落ちていた。
「……どうした、臆したか? 目玉をえぐり取られ、もがき苦しむお前の姿を我が奴隷に見せる。そうしてわしの権威は、より確固たるものになるのだ」
ジョーは何も言えずに玉座を見上げたまま硬まっている。
「いまさら後には引けぬぞ。勝負の内容はお前が決めるが良い」
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