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6桁の数字と幻影ビルの金塊
031 ルシファーズ・セブン
しおりを挟む「7番目の芯がアウトだと知ってるのはわたしたちだけ。なら、王が次に芯を2本取るかもしれない」
「そうか……」
ぼくたちは勝ちに最重要な6番目の芯を取る事にこだわりすぎていた。
アウトの芯を知らない王は次も『2』を申告し、6番目と一緒にアウトの7番目を取るかもしれないのだ。
ジョー:○ ○○
王 : ○△ ◎●
↑↑
「ジョーはあえて王の挑発に乗った……。王のプライドに火を付ける為に!」
仮にジョーが『1』を申告しても、次に王が『2』を申告していたら負けていた。
それなら『2』を申告して王のプライドに火を付け、次も王に『2』を申告させる!
「その方が確率は上がるのよ。王の感情に賭けた、プライドの勝負ってわけ!」
美玲ちゃんのまなざしに光が戻っている。
その瞳を見て、ぼくの絶望的な気持ちが吹き飛んだ。
ジョーも美玲ちゃんもまだ勝負を捨てていない。
いまもまだ、戦っているのだ。
「おい、おれを嘲笑ってた奴隷の各々方に問うぜ?! お前ぇらの王様はよぅ、次に幾つ芯を取るんだろうなぁ?!」
「有り得ねぇよなあ?! 最強の王様がよお、大勢の奴隷たちの前でよお……」
「まさか『1』を申告するなんてなあっ?!」
ジョーが次々と罵声を浴びせて王を煽り立てる。
そして玉座に座った人影に指を突きつけ、大声で叫んだ。
「聞かせろやっ!! てめえの命とプライドを張った『数』は、いったい幾つなんでぇ!!」
暗闇が沈黙に包まれる。
一世一代の大勝負。
ジョーは額に、大粒の汗を浮かべていた。
美玲ちゃんも息を呑む。
ぼくの心臓は、破裂しそうなほど早鐘を打っていた。
……いま、長い沈黙が破られる。
…………。
破られ……ない……?
玉座の人影に鋭く突きつけていたジョーの人差し指が、力なく下がっていく。
「おいいぃ~……。いい加減なにか……」
「わたしの申告する数は『1』だ」
威圧感のある、太く濁った声じゃない。
若くて、か細い声ーー。
とつぜん聞こえたその声は、ぼくらの背後から飛んできた。
暗闇の中から小柄な人影が進み出る。
フードで顔を隠した、ローブを纏った少年。
美玲ちゃんと同じくらいの背格好をした子どもだった。
「わたしが王だ。故に二言はない。奴隷よ、芯を1つ取れ」
「……ちょ、ちょっと待って!」
美玲ちゃんが振り返って叫んだ。
「ジョー、逃げて!」
突然の出来事に戸惑っていたジョーが、慌てて走り出すも時すでに遅し。
大勢の人影に取り囲まれて、逃げ場を失った。
「どうした、まるでどの芯がアウトか知っているような狼狽ぶりだな。もっとうまく演技しろ。お前らがイカサマをしてる事くらい、とっくに知っている」
「いきなり現れて自分が王だなんて、そっちの方がイカサマじゃない! あんたこそ、奴隷が芯を詰めている様子を隠れて見ていたんでしょ?!」
「……小娘が」
王がフードを脱いだ。
その姿を見て、ぼくらは息を呑んだ。
小柄な顔の中心に、大きな目玉が1つだけあったんだ。
両手をローブから出し、親指と人差し指を突き立てる。
その指先を顔のまえであわせた。
両手の指で形取られた三角形ーー。
その三角形から、血のように染まる紅い瞳がのぞく。
「わたしは心が読める。故に絶対王者なのだ」
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