緑の丘の銀の星

ひろみ透夏

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第9話 緑の丘の銀の星

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「……きみたちは、ずっとわたしを見張っていたね?」

「当然です! 博士の身の安全を確保するため、つねに監視しておりました!」

 隊員は細長い足の一本をかくんと折り曲げ、丸い体の前にかざした。
 どうやら、敬礼けいれいをしているつもりらしい。

「なら、なぜ早く迎えが来なかったのだ?」

「銀河連合貴族院きぞくいんの判断です。博士の身体に異常がないと報告すると、そのまま外来生物の調査を続行させるよう言い渡されたのです」

「そうか、貴族院か……」

 わたしはすべてを理解した。
 貴族院とは、実際に銀河連合を動かしている中心メンバー。そしておそらく、この黒い計画の黒幕だ。なぜならキリ星人と貴族院には深い因縁いんねんがある。


「そ、そうだ博士!」
 いきなり隊員が、おおげさに叫んだ。

「みんな不思議がっていたんです。なぜ博士は昼も夜も、雨が降っても、小型宇宙船の中に入らなかったのですか?」

 話をそらしたいのが、みえみえの質問だったが、その件に関してはわたしもひと言、文句を言わずにはいられなかった。

「入らなかったんじゃない、入れなかったんだ! こいつはわたしを吐き出して、勝手に地中に埋まったのだからな!」

 それを聞いて、隊員は黒い体をゆらゆらと左右にゆらした。
 どうやら、笑っているらしい。
 バイオロイドではないときでも、あいかわらず隊員の感情はわかりずらい。


「起動!」

 隊員はおもむろに細長い足を一本のばし、地中に半分埋まったわたしの小型宇宙船にふれながらそう言った。
 すると宇宙船は、コマのように回転しながら地上へ浮上し、船体の下部についてる出入り口の扉を開けた。

「やっぱり博士はとんでもない機械オンチですね。この小型宇宙船は着陸すると、自衛じえいのため自動的に地中に潜って船体を隠すのです」

 さらに細長い足をもう一本、今度はうしろにのばして指さした。隊員が乗って来た小型宇宙船も、いつのまにか地中に半分埋まっていた。

「地下に空洞くうどうでも感知したのでしょう。本来なら船体すべてが地中に潜るはずなのですが……。それより急いでください。貴族院がお待ちです」

 隊員は自分が乗って来た小型宇宙船を起動させると、細長い手足でわたしをつまみ上げ、船の中に放り込んだ。

「わたしの宇宙船はここに置いたままにしてくれ! ここへはまたもどってくる!」

 隊員は返事もせずにコクピットに乗り込むと、四方八方しほうはっぽうに細長い手足をのばして小型宇宙船を発進させた。

 振り返れば、背面のスクリーンに風に渦巻く草原と、銀色に輝くわたしの小型宇宙船が映っている。宇宙船は再び回転を始め、船体の半分を地中に隠していた。

 その姿を見つめながら、心に誓った。


 わたしは必ずもどってくる。トモミが『緑の丘の銀の星』と名付けた、あの場所へ――。


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