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第四章 女神に一目惚れした少年と報われない恋
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宇宙空間に戻った私達は、ルイを残して現世へと向かった。
ルイにも一緒に行くかと聞いたが、死んだ身で生者の世界に降り立つのは未練がある人か神様だけでいい、と言ってレンタカーに残った。
現世に降り立った私達は周囲を見渡した。
病院かと思いきや、田舎の一角の自宅と思われる場所だった。
自宅のわりには建物が大きい。
「ここね」
「夢の主の部屋は奥の方かな? そんな感じがするやっさ」
「たしかにそうね。陰の気がこの家の奥側に溜まっているね」
全く何も感じないからわからない。夢羽とソラにはわかるようだ。
「大きいお家だし、せっかくだから玄関から奥に行こうか」
「だねぇ。面白そうだし」
門をくぐった後、大きな玄関を開けずにすり抜けた。
玄関を抜けた先はただただ広いエントランスホールになっており、2階に行く階段と両サイドに扉がいくつかあった。
夜だからか人1人いないが、警備ロボットと思われる物がモーターの駆動音を響かせながら動き回っていた。
「すごい厳重やっさ……。夢の主何者なんだろ……」
「わからないけど、すごい人なのはたしかだね」
私は壁にかかっている表彰状を指した。
「まあ、私達はアレには見つからないだろうけどね」
「だぁるね」
夢羽はくすくすと笑う。
「夢の主は左奥の部屋だね。あそこから陰の気を感じるわ」
ソラが指した所から、白い煙のようなものが外へと漏れ出ていた。
「うわ……この白いモヤモヤって邪気だよね」
「うん、だぁる」
「扉から溢れるくらいだから、かなりの量かもしれないね」
その扉から部屋の中へと侵入する。
広めの部屋のようで、大人が何人か入っても窮屈に感じないほどだ。
周囲を見渡して、奥の方にベッドを見つけた。
そこには、夢の中で会った女の人が、幾分か歳を取ったかなと思われる姿で眠っていた。
もちろん猫ではない。
「夢の中での姿って、その人によって違ったりする?」
「あー、たしかに夢の中の方が若かったやっさ」
「どうなんだろうね? ルリアスに聞いてみようか」
「そうだね」
私は端末を取り出し、ルイに電話をかけた。
「はい。どうしましたか?」
ワンコール鳴ってすぐに応答してくれた。
「ルイは知ってるかなーって思ったんだけど……」
私はさっきの質問をそのままルイに聞いた。
「なるほど……。たしかに、そういう話を聞いたことありますね。まあ、夢ですからね」
「そうだね……」
夢だからねー……。
「じゃあ、この人が夢の主ってことか……」
「そうでしょうね……」
私は夢の主に近づく。
「おやおーや? これはこれーは、いつぞやーの」
邪気の中から突然シルクハットを被った人の形が現れ、それが話しかけてきた。
この特徴的な話し方は、もしかして!?
「なんでこんな所にいる? ハク!」
「キキーキ。私はあらゆる所に存在します」
「ふざけないで! ここで何をしているの!?」
私は双子銃を構えた。
「おーこわーいこわーい。私はたーだ、人間が邪気を溜め込ーんで死んだー場合、どういう形で輪廻の間に現れーるのかが知りーたいだけでーす」
ハクはどこから出したか知らないが、ステッキを右手でぐるぐると回している。
そしてそれを逆さに持ち、持ち手を私に向けて叩きつけてきた。
「重た! なにあのステッキ」
右手の双子銃でその攻撃を受け止め、左手の銃でハクに反撃をした。
ハクはその攻撃をいとも容易く躱す。
「あたしが! 受け止めるさぁ!」
ハクがまた私に目掛けてステッキを振り下ろしたが、夢羽が私の前に立ち、それを受け流した。
そして、中段突きをしてトンファーガントレットを前へ繰り出した。
「くっ! キキーキ!」
ハクは突然リーチが伸びたその攻撃を、ステッキで辛うじて受け止めた。そして、後ろに大きく下がった。
「夢羽ちゃん、風羽ちゃん。あたしも何か手伝う?」
ソラが突然話しかけてきた。
ハクはソラの存在に気づいていなかったのか、ソラの声が聞こえた瞬間そっちに顔を向け、そして目を丸くしてその場に固まった。
「あ、貴女様はもしや、唯一神様ではありませんか!?」
ハクはその場に屈んで頭を下げる。
「うーん……唯一神ってのはいないけど、あたしが恒星系の女神の1柱ソラ・ユニバースだよ」
ソラは自前の翼を広げてドヤ顔をしている。
ん? 恒星系の女神? 1柱?
「えっと……原初の女神様じゃなかったっけ? あと、1柱しか存在しないんじゃ?」
「違うよー。原初の神は、あたしより上位の銀河系の神の事だよ。んで、あたしは太陽系の女神。他の恒星系にもそれぞれ神がいるわよ。ちなみに天の川銀河の女神はあたしの母様よ。あと宇宙を作った神もいるわよ」
あれ? 絵本の話と全然違う……。
「唯一神様ではない……。キキキーキキーキキキキー!!!!」
突然ハクが壊れたように笑い狂い始めた。
「あれ、顔が白くて見えないけど、人間よね?」
「うん。ハクっていう前局長だったらしいんだけど……」
「ハク? ……うーん」
ソラは何かを感じたのか、ハクを見ながら動かなくなった。
「おかしくなったけど、どうする?」
腹を抱えて笑い出したハクを指す夢羽。
「キキーキ。尚更こーの実験は成功させなーいといけなーくなりましーた」
ハクはカバンに手を入れ、何かを取り出そうとしている。
「そうはさせないよ」
ハクに銃を撃ったが、身体に受けてもピクリともせず、カバンから取り出した何かを床に叩きつけた。
「わっぷ! またなー!? ネフィリアと同じ事すんなしー」
煙玉だったようで、部屋中に煙が充満した。
元々白一色のハクが、あっという間に見えなくなった。
「いなくなったね……。ハクは一体何をしようとしているんだろ……」
「人に陰の気を集めさせても、何も起こらないと思うんだけどねー……」
ソラがそう言うならそうなんだろうけど、何か引っかかるな……。
「あれ? 部屋の中が見えるようになっているやっさ」
夢羽の言う通り、煙が晴れて部屋が隅々まで見渡せることができるようになってきた。
「もしかしてハクが邪気を吸った?」
「ん? 霧散したマブヤーを吸い取る壺、持ってなかったよ」
「そんな壺があるのね……。でも、それらしき物は持ってなかったね」
じゃあ何だろう……。別の何かが邪気を吸ったと考えるべきか……。
「とりあえず、夢の主から邪気が取れたわけだし、いいんじゃない?」
「そうだねー」
「目的は達成ね。本当は夢羽ちゃんに集めてもらって、ルーナに送ってもらおうって思ってたけど、無くなったのなら仕方ないね」
ソラは部屋の外へと向かう。
夢羽もソラの後についていく。
「魂のカケラは無いけど、ブラックリストになっている夢の星って、もしかしたら今回のパターンが多いかもしれないね」
私は夢の主を頭を撫で、ベッドから離れた。
「だぁるはずね。あたしが行く所ほとんどがブラックリストだし、現世の夢の主の所にも分身飛ばしていた方がいいはずね」
「それか、カリンかルーナにお願いするとかね」
「そうね。カリンちゃんとルーナちゃん、夢羽ちゃん達の手伝いお願いね」
ソラは2柱の神器の近くでそう呟いた。
「任せるのじゃ」「承りました」
2柱の返事を聞き、ソラは微笑んだ。
「さて、ルイの所に戻るか」
そう言い、夢の主の家から出た。
---
レンタカーに戻った私はすぐにゲンに電話をかけ、ネフィリアの事やハクの事を報告した。そして、
「ここからが重要なんだけど」
「まだあるのか! さっきのより重要な事があるのか!?」
ゲンがすごく驚いている。
「うん。その前に聞くけど、原初の女神の絵本ってどこからの情報で、誰が書いた物なの?」
「いや、俺は知らんな。そこにいるルイはわかるか?」
「いえ。私もわかりません。ですが、私がこの世界に来た時に話題になりましたね」
ルイは首を横に振る。
たしか、あの物語には続きがあるって言って語ってくれたのって、カリンだったな。
「カリンは誰が作ったかわかる?」
私は神器を通してカリンに聞いてみた。
「わしらもわからぬ。その辺りの記憶が抜けておるのじゃ。んで、なぜか母上が作った物だと思っておった」
「先ほどお母様が宇宙創生の話をされた時に、『全知』の情報が更新されたってジュピターも言ってますわ」
どうやら木星は夜のようで、ユーピテルが話してくれた。
「誰かしらが、あたしが唯一神だと都合が良い人がいるのかもしれないみたいね」
ソラはくすくすと笑っている。
「えっと……」
「何が何だかわからんぜ。そろそろ話してくれないか?」
ルイが何かを言いかけたが、ゲンも痺れを切らして聞いてきた。
2人だけ置いてきぼりだ!
ソラは、現世で話した事を再びルイとゲンに話してくれた。
「まさかの、原初の神様……ではなくて、恒星系の神様がまだたくさんいらっしゃるという……衝撃的ですね……」
「だな……。んでソラ様もまた、天の川銀河の女神様に作り出された存在だったとは……」
ルイは唖然とした顔をしている。おそらくゲンも同じ顔をしているのだろう。
「あたしがカリンちゃん達を作ったのも同じ方法だからねー」
そうだったんだ……。
「それと、現世で語られる転生物と転移物の物語なんだけど」
まさか……!
「あれ、フィクションだよ」
「フィクションなのかよ!」
思わずツッコミを入れてしまった。
「でも、実際ああいう形で別の恒星系で記憶を保持したまま転生したり、転移するってことはあるよ」
え? さらっとすごい事言わなかった?
「……ということは?」
「フィクションだけど、実際起こってるってわけ。あたし達の間では、迷い人と言われているよ」
爆弾発言だわ……。ルイも口開けたまま固まってるし。
「そ……そうなんだ……。あれ? ソラ様はまだ輪廻の世界で漂ってるはずだけど、どうやってその情報を得たの?」
「あ、これも知らなかったのね。輪廻の世界は全ての恒星系の世界と繋がってるよ」
衝撃的な事を言われたので、私達一同は驚き過ぎて脱力してしまった。
ルイにも一緒に行くかと聞いたが、死んだ身で生者の世界に降り立つのは未練がある人か神様だけでいい、と言ってレンタカーに残った。
現世に降り立った私達は周囲を見渡した。
病院かと思いきや、田舎の一角の自宅と思われる場所だった。
自宅のわりには建物が大きい。
「ここね」
「夢の主の部屋は奥の方かな? そんな感じがするやっさ」
「たしかにそうね。陰の気がこの家の奥側に溜まっているね」
全く何も感じないからわからない。夢羽とソラにはわかるようだ。
「大きいお家だし、せっかくだから玄関から奥に行こうか」
「だねぇ。面白そうだし」
門をくぐった後、大きな玄関を開けずにすり抜けた。
玄関を抜けた先はただただ広いエントランスホールになっており、2階に行く階段と両サイドに扉がいくつかあった。
夜だからか人1人いないが、警備ロボットと思われる物がモーターの駆動音を響かせながら動き回っていた。
「すごい厳重やっさ……。夢の主何者なんだろ……」
「わからないけど、すごい人なのはたしかだね」
私は壁にかかっている表彰状を指した。
「まあ、私達はアレには見つからないだろうけどね」
「だぁるね」
夢羽はくすくすと笑う。
「夢の主は左奥の部屋だね。あそこから陰の気を感じるわ」
ソラが指した所から、白い煙のようなものが外へと漏れ出ていた。
「うわ……この白いモヤモヤって邪気だよね」
「うん、だぁる」
「扉から溢れるくらいだから、かなりの量かもしれないね」
その扉から部屋の中へと侵入する。
広めの部屋のようで、大人が何人か入っても窮屈に感じないほどだ。
周囲を見渡して、奥の方にベッドを見つけた。
そこには、夢の中で会った女の人が、幾分か歳を取ったかなと思われる姿で眠っていた。
もちろん猫ではない。
「夢の中での姿って、その人によって違ったりする?」
「あー、たしかに夢の中の方が若かったやっさ」
「どうなんだろうね? ルリアスに聞いてみようか」
「そうだね」
私は端末を取り出し、ルイに電話をかけた。
「はい。どうしましたか?」
ワンコール鳴ってすぐに応答してくれた。
「ルイは知ってるかなーって思ったんだけど……」
私はさっきの質問をそのままルイに聞いた。
「なるほど……。たしかに、そういう話を聞いたことありますね。まあ、夢ですからね」
「そうだね……」
夢だからねー……。
「じゃあ、この人が夢の主ってことか……」
「そうでしょうね……」
私は夢の主に近づく。
「おやおーや? これはこれーは、いつぞやーの」
邪気の中から突然シルクハットを被った人の形が現れ、それが話しかけてきた。
この特徴的な話し方は、もしかして!?
「なんでこんな所にいる? ハク!」
「キキーキ。私はあらゆる所に存在します」
「ふざけないで! ここで何をしているの!?」
私は双子銃を構えた。
「おーこわーいこわーい。私はたーだ、人間が邪気を溜め込ーんで死んだー場合、どういう形で輪廻の間に現れーるのかが知りーたいだけでーす」
ハクはどこから出したか知らないが、ステッキを右手でぐるぐると回している。
そしてそれを逆さに持ち、持ち手を私に向けて叩きつけてきた。
「重た! なにあのステッキ」
右手の双子銃でその攻撃を受け止め、左手の銃でハクに反撃をした。
ハクはその攻撃をいとも容易く躱す。
「あたしが! 受け止めるさぁ!」
ハクがまた私に目掛けてステッキを振り下ろしたが、夢羽が私の前に立ち、それを受け流した。
そして、中段突きをしてトンファーガントレットを前へ繰り出した。
「くっ! キキーキ!」
ハクは突然リーチが伸びたその攻撃を、ステッキで辛うじて受け止めた。そして、後ろに大きく下がった。
「夢羽ちゃん、風羽ちゃん。あたしも何か手伝う?」
ソラが突然話しかけてきた。
ハクはソラの存在に気づいていなかったのか、ソラの声が聞こえた瞬間そっちに顔を向け、そして目を丸くしてその場に固まった。
「あ、貴女様はもしや、唯一神様ではありませんか!?」
ハクはその場に屈んで頭を下げる。
「うーん……唯一神ってのはいないけど、あたしが恒星系の女神の1柱ソラ・ユニバースだよ」
ソラは自前の翼を広げてドヤ顔をしている。
ん? 恒星系の女神? 1柱?
「えっと……原初の女神様じゃなかったっけ? あと、1柱しか存在しないんじゃ?」
「違うよー。原初の神は、あたしより上位の銀河系の神の事だよ。んで、あたしは太陽系の女神。他の恒星系にもそれぞれ神がいるわよ。ちなみに天の川銀河の女神はあたしの母様よ。あと宇宙を作った神もいるわよ」
あれ? 絵本の話と全然違う……。
「唯一神様ではない……。キキキーキキーキキキキー!!!!」
突然ハクが壊れたように笑い狂い始めた。
「あれ、顔が白くて見えないけど、人間よね?」
「うん。ハクっていう前局長だったらしいんだけど……」
「ハク? ……うーん」
ソラは何かを感じたのか、ハクを見ながら動かなくなった。
「おかしくなったけど、どうする?」
腹を抱えて笑い出したハクを指す夢羽。
「キキーキ。尚更こーの実験は成功させなーいといけなーくなりましーた」
ハクはカバンに手を入れ、何かを取り出そうとしている。
「そうはさせないよ」
ハクに銃を撃ったが、身体に受けてもピクリともせず、カバンから取り出した何かを床に叩きつけた。
「わっぷ! またなー!? ネフィリアと同じ事すんなしー」
煙玉だったようで、部屋中に煙が充満した。
元々白一色のハクが、あっという間に見えなくなった。
「いなくなったね……。ハクは一体何をしようとしているんだろ……」
「人に陰の気を集めさせても、何も起こらないと思うんだけどねー……」
ソラがそう言うならそうなんだろうけど、何か引っかかるな……。
「あれ? 部屋の中が見えるようになっているやっさ」
夢羽の言う通り、煙が晴れて部屋が隅々まで見渡せることができるようになってきた。
「もしかしてハクが邪気を吸った?」
「ん? 霧散したマブヤーを吸い取る壺、持ってなかったよ」
「そんな壺があるのね……。でも、それらしき物は持ってなかったね」
じゃあ何だろう……。別の何かが邪気を吸ったと考えるべきか……。
「とりあえず、夢の主から邪気が取れたわけだし、いいんじゃない?」
「そうだねー」
「目的は達成ね。本当は夢羽ちゃんに集めてもらって、ルーナに送ってもらおうって思ってたけど、無くなったのなら仕方ないね」
ソラは部屋の外へと向かう。
夢羽もソラの後についていく。
「魂のカケラは無いけど、ブラックリストになっている夢の星って、もしかしたら今回のパターンが多いかもしれないね」
私は夢の主を頭を撫で、ベッドから離れた。
「だぁるはずね。あたしが行く所ほとんどがブラックリストだし、現世の夢の主の所にも分身飛ばしていた方がいいはずね」
「それか、カリンかルーナにお願いするとかね」
「そうね。カリンちゃんとルーナちゃん、夢羽ちゃん達の手伝いお願いね」
ソラは2柱の神器の近くでそう呟いた。
「任せるのじゃ」「承りました」
2柱の返事を聞き、ソラは微笑んだ。
「さて、ルイの所に戻るか」
そう言い、夢の主の家から出た。
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レンタカーに戻った私はすぐにゲンに電話をかけ、ネフィリアの事やハクの事を報告した。そして、
「ここからが重要なんだけど」
「まだあるのか! さっきのより重要な事があるのか!?」
ゲンがすごく驚いている。
「うん。その前に聞くけど、原初の女神の絵本ってどこからの情報で、誰が書いた物なの?」
「いや、俺は知らんな。そこにいるルイはわかるか?」
「いえ。私もわかりません。ですが、私がこの世界に来た時に話題になりましたね」
ルイは首を横に振る。
たしか、あの物語には続きがあるって言って語ってくれたのって、カリンだったな。
「カリンは誰が作ったかわかる?」
私は神器を通してカリンに聞いてみた。
「わしらもわからぬ。その辺りの記憶が抜けておるのじゃ。んで、なぜか母上が作った物だと思っておった」
「先ほどお母様が宇宙創生の話をされた時に、『全知』の情報が更新されたってジュピターも言ってますわ」
どうやら木星は夜のようで、ユーピテルが話してくれた。
「誰かしらが、あたしが唯一神だと都合が良い人がいるのかもしれないみたいね」
ソラはくすくすと笑っている。
「えっと……」
「何が何だかわからんぜ。そろそろ話してくれないか?」
ルイが何かを言いかけたが、ゲンも痺れを切らして聞いてきた。
2人だけ置いてきぼりだ!
ソラは、現世で話した事を再びルイとゲンに話してくれた。
「まさかの、原初の神様……ではなくて、恒星系の神様がまだたくさんいらっしゃるという……衝撃的ですね……」
「だな……。んでソラ様もまた、天の川銀河の女神様に作り出された存在だったとは……」
ルイは唖然とした顔をしている。おそらくゲンも同じ顔をしているのだろう。
「あたしがカリンちゃん達を作ったのも同じ方法だからねー」
そうだったんだ……。
「それと、現世で語られる転生物と転移物の物語なんだけど」
まさか……!
「あれ、フィクションだよ」
「フィクションなのかよ!」
思わずツッコミを入れてしまった。
「でも、実際ああいう形で別の恒星系で記憶を保持したまま転生したり、転移するってことはあるよ」
え? さらっとすごい事言わなかった?
「……ということは?」
「フィクションだけど、実際起こってるってわけ。あたし達の間では、迷い人と言われているよ」
爆弾発言だわ……。ルイも口開けたまま固まってるし。
「そ……そうなんだ……。あれ? ソラ様はまだ輪廻の世界で漂ってるはずだけど、どうやってその情報を得たの?」
「あ、これも知らなかったのね。輪廻の世界は全ての恒星系の世界と繋がってるよ」
衝撃的な事を言われたので、私達一同は驚き過ぎて脱力してしまった。
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