憂鬱症

九時木

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186 休日の過ごし方

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 「休日は何をする予定なの?」

 金曜日の帰り道、いつもの女性社員が私にそう尋ねた。
 私はしばらく考えてみたが、これといったものが思いつかなかった。

 絵描きや読書など、様々な趣味が思い浮かんだが、相手に伝えるほどのものでもなかった。

 結局、寝ることや散歩くらいしかなかった。私は「家で寝ています」と答え、その話題が過ぎるのを待った。


 翌日の土曜日、天気は雨だった。

 雨は霧のように弱々しかったが、外に長時間出かけるには不向きそうだった。

 私は少しだけ足を動かそうと、数十分だけ散歩をすることにした。

 道を歩いていると、昨晩の大雨のせいか、川が濁流していた。
 いつもの透き通った水は茶色く濁り、生き物が住めなさそうな環境だった。


 そんな川を横目に歩いていると、2羽のスズメが歩道を歩いていた。

 スズメはこちらが接近してもなかなか避けようとせず、いつまでも地面をつついたり飛び跳ねたりしていた。

 ところで、私は都市部に来てから、そんな人馴れした鳥をよく見かけるようになっていた。

 カラスといい、スズメといい、田舎の鳥は警戒心が強く、少しでも近づけば飛び去ってしまう。

 しかし、都市部の鳥は多くの人々に囲まれているせいか、近づいても逃げようとせず、その場に留まっていることが多かった。

 そのおかげで、私は鳥を間近で観察することができた。
 スズメの模様や足の細さをまじまじと見つめ、その生き物がどのような姿をしているのかをよく知った。

 それは都市部ならではの趣味だった。
 私は例の女性社員に、休日は鳥の観察をしていると伝えようと思ったが、止めておいた。

 あまりにも限定的な話題だったし、伝えたところで話が広がるわけでもなさそうだった。

 結局、私は休日の過ごし方として定番の「睡眠」に頼ることになった。
 あまりにも味気ない答えだったが、私はそれ以上の答えを持ち合わせてはいなかった。

 雨の日の土曜日、散歩に満足した私は、家でベッドに横たわり、しばらく目をつむっていた。
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