憂鬱症

九時木

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188 リボトリール

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 週の半ば、通院日だった私はいつもの病院に向かっていた。
 診察室に入り、医師と挨拶すると、私は早速症状を伝えた。


 何時間もテレビに集中し、それ以外に手をつけられなくなってしまうこと。
 過集中で食欲が減退し、1日1食の日々が続いていていること。

 テレビ視聴の影響で寝不足になり、仕事に支障をきたしていること、など。

 様々な症状を訴えると、医師は悩ましげに唸った。


 「過集中の状態が続いているようですね。テレビ視聴には、何かきっかけがあるのですか?」

 医師にそう尋ねられたので、私は「ストレスが原因かもしれません」と答えた。

 最近、仕事が閑散期になり、以前ほど依頼が来なくなっていた。
 そのせいか、働きがいを感じられなくなり、段々と仕事が面倒になってきていた。

 その空虚感を埋め合わせるために、テレビを付けてみるのだが、一旦集中すると何時間も見続けることになる。

 テレビは情報に溢れており、一定の刺激があるので、脳が喜んで受け入れる。

 私は仕事のストレスを理由に、そんなテレビ依存に陥っていた。


 「確か、バルプロ酸は効果が感じられず、ラモトリギンは副作用が強く出すぎていましたね。薬は他にもありますが、試してみますか?」

 「他の薬ほど強い効果はありませんが」と医師は付け加える。何の薬か訊いてみると、医師はリボトリールだと言った。

 私はその薬についてよく知らなかったが、とりあえず処方してもらうことにした。

 後から調べてみると、リボトリールはベンゾジアゼピン系の精神薬で、脳の興奮を抑える薬らしかった。
 ベンゾジアゼピン系はGABAの働きを良くすることで、体をリラックス状態にするという。

 テレビへの過集中をどれほど抑えてくれるのかは知らないが、私はその薬の効果に期待することにした。
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