106 / 112
番外編
番外編1 婿取りアルバート③
しおりを挟む
突如始まった両親への挨拶の練習だったが、やるからにはと村崎は咳払いをして喉の調子を整えた。
「よし。こい、アルバート」
気合をいれた村崎の横から「あら、やだわお父さんったら」と野太い声をした赤澤(お母さん)が茶化した。
「おい、赤澤!」
「まっ、妻を上の名前で呼び捨て、イテテテ、悪かったよ! 言っとくけど真面目に役になりきるつもりでやってたんだからな!」
「今はやめろ。お前のそれは笑いしかでない。よし、アルバート次こそ」
もう一度息を整え、アルバートは村崎を真っ直ぐ見つめた。水色の視線に真っ直ぐ射抜かれた村崎は委縮してしまう。
そして娘にもこんな時が来るのかと想像してしまい感極まった。
「ううう、こんなハンサムでも娘はやれない。いやでも、あいつが幸せなら……」
「おい、村崎!」
「だって、娘が俺の手を離れる時がいつか来るかもしれないんだぞ! アルバートの練習だけど、俺の練習でもあるんだ!」
「そん時がきたら、三人でまた練習してやるから、な?」
「赤澤、フォローになってない」
一向に進まない練習。アルバートはまだ一言も発していない。
「変われ。俺が父親役する」
鼻をすすり始めた村崎と赤澤がポジションをチェンジする。
「ほらこいよアルバート。言っとくけど俺は厳しいぞ」
まだパパ歴一か月の男がどしりと構える。しかしこちらも経験が乏しいため……
「君と春人の関係を言ってみたまえ」
と貴族風な台詞が飛び出した。だが、もう中断はできないと村崎は笑いをこらえ、赤澤もこのキャラで行くのか何も言わない。
「初めまして。春人君とお付き合いしています。アルバート・ミラーです」
完璧な答え。しかしあまりにもストレートで同性愛を受け入れられない家族というシチュエーションを演出する赤澤は目つきを尖らせた。
「見たところ君は男で外国人で歳がいっているようにみえるが」
「世間的には受け入れられない関係かもしれません。しかし私たちは国籍も性別も年齢を越えて愛し合っています。簡単な道のりではありませんでした。それでも元気な春人君に勇気を——」
アルバートの長い告白に村崎の顔が茹でダコになり、赤澤は「すげえな」とキャラを忘れていた。
「―—私は春人君を必ず幸せにします」
「ダメだ、うちの可愛い春人はやれん」
今度は厳格な父親キャラになった赤澤が、アルバートに睨みを効かせるが、それ以上に鋭い睨みをお返しされた。
「ななな、なんだよ! お前、月嶋の父親にそんな目を向ける気か?!」
「むっ、すまない。君が春人を可愛いと言ったのでつい」
「はあ?! 別に俺は本気で月嶋を可愛いなんて思っちゃいねーよ!」
「いや、春人は可愛い」
「どっちだよ!」
赤澤は初めてこの完璧な英国紳士をめんどくさいと思ってしまった。その横で顔の赤みを散らしながら村崎が口を開いた。
「それよりアルバート……」
「ん?」
「その手はなんなんだ?」
赤澤が身を乗り出す。村崎はアルバートの手の位置が気になっていた。膝の上で礼儀正しく待てをしていたかと思えば、時折、親指・人差し指・中指で目の前の炬燵テーブルの淵を抑えていた。
「いつでもどうぞ」
赤澤と村崎は「いつでも?」「どうぞ?」と繰り返す。アルバートの目は臨戦態勢に入っていて、挨拶している時の誠実さと柔らかさは皆無だった。
「ひっくり返すのだろ? ちゃぶ台」
至って真面目な表情で言ってのけたアルバートにとうとう赤澤は腹を抱えて笑った。
「あははは! ちょ、お前、どこで日本文化学んできたんだよッ!」
「つい最近、結婚の挨拶に伺った青年が相手の父親にちゃぶ台をひっくり返されているドラマを見た」
「とりあえず舞台は平成じゃなさそうだな! やべっ、今年の初笑いかも」
ひいひい言いながら赤澤はアルバートの肩を叩いた。
「安心しろ、今の時代そんな父親はいねーから!」
「では、君たちも無事で済んだのか?」
これがアルバートの尋ねたい事だった。ドラマでちゃぶ台をひっくり返す父親の姿を見て、結婚する者、もしくは恋人の両親に会う者は必ず通る修羅場だと勝手に認識していた。
赤澤の発言から現代では馴染みのない事だと分かるが、それでも村崎と赤澤の顔が曇る。
「村崎のさっきの様子を見てりゃ分かると思うけど、相手が同性だろうが外国人だろうが、歳の差があろうが自分の子どもが離れて行くのは悲しい事だ。物理的にひっくり返さなくても心の中では悲しくてひっくり返してるかもな」
「特に日本はいえの文化が少なからず残っている。女の子だと「嫁に行く」って言って、なかなか実家には帰ってこない風習が強いんだ。そうじゃなかったとしても、やっぱり帰って来なくなるんじゃないかって心配するものさ」
「自立したと両手離しで喜べるものではないという事か」
これが文化の違いなのか、それとも子を成している者と成していない者の差なのかは分からない。だが、幸せを手に入れるということは誰かが少なからず悲しむものなのかとアルバートは思った。
金色の睫毛がガラス玉の様な瞳を隠した。
「らしくねえな、アルバート。どんと構えてろよ。日本に染まりすぎて世間体と先の心配ばかりするような男になっちまったのか?」
赤澤の声に救い出されて、瞳は生気を取り戻す。
「それもそうだな。それに、反対をされたからと言って、私の春人への愛が変わるわけではない」
「おお、おお、お熱い事で。とりあえずちゃぶ台は安心しな。それでもひっくり返された時は、俺に一発ちゃぶ台お見舞いしな」
またフォローになっていない発言をする赤澤だったが、彼のこの性格が今までアルバートと村崎を救ってきた。
「覚えておくよ。とりあえず指を鍛えておく必要はなさそうだ」
村崎がうんうんと頷きながら「他にはどんな事されると思っていたんだ?」と一応尋ねた。
「あとは、お茶を飲んだ後は湯呑を褒める——とか」
再び腹を抱えて笑った赤澤がすかさず突っ込む。
「それお抹茶な! 月嶋の両親が陶芸家か茶道を極めてでもいない限り、そのスキルは必要ないぞ!」
「アルバート、確認だが、もう日本に髷を結っている人はいないぞ」
「分かっている。あと褌も希少だ」
博識が故の弊害は大事な場面で披露される前に修正された。アルバートの意外な一面を垣間見て、中年管理職の初笑いは絶えなかった。
赤澤の家をあとにし帰路に着く途中も村崎は「やっぱりイギリス人なんだな」としみじみ漏らした。
「まだ短い付き合いだけど、結構気が合うから外国人って感じがしないんだよな」
「そうだろうか」
「それか——」
恋人の上司は誰かを思い浮かべてフッと笑う。
「あいつがお前を日本に馴染ませてくれているのかもな」
「やはり春人は素晴らしい」
「一緒にいると似てくるっていうしな。夫婦とか特に」
「私と春人は夫婦にはなれない」
「書類上な。でも、アルバートと月嶋を見ていると、たまに恋人以上のものを感じるよ。色々なモノを乗り越えた貫禄を感じる」
一月の寒空を見上げ、アルバートは今までの事を思い返した。
「確かに……振り返ると多くの障害を越えてきた気がする」
「だろ? 同じ壁を前にするうちに同じ手、足の踏み出し方をするようになったのかもな」
村崎の言葉にアルバートは、春人と自分が同じ色に染まっていくのを感じた。
もう一度空を見上げる。
「今日の冬の空はいつも以上に透き通っているな」
「え? 何か言ったか?」
「いや、何も。相談してよかった。気が晴れたよ。私も二人の様な日本人と共に過ごせて光栄だ。自分自身がまだまだ成長できると実感している」
「照れるだろ。あーあ、やっぱり赤澤いないと真面目になっちまうな」
「そうだな」
村崎とも別れ、アルバートは春人のもとへと向かった。
「おかえり! 赤澤さんの赤ちゃん可愛かった?」
太陽の笑顔に胸がほんのり温かくなる。文化を間違え同僚に笑われた事はもちろん秘密だ。
「それで赤澤さんがおくびのやり方を──」
赤澤の話をするアルバートの顔を春人は包み込んだ。
「何かついているのかい?」
「んー」
じーっと黒い瞳がアルバートを見つめる。
「アル、笑い方変えた?」
「いや。そもそも変える必要などないだろ」
「そうだよね……なんか昔に比べて明るく笑うようになったなって!」
「明るく? 昔はそんなに暗かっただろうか?」
「そうじゃないよ! 紳士の微笑みだった。余裕があるような。でも今は天真爛漫に近い様な笑い方する。瞳がね、見えなくなるほど笑ってるの!」
ニパッと音が出そうな笑顔を浮かべて春人の黒い瞳は目の輪郭に隠れて見えなくなる。
——ああ、そういう事か
アルバートは春人を抱きしめた。
——私は日本に染まっているのではなく、君色に染まっているのだな
これから先、どんな困難が訪れようと、春人の前向きな性格が自分に力を与えてくれるだろうとアルバートは確信した。
「君にも私の何かで染まってくれると嬉しい」
「染まる? 何のこと?」
「春人と同じ色になっていくという話だ。いつか一つになりたい」
「えっと……エッチしたいってこと?」
「何故そうなる」
勘違いした春人はいつもの春人。しかし、アルバートは気がついていない。最近の春人は……
「おいで」
そう言って自分からベッドにアルバートを誘い込むのだった。
終.
こちら、ちひろ@様からの発想を元に書かせていただきました。
「両親への挨拶」とまではいきませんでしたが、ちょっと日本文化を間違えたアルバートのお茶目な一面を書けてとても楽しかったです。
このような機会をいただきありがとうございます!
「よし。こい、アルバート」
気合をいれた村崎の横から「あら、やだわお父さんったら」と野太い声をした赤澤(お母さん)が茶化した。
「おい、赤澤!」
「まっ、妻を上の名前で呼び捨て、イテテテ、悪かったよ! 言っとくけど真面目に役になりきるつもりでやってたんだからな!」
「今はやめろ。お前のそれは笑いしかでない。よし、アルバート次こそ」
もう一度息を整え、アルバートは村崎を真っ直ぐ見つめた。水色の視線に真っ直ぐ射抜かれた村崎は委縮してしまう。
そして娘にもこんな時が来るのかと想像してしまい感極まった。
「ううう、こんなハンサムでも娘はやれない。いやでも、あいつが幸せなら……」
「おい、村崎!」
「だって、娘が俺の手を離れる時がいつか来るかもしれないんだぞ! アルバートの練習だけど、俺の練習でもあるんだ!」
「そん時がきたら、三人でまた練習してやるから、な?」
「赤澤、フォローになってない」
一向に進まない練習。アルバートはまだ一言も発していない。
「変われ。俺が父親役する」
鼻をすすり始めた村崎と赤澤がポジションをチェンジする。
「ほらこいよアルバート。言っとくけど俺は厳しいぞ」
まだパパ歴一か月の男がどしりと構える。しかしこちらも経験が乏しいため……
「君と春人の関係を言ってみたまえ」
と貴族風な台詞が飛び出した。だが、もう中断はできないと村崎は笑いをこらえ、赤澤もこのキャラで行くのか何も言わない。
「初めまして。春人君とお付き合いしています。アルバート・ミラーです」
完璧な答え。しかしあまりにもストレートで同性愛を受け入れられない家族というシチュエーションを演出する赤澤は目つきを尖らせた。
「見たところ君は男で外国人で歳がいっているようにみえるが」
「世間的には受け入れられない関係かもしれません。しかし私たちは国籍も性別も年齢を越えて愛し合っています。簡単な道のりではありませんでした。それでも元気な春人君に勇気を——」
アルバートの長い告白に村崎の顔が茹でダコになり、赤澤は「すげえな」とキャラを忘れていた。
「―—私は春人君を必ず幸せにします」
「ダメだ、うちの可愛い春人はやれん」
今度は厳格な父親キャラになった赤澤が、アルバートに睨みを効かせるが、それ以上に鋭い睨みをお返しされた。
「ななな、なんだよ! お前、月嶋の父親にそんな目を向ける気か?!」
「むっ、すまない。君が春人を可愛いと言ったのでつい」
「はあ?! 別に俺は本気で月嶋を可愛いなんて思っちゃいねーよ!」
「いや、春人は可愛い」
「どっちだよ!」
赤澤は初めてこの完璧な英国紳士をめんどくさいと思ってしまった。その横で顔の赤みを散らしながら村崎が口を開いた。
「それよりアルバート……」
「ん?」
「その手はなんなんだ?」
赤澤が身を乗り出す。村崎はアルバートの手の位置が気になっていた。膝の上で礼儀正しく待てをしていたかと思えば、時折、親指・人差し指・中指で目の前の炬燵テーブルの淵を抑えていた。
「いつでもどうぞ」
赤澤と村崎は「いつでも?」「どうぞ?」と繰り返す。アルバートの目は臨戦態勢に入っていて、挨拶している時の誠実さと柔らかさは皆無だった。
「ひっくり返すのだろ? ちゃぶ台」
至って真面目な表情で言ってのけたアルバートにとうとう赤澤は腹を抱えて笑った。
「あははは! ちょ、お前、どこで日本文化学んできたんだよッ!」
「つい最近、結婚の挨拶に伺った青年が相手の父親にちゃぶ台をひっくり返されているドラマを見た」
「とりあえず舞台は平成じゃなさそうだな! やべっ、今年の初笑いかも」
ひいひい言いながら赤澤はアルバートの肩を叩いた。
「安心しろ、今の時代そんな父親はいねーから!」
「では、君たちも無事で済んだのか?」
これがアルバートの尋ねたい事だった。ドラマでちゃぶ台をひっくり返す父親の姿を見て、結婚する者、もしくは恋人の両親に会う者は必ず通る修羅場だと勝手に認識していた。
赤澤の発言から現代では馴染みのない事だと分かるが、それでも村崎と赤澤の顔が曇る。
「村崎のさっきの様子を見てりゃ分かると思うけど、相手が同性だろうが外国人だろうが、歳の差があろうが自分の子どもが離れて行くのは悲しい事だ。物理的にひっくり返さなくても心の中では悲しくてひっくり返してるかもな」
「特に日本はいえの文化が少なからず残っている。女の子だと「嫁に行く」って言って、なかなか実家には帰ってこない風習が強いんだ。そうじゃなかったとしても、やっぱり帰って来なくなるんじゃないかって心配するものさ」
「自立したと両手離しで喜べるものではないという事か」
これが文化の違いなのか、それとも子を成している者と成していない者の差なのかは分からない。だが、幸せを手に入れるということは誰かが少なからず悲しむものなのかとアルバートは思った。
金色の睫毛がガラス玉の様な瞳を隠した。
「らしくねえな、アルバート。どんと構えてろよ。日本に染まりすぎて世間体と先の心配ばかりするような男になっちまったのか?」
赤澤の声に救い出されて、瞳は生気を取り戻す。
「それもそうだな。それに、反対をされたからと言って、私の春人への愛が変わるわけではない」
「おお、おお、お熱い事で。とりあえずちゃぶ台は安心しな。それでもひっくり返された時は、俺に一発ちゃぶ台お見舞いしな」
またフォローになっていない発言をする赤澤だったが、彼のこの性格が今までアルバートと村崎を救ってきた。
「覚えておくよ。とりあえず指を鍛えておく必要はなさそうだ」
村崎がうんうんと頷きながら「他にはどんな事されると思っていたんだ?」と一応尋ねた。
「あとは、お茶を飲んだ後は湯呑を褒める——とか」
再び腹を抱えて笑った赤澤がすかさず突っ込む。
「それお抹茶な! 月嶋の両親が陶芸家か茶道を極めてでもいない限り、そのスキルは必要ないぞ!」
「アルバート、確認だが、もう日本に髷を結っている人はいないぞ」
「分かっている。あと褌も希少だ」
博識が故の弊害は大事な場面で披露される前に修正された。アルバートの意外な一面を垣間見て、中年管理職の初笑いは絶えなかった。
赤澤の家をあとにし帰路に着く途中も村崎は「やっぱりイギリス人なんだな」としみじみ漏らした。
「まだ短い付き合いだけど、結構気が合うから外国人って感じがしないんだよな」
「そうだろうか」
「それか——」
恋人の上司は誰かを思い浮かべてフッと笑う。
「あいつがお前を日本に馴染ませてくれているのかもな」
「やはり春人は素晴らしい」
「一緒にいると似てくるっていうしな。夫婦とか特に」
「私と春人は夫婦にはなれない」
「書類上な。でも、アルバートと月嶋を見ていると、たまに恋人以上のものを感じるよ。色々なモノを乗り越えた貫禄を感じる」
一月の寒空を見上げ、アルバートは今までの事を思い返した。
「確かに……振り返ると多くの障害を越えてきた気がする」
「だろ? 同じ壁を前にするうちに同じ手、足の踏み出し方をするようになったのかもな」
村崎の言葉にアルバートは、春人と自分が同じ色に染まっていくのを感じた。
もう一度空を見上げる。
「今日の冬の空はいつも以上に透き通っているな」
「え? 何か言ったか?」
「いや、何も。相談してよかった。気が晴れたよ。私も二人の様な日本人と共に過ごせて光栄だ。自分自身がまだまだ成長できると実感している」
「照れるだろ。あーあ、やっぱり赤澤いないと真面目になっちまうな」
「そうだな」
村崎とも別れ、アルバートは春人のもとへと向かった。
「おかえり! 赤澤さんの赤ちゃん可愛かった?」
太陽の笑顔に胸がほんのり温かくなる。文化を間違え同僚に笑われた事はもちろん秘密だ。
「それで赤澤さんがおくびのやり方を──」
赤澤の話をするアルバートの顔を春人は包み込んだ。
「何かついているのかい?」
「んー」
じーっと黒い瞳がアルバートを見つめる。
「アル、笑い方変えた?」
「いや。そもそも変える必要などないだろ」
「そうだよね……なんか昔に比べて明るく笑うようになったなって!」
「明るく? 昔はそんなに暗かっただろうか?」
「そうじゃないよ! 紳士の微笑みだった。余裕があるような。でも今は天真爛漫に近い様な笑い方する。瞳がね、見えなくなるほど笑ってるの!」
ニパッと音が出そうな笑顔を浮かべて春人の黒い瞳は目の輪郭に隠れて見えなくなる。
——ああ、そういう事か
アルバートは春人を抱きしめた。
——私は日本に染まっているのではなく、君色に染まっているのだな
これから先、どんな困難が訪れようと、春人の前向きな性格が自分に力を与えてくれるだろうとアルバートは確信した。
「君にも私の何かで染まってくれると嬉しい」
「染まる? 何のこと?」
「春人と同じ色になっていくという話だ。いつか一つになりたい」
「えっと……エッチしたいってこと?」
「何故そうなる」
勘違いした春人はいつもの春人。しかし、アルバートは気がついていない。最近の春人は……
「おいで」
そう言って自分からベッドにアルバートを誘い込むのだった。
終.
こちら、ちひろ@様からの発想を元に書かせていただきました。
「両親への挨拶」とまではいきませんでしたが、ちょっと日本文化を間違えたアルバートのお茶目な一面を書けてとても楽しかったです。
このような機会をいただきありがとうございます!
0
あなたにおすすめの小説
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
【完結】 男達の性宴
蔵屋
BL
僕が通う高校の学校医望月先生に
今夜8時に来るよう、青山のホテルに
誘われた。
ホテルに来れば会場に案内すると
言われ、会場案内図を渡された。
高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を
早くも社会人扱いする両親。
僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、
東京へ飛ばして行った。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
Take On Me
マン太
BL
親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。
初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。
岳とも次第に打ち解ける様になり…。
軽いノリのお話しを目指しています。
※BLに分類していますが軽めです。
※他サイトへも掲載しています。
オッサン課長のくせに、無自覚に色気がありすぎる~ヨレヨレ上司とエリート部下、恋は仕事の延長ですか?
中岡 始
BL
「新しい営業課長は、超敏腕らしい」
そんな噂を聞いて、期待していた橘陽翔(28)。
しかし、本社に異動してきた榊圭吾(42)は――
ヨレヨレのスーツ、だるそうな関西弁、ネクタイはゆるゆる。
(……いやいや、これがウワサの敏腕課長⁉ 絶対ハズレ上司だろ)
ところが、初めての商談でその評価は一変する。
榊は巧みな話術と冷静な判断で、取引先をあっさり落としにかかる。
(仕事できる……! でも、普段がズボラすぎるんだよな)
ネクタイを締め直したり、書類のコーヒー染みを指摘したり――
なぜか陽翔は、榊の世話を焼くようになっていく。
そして気づく。
「この人、仕事中はめちゃくちゃデキるのに……なんでこんなに色気ダダ漏れなんだ?」
煙草をくゆらせる仕草。
ネクタイを緩める無防備な姿。
そのたびに、陽翔の理性は削られていく。
「俺、もう待てないんで……」
ついに陽翔は榊を追い詰めるが――
「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」
攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。
じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。
【最新話:主任補佐のくせに、年下部下に見透かされている(気がする)ー関西弁とミルクティーと、春のすこし前に恋が始まった話】
主任補佐として、ちゃんとせなあかん──
そう思っていたのに、君はなぜか、俺の“弱いとこ”ばっかり見抜いてくる。
春のすこし手前、まだ肌寒い季節。
新卒配属された年下部下・瀬戸 悠貴は、無表情で口数も少ないけれど、妙に人の感情に鋭い。
風邪気味で声がかすれた朝、佐倉 奏太は、彼にそっと差し出された「ミルクティー」に言葉を失う。
何も言わないのに、なぜか伝わってしまう。
拒むでも、求めるでもなく、ただそばにいようとするその距離感に──佐倉の心は少しずつ、ほどけていく。
年上なのに、守られるみたいで、悔しいけどうれしい。
これはまだ、恋になる“少し前”の物語。
関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。
(5月14日より連載開始)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる