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SCENE5 情婦
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日か落ち、草原は暗緑の暗闇に沈んでいる。既に夕闇を覆っていた雲は失われ、幾つもの瞬く星のちらつきが、青白い光で闇の中に形を与えていた。
遠方には明かりが灯っている。国境の警備隊が寝ずの番をしているのだろう。周囲を徘徊する歩哨の気配には、注意する必要があった。
傍らにいるアルラウネが構わずに歩き出そうとしたので、男は彼女の腕を握る手にぎゅっと力をこめ、不用意な行動を諫めた。
もし、彼らに見つかれば不法入国者である男の命は無論だが、妖女アルラウネなどは真っ先に命を絶たれるだろう。尋問されるかもしれない分、男の方がまだ延命できる可能性があるくらいだ。
アルラウネは不思議そうな目で男を見つめる。暗がりの中で月明かりを反射している秘色の肌を水滴が流れていた。漂う淫靡な香りに、男はまた情欲の虜に陥りそうになるのを堪えた。
ふと、誰かの気配を感じる。何者かが、草をかき分けながら前進している。男は訝しみ、アルラウネの背中を片手で抑え込みながら、地に伏し、様子を窺った。
一人の歩哨が、こちらに近づいてきている。何故かはわからないが、彼は松明を所持していない。このような暗闇の中を哨戒するには、不自然であった。
(ちっ……来るな……来るな)
男の苛立ちを他所に、歩哨は右往左往するような足取りでありながら、こちらとの距離を段々と狭めてきている。何か、明確な目的があって、一人で駐屯地を離れているのかもしれない。
だが、一体なぜ――。
「きゅろろろ……ころろろ……」
男はギョッとなった。アルラウネが声を発したのである。慌てて彼女の口を塞いで黙らせたが、既に遅すぎた。
歩哨はようやく目的を見つけたと言わんばかりに、二人のいる方へ向かって、足早に接近してきた。
(ダメだ……見つかる)
男の心の中に恐怖が沸き起こり、続いて、それすらも押し流す怒りの感情が奔った。アルラウネに対してではない。己と、愛しい女の関係を破壊し蹂躙する許されざる者に対する激情だ。
迷う暇など無かった。勝負は一瞬だ。男は腰に備えていた剣を引き抜き、いつでも飛び出せる姿勢のまま、身構えた。
アルラウネにはこの緊迫感が理解できないらしい。ただ、逃亡者と歩哨……二人の男を見比べていた。
(今だ)
男は草陰からさっと飛び出し、歩哨の背後に回った。夜の獣に出くわしたと思ったのか、歩哨は「わっ」と驚きの声をもらし、戸惑いの動きを見せた。その隙が、歩哨にとっての命とりであった。
男は相手の口を抑え、首筋を目掛けて勢いをつけ、剣を突き立てた。剣は歩哨の首を貫き、肺と心臓を貫通し、腹の辺りに突き出た。鮮血が飛び散り、男の身体と周囲の草を赤黒く汚した。
バタリと、歩哨の身体が仰向けに地に伏す。
男は首をのけぞらせて大きく息を吸い、吐いた。緊張で乱れた呼吸を整えている。
「ふう……」
幸い、今の相手の声は他の敵に聞かれなかったらしい。どうやら上手くいった。男は深く安堵し、斃した相手を見下ろす。
(この剣はもう使えないな……)
歩哨の命を奪った剣。鮮血を吸い、傷んでいた刃の切れ味も更に悪くなっているだろう。元々、質の悪いなまくらだ。男は相手を仕留めた刃から、歩哨の腰に差さっている彼の持ち物へ視線を移す。
歩哨の所持品であった長剣を取り上げる。流石に国境の警備を任される正規軍人なだけあって、男が今日の昼に殺した牢番から奪った剣よりも、上質なものであった。男はここまで期待などしていなかった収穫を前にして、口元を僅かにほころばせた。
「ん……」
アルラウネが歩哨の死体に近づく。男が彼女の動きを視線で追っていると、彼女は死体に縋りつくようにして覆いかぶさり、その血を舐めだした。
「…………」
呆気にとられていた男であったが、死んだ歩哨の血を丹念に舐めとるアルラウネを見ているうちに警戒心を取り戻し、彼女を歩哨の死体から引き剥がした。
「よせ。そんなことをしている場合じゃない」
アルラウネは人間の体液を吸い取り、糧とする。ならば、血液とて例外ではないだろう。しかし、直ぐ近くに別の人間がいるのに、余計な危険を冒すべきではない。
だが、アルラウネは男の手を振りほどき、またも歩哨の死体に、己の豊満な女体を密着させた。既に彼女の身体には血液がべったりと付着しており、月明かりを受けて、どす黒い体色になっている姿が浮かび上がっている。
女の横顔には、相手を慈しむような情愛が見て取れる。男の心の底で、激しい憤りが鳴動を始めていく。
(やめろ。……なんで、そんな奴を)
思えば、この歩哨はこのアルラウネの存在を知っていたのではなかろうか? アルラウネは人間から殺され続けてその数を減らしているが、人間とまぐわい、精を奪わなければ生きていけない。ならば、彼女と情愛を交わしてきた者だっていたはずだ。
それが、今、目の前でアルラウネの愛情を受けている、死人となった歩哨ではなかろうか。そうであれば、他の警備隊に隠れて、一人で女との逢瀬に訪れていたという説明もつく。
いや―――。
(駄目だ。嘘だ。違う。嫌だ!)
男はかっとなり、アルラウネの背中を掴んで、草の上に押し倒した。そのまま勢いに身を任せ、彼女の巨大な乳房を鷲掴みにし、力いっぱい揉みしだく。
(おれだ……おれのなんだ!)
もはや、周囲への警戒心など吹き飛んでしまった。嫉妬の炎が劣情を昂らせ、強い独占欲によって突き動かされている。
アルラウネは男の求めに応えるように、彼の背中に腕をまわし、互いの肉体を密着させてきた。
彼女には、自らの情夫だった者の死による悲しみなどはないのであろうか? いや、そもそもこの歩哨がアルラウネと肉体関係を持っていたという考え自体が間違いだろうか? ――今の男にとって、そんな思考は、もはやどうでも良くなっていた。
(おれだ! おれを愛してくれ!)
男のエゴイズムは、眼前の女が己のものだという執念を滾らせる。暴力的な衝動による愛撫であったが、アルラウネはそれも愛し合う形として受け取ったのであろうか。自らの秘部を開き、硬く勃ち上がっている男の象徴を受け入れた。
殺された歩哨の側でまぐわう、男女。すぐ近くには別の歩哨がいるかもしれないというのに、正気の沙汰では無かった。
ただ、それでも、男は確かめたかった。己の肉体で以て、心も身体も、深い結合を確固たるものにしているのだという事実を。
今宵、三度目の性交でありながら、男は衰えを全く見せていない。それどころか、今行われている行為は、これまでよりも精力的で激しいものだった。
何としても刻み込みたい。女の一番奥に、男の存在を。決して忘れ得ぬ、生きている者の証を。
「んあ……あっあぁ! いああああぁぁ!」
アルラウネが喘ぎ出し、その嬌声が月夜に響いた。警備隊が待機している駐屯地にまで聞こえているかもしれないという危惧が、一瞬だけ、男の脳裡を過った。だが、情欲と一体となって性行為に没頭している男を止めるには、あまりにも無力であった。
「頼む。おれを捨てるな……捨てないでくれ。一生、守ってやるから……!」
男は自分が口走っている意味を理解などしていない。ただ、幾つもの過去の情景が鮮烈なフラッシュバックを繰り返し、只管に女と愛し合いたい、まぐわりつづけたいという欲求の嵐が、脳内を滅茶苦茶にかき回していた。
肉体の衰えなど、感じない。男はアルラウネに精を捧げると同時に活力を与えられたのかもしれない。それは燃え尽きつる寸前の炎の強い発光か、生き続けようと藻掻く抵抗か……。
何よりも、これだけで終わらせてはならないという強い意志が男の心理を支配していた。
射精感がこみ上げてくると同時に、男はまた女の乳房にしゃぶりついた。今度は最初から勢いよく噴出した母乳が、男の求めを待ち続けていたようだ。
アルラウネの乳汁が、男に最高の歓喜をもたらした。至高の美酒ですら到底及ばないであろう境地に、男の意識は舞い上がった。
刹那、解き放たれた白い獣欲の滾りが母なる深部へと飲み込まれていき、数多の子種が後れを取るまいという本能で以て進撃した。
行為が終わった後も、二人は互いの性器を結合させたまま、草の上に転がっていた。男は巨乳の合間に顔をうずめ、乳房にこびり付いている汁をすすっている。生殖器の結合部では、度重なる性行為によって許容量をとっくに超えている二人の体液がドロドロと流れ出し、地面に沁み込んでいた。
(どうして……)
声?
(どうしてなの……)
男ははっとなる。何者かの声。柔らかい、女性のものと思しき声が、脳内で木霊していたのだ。
目を見開く。心臓がドクンと高鳴る。
「誰だ……誰が……?」
(どうして殺したの……?)
男はギョッとなって乳房から顔を離し、眼前のアルラウネの表情を凝視した。
何かを訴えるような……悲しい顔で……。
(何故、あなたは……)
「止せ!」
アルラウネの女体を突き放す。ぬぷりと、肉棒が膣からまろび出た。
途端、脳内に話しかけていた女の声が途切れた。
男は息を乱し、傍らで地面に尻を押し付けたまま上体を起こしているアルラウネの姿を見返す。二つの巨峰乳が下を向いたままたぷたぷと揺れており、白い液体の付着している乳頭が一際尖って見えた。
す……っと、顔を上げ、男と視線を合わせるアルラウネ。そこにあるのは情欲でも憤りでもない――寂しい想いを抱く女の目であった。
遠方には明かりが灯っている。国境の警備隊が寝ずの番をしているのだろう。周囲を徘徊する歩哨の気配には、注意する必要があった。
傍らにいるアルラウネが構わずに歩き出そうとしたので、男は彼女の腕を握る手にぎゅっと力をこめ、不用意な行動を諫めた。
もし、彼らに見つかれば不法入国者である男の命は無論だが、妖女アルラウネなどは真っ先に命を絶たれるだろう。尋問されるかもしれない分、男の方がまだ延命できる可能性があるくらいだ。
アルラウネは不思議そうな目で男を見つめる。暗がりの中で月明かりを反射している秘色の肌を水滴が流れていた。漂う淫靡な香りに、男はまた情欲の虜に陥りそうになるのを堪えた。
ふと、誰かの気配を感じる。何者かが、草をかき分けながら前進している。男は訝しみ、アルラウネの背中を片手で抑え込みながら、地に伏し、様子を窺った。
一人の歩哨が、こちらに近づいてきている。何故かはわからないが、彼は松明を所持していない。このような暗闇の中を哨戒するには、不自然であった。
(ちっ……来るな……来るな)
男の苛立ちを他所に、歩哨は右往左往するような足取りでありながら、こちらとの距離を段々と狭めてきている。何か、明確な目的があって、一人で駐屯地を離れているのかもしれない。
だが、一体なぜ――。
「きゅろろろ……ころろろ……」
男はギョッとなった。アルラウネが声を発したのである。慌てて彼女の口を塞いで黙らせたが、既に遅すぎた。
歩哨はようやく目的を見つけたと言わんばかりに、二人のいる方へ向かって、足早に接近してきた。
(ダメだ……見つかる)
男の心の中に恐怖が沸き起こり、続いて、それすらも押し流す怒りの感情が奔った。アルラウネに対してではない。己と、愛しい女の関係を破壊し蹂躙する許されざる者に対する激情だ。
迷う暇など無かった。勝負は一瞬だ。男は腰に備えていた剣を引き抜き、いつでも飛び出せる姿勢のまま、身構えた。
アルラウネにはこの緊迫感が理解できないらしい。ただ、逃亡者と歩哨……二人の男を見比べていた。
(今だ)
男は草陰からさっと飛び出し、歩哨の背後に回った。夜の獣に出くわしたと思ったのか、歩哨は「わっ」と驚きの声をもらし、戸惑いの動きを見せた。その隙が、歩哨にとっての命とりであった。
男は相手の口を抑え、首筋を目掛けて勢いをつけ、剣を突き立てた。剣は歩哨の首を貫き、肺と心臓を貫通し、腹の辺りに突き出た。鮮血が飛び散り、男の身体と周囲の草を赤黒く汚した。
バタリと、歩哨の身体が仰向けに地に伏す。
男は首をのけぞらせて大きく息を吸い、吐いた。緊張で乱れた呼吸を整えている。
「ふう……」
幸い、今の相手の声は他の敵に聞かれなかったらしい。どうやら上手くいった。男は深く安堵し、斃した相手を見下ろす。
(この剣はもう使えないな……)
歩哨の命を奪った剣。鮮血を吸い、傷んでいた刃の切れ味も更に悪くなっているだろう。元々、質の悪いなまくらだ。男は相手を仕留めた刃から、歩哨の腰に差さっている彼の持ち物へ視線を移す。
歩哨の所持品であった長剣を取り上げる。流石に国境の警備を任される正規軍人なだけあって、男が今日の昼に殺した牢番から奪った剣よりも、上質なものであった。男はここまで期待などしていなかった収穫を前にして、口元を僅かにほころばせた。
「ん……」
アルラウネが歩哨の死体に近づく。男が彼女の動きを視線で追っていると、彼女は死体に縋りつくようにして覆いかぶさり、その血を舐めだした。
「…………」
呆気にとられていた男であったが、死んだ歩哨の血を丹念に舐めとるアルラウネを見ているうちに警戒心を取り戻し、彼女を歩哨の死体から引き剥がした。
「よせ。そんなことをしている場合じゃない」
アルラウネは人間の体液を吸い取り、糧とする。ならば、血液とて例外ではないだろう。しかし、直ぐ近くに別の人間がいるのに、余計な危険を冒すべきではない。
だが、アルラウネは男の手を振りほどき、またも歩哨の死体に、己の豊満な女体を密着させた。既に彼女の身体には血液がべったりと付着しており、月明かりを受けて、どす黒い体色になっている姿が浮かび上がっている。
女の横顔には、相手を慈しむような情愛が見て取れる。男の心の底で、激しい憤りが鳴動を始めていく。
(やめろ。……なんで、そんな奴を)
思えば、この歩哨はこのアルラウネの存在を知っていたのではなかろうか? アルラウネは人間から殺され続けてその数を減らしているが、人間とまぐわい、精を奪わなければ生きていけない。ならば、彼女と情愛を交わしてきた者だっていたはずだ。
それが、今、目の前でアルラウネの愛情を受けている、死人となった歩哨ではなかろうか。そうであれば、他の警備隊に隠れて、一人で女との逢瀬に訪れていたという説明もつく。
いや―――。
(駄目だ。嘘だ。違う。嫌だ!)
男はかっとなり、アルラウネの背中を掴んで、草の上に押し倒した。そのまま勢いに身を任せ、彼女の巨大な乳房を鷲掴みにし、力いっぱい揉みしだく。
(おれだ……おれのなんだ!)
もはや、周囲への警戒心など吹き飛んでしまった。嫉妬の炎が劣情を昂らせ、強い独占欲によって突き動かされている。
アルラウネは男の求めに応えるように、彼の背中に腕をまわし、互いの肉体を密着させてきた。
彼女には、自らの情夫だった者の死による悲しみなどはないのであろうか? いや、そもそもこの歩哨がアルラウネと肉体関係を持っていたという考え自体が間違いだろうか? ――今の男にとって、そんな思考は、もはやどうでも良くなっていた。
(おれだ! おれを愛してくれ!)
男のエゴイズムは、眼前の女が己のものだという執念を滾らせる。暴力的な衝動による愛撫であったが、アルラウネはそれも愛し合う形として受け取ったのであろうか。自らの秘部を開き、硬く勃ち上がっている男の象徴を受け入れた。
殺された歩哨の側でまぐわう、男女。すぐ近くには別の歩哨がいるかもしれないというのに、正気の沙汰では無かった。
ただ、それでも、男は確かめたかった。己の肉体で以て、心も身体も、深い結合を確固たるものにしているのだという事実を。
今宵、三度目の性交でありながら、男は衰えを全く見せていない。それどころか、今行われている行為は、これまでよりも精力的で激しいものだった。
何としても刻み込みたい。女の一番奥に、男の存在を。決して忘れ得ぬ、生きている者の証を。
「んあ……あっあぁ! いああああぁぁ!」
アルラウネが喘ぎ出し、その嬌声が月夜に響いた。警備隊が待機している駐屯地にまで聞こえているかもしれないという危惧が、一瞬だけ、男の脳裡を過った。だが、情欲と一体となって性行為に没頭している男を止めるには、あまりにも無力であった。
「頼む。おれを捨てるな……捨てないでくれ。一生、守ってやるから……!」
男は自分が口走っている意味を理解などしていない。ただ、幾つもの過去の情景が鮮烈なフラッシュバックを繰り返し、只管に女と愛し合いたい、まぐわりつづけたいという欲求の嵐が、脳内を滅茶苦茶にかき回していた。
肉体の衰えなど、感じない。男はアルラウネに精を捧げると同時に活力を与えられたのかもしれない。それは燃え尽きつる寸前の炎の強い発光か、生き続けようと藻掻く抵抗か……。
何よりも、これだけで終わらせてはならないという強い意志が男の心理を支配していた。
射精感がこみ上げてくると同時に、男はまた女の乳房にしゃぶりついた。今度は最初から勢いよく噴出した母乳が、男の求めを待ち続けていたようだ。
アルラウネの乳汁が、男に最高の歓喜をもたらした。至高の美酒ですら到底及ばないであろう境地に、男の意識は舞い上がった。
刹那、解き放たれた白い獣欲の滾りが母なる深部へと飲み込まれていき、数多の子種が後れを取るまいという本能で以て進撃した。
行為が終わった後も、二人は互いの性器を結合させたまま、草の上に転がっていた。男は巨乳の合間に顔をうずめ、乳房にこびり付いている汁をすすっている。生殖器の結合部では、度重なる性行為によって許容量をとっくに超えている二人の体液がドロドロと流れ出し、地面に沁み込んでいた。
(どうして……)
声?
(どうしてなの……)
男ははっとなる。何者かの声。柔らかい、女性のものと思しき声が、脳内で木霊していたのだ。
目を見開く。心臓がドクンと高鳴る。
「誰だ……誰が……?」
(どうして殺したの……?)
男はギョッとなって乳房から顔を離し、眼前のアルラウネの表情を凝視した。
何かを訴えるような……悲しい顔で……。
(何故、あなたは……)
「止せ!」
アルラウネの女体を突き放す。ぬぷりと、肉棒が膣からまろび出た。
途端、脳内に話しかけていた女の声が途切れた。
男は息を乱し、傍らで地面に尻を押し付けたまま上体を起こしているアルラウネの姿を見返す。二つの巨峰乳が下を向いたままたぷたぷと揺れており、白い液体の付着している乳頭が一際尖って見えた。
す……っと、顔を上げ、男と視線を合わせるアルラウネ。そこにあるのは情欲でも憤りでもない――寂しい想いを抱く女の目であった。
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