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【先行公開版】第二章 灯火 - Torch -
首長会合 - Majlis of Sheikhs - 3
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◯カナン地区・西側の地域
ジェームズ、マフムード首長の案内に従ってバスを移動させる。
カナン地区西側の残りの4つの県を巡り、首長を一人一人乗せていく。
北ガザ県とガザ県は、がれきに覆われた灰色の大地と化しており、かつての生活の面影はほとんど残っていない。
一方、南のディール・バラフ県とハーン・ユーニス県には多数の難民キャンプが形成され、最南端のラファフ県にも大規模な難民キャンプが広がっている。
アヴェス、西側地域の中央付近に、東西に延びる巨大な道路が建設されていることに気付く。
(何だろう…。あんな大きな道路、以前は無かったはず…)
◯カナン地区・東側の地域
ジェームズ、東側の首長の案内に従って各県を巡り、首長たちを乗せていく。
バスの中が22人の首長とイスマイールたちでほぼ満員となる。
西側と東側の首長たち、互いに現状を報告し合う。
マフムード首長「…残念だが、北ガザ県はシオン軍にほぼ制圧されてしまった。
奴らは壁から1キロ以内に住む住民を追い出し、建物をすべて破壊している。
あの辺りには野草の群生地があるのだが、住民が摘みに行くと監視兵に銃撃される。
こっちは地下トンネルから抵抗を続けているが、戦況は厳しい」
ガザ県首長「ガザ県も似たような状況だ。
シオン軍は壁の内側だけでなく、こちらの地域を南北に分断する形で軍事回廊を敷設している。回廊から7キロ圏内にある建物が、次々と破壊されている」
ディール・バラフ県首長「軍事回廊に近付けば、射殺される。
だが、回廊の周囲には柵も境界線もない。どこまで近付けば撃たれるのか、誰にも分からん。
…住民の間では、犬の群れが集まっている場所は狙撃される可能性が高いと言われている。犬が居るということは、餌になる死体があるということだからだ」
東側の地域、ヘブロン県首長「こちらでもシオン軍が活動を始めた。住民への暴行や、公共機関への襲撃が相次いでいる」
ナーブルス県首長「我が県では、学校が襲撃された。子供たちが授業を受けているにもかかわらず、だ。安全を確保するため、学校を閉鎖せざるを得なかった…」
◯カナン地区・東側の地域・草地
ジェームズ、カナン地区の首長たちを乗せたバスと、アッバース国の木箱を、開けた草地にそっと降ろす。
ルイがバスの中に入る。
ジェームズはバスの外に残り、周囲を警戒する。
◯バスの中
アヴェスを司会進行役として、カナン地区の首長会合が始まる。
アヴェス「今週の月曜日、世連の理事会が開かれ、カナン地区の加盟を議題とする緊急特別総会の開催が、承認されました。
したがって、次の月曜日に特別総会が開催されます。
私と皇太子殿下が出席し、カナン地区の国家承認と世連加盟を申請します」
首長たち「おおっ」
大きくどよめく。
イスマイール「採決は午後の会議で行われる。加盟が承認されれば、遅くとも日没までには魔道士による防壁が完成する」
首長たち、興奮した表情でささやき合う。
ルイが首長たちの前に進み出る。
右手を胸に当て、挨拶する。
「バラトール共和国、魔道士協会の導師ルイと申します。
この度、世連の防衛部隊の隊長を任されました。
私から、魔道士が構築する障壁について説明いたします。
障壁の目安は、厚さ2メートル、高さは対象国の国情に応じたものとなります。
カナン地区の場合は、砲撃に備えて上空にも障壁を張る予定です。
障壁を張る位置は、平時であれば加盟国の国境線ですが、他国と交戦中の場合は、その国民が存在する地点までを国境とみなして張ります」
首長たち、うなずきながら聞いている。
「続いて、承認が可決された場合の流れを説明します。
防衛部隊は、承認が可決されたタイミングで行動を開始します。
高速移動でカナン地区上空へ移動し、目視で確認しながら障壁を張ります。
そのため、上空から見て、カナンの方だと分かる目印を身に着けてください。
なお、カナン地区の場合は、障壁の構築には10分も要しない見込みです」
首長たち、嬉しそうにどよめく。
「万が一、可決されなかった場合は、その旨を直接お伝えに参ります。
その際の代表者を、お一人選んでください」
首に鍵を下げた年老いた首長が、軽く手を挙げる。
「儂に知らせてほしい」
ルイ「承知しました」
老首長、質問をする。
「一つ、確認したい。
障壁を建てる時に、カナン地区の中にシオン兵が居た場合はどうなる?
シオン兵の居る場所は、カナン地区から削られるのか?」
ルイ、少し考えてから、答える。
「…世連憲章には、そこまでの細かい規定はありません。
したがって、現場の判断に委ねられます」
ルイ、顔を上げて老首長を見る。
「…私は、カナン地区がシオン国から侵攻を受けている状況を踏まえ、たとえカナン地区内にシオン兵が存在していても、カナン地区の外縁に障壁を張るべきだと判断しています」
老首長、ゆっくりとうなずく。
「…それならば、この計画でいける」
老首長、カナン地区の地図を取り出し、領土奪還計画の説明を始める。
ジェームズ、マフムード首長の案内に従ってバスを移動させる。
カナン地区西側の残りの4つの県を巡り、首長を一人一人乗せていく。
北ガザ県とガザ県は、がれきに覆われた灰色の大地と化しており、かつての生活の面影はほとんど残っていない。
一方、南のディール・バラフ県とハーン・ユーニス県には多数の難民キャンプが形成され、最南端のラファフ県にも大規模な難民キャンプが広がっている。
アヴェス、西側地域の中央付近に、東西に延びる巨大な道路が建設されていることに気付く。
(何だろう…。あんな大きな道路、以前は無かったはず…)
◯カナン地区・東側の地域
ジェームズ、東側の首長の案内に従って各県を巡り、首長たちを乗せていく。
バスの中が22人の首長とイスマイールたちでほぼ満員となる。
西側と東側の首長たち、互いに現状を報告し合う。
マフムード首長「…残念だが、北ガザ県はシオン軍にほぼ制圧されてしまった。
奴らは壁から1キロ以内に住む住民を追い出し、建物をすべて破壊している。
あの辺りには野草の群生地があるのだが、住民が摘みに行くと監視兵に銃撃される。
こっちは地下トンネルから抵抗を続けているが、戦況は厳しい」
ガザ県首長「ガザ県も似たような状況だ。
シオン軍は壁の内側だけでなく、こちらの地域を南北に分断する形で軍事回廊を敷設している。回廊から7キロ圏内にある建物が、次々と破壊されている」
ディール・バラフ県首長「軍事回廊に近付けば、射殺される。
だが、回廊の周囲には柵も境界線もない。どこまで近付けば撃たれるのか、誰にも分からん。
…住民の間では、犬の群れが集まっている場所は狙撃される可能性が高いと言われている。犬が居るということは、餌になる死体があるということだからだ」
東側の地域、ヘブロン県首長「こちらでもシオン軍が活動を始めた。住民への暴行や、公共機関への襲撃が相次いでいる」
ナーブルス県首長「我が県では、学校が襲撃された。子供たちが授業を受けているにもかかわらず、だ。安全を確保するため、学校を閉鎖せざるを得なかった…」
◯カナン地区・東側の地域・草地
ジェームズ、カナン地区の首長たちを乗せたバスと、アッバース国の木箱を、開けた草地にそっと降ろす。
ルイがバスの中に入る。
ジェームズはバスの外に残り、周囲を警戒する。
◯バスの中
アヴェスを司会進行役として、カナン地区の首長会合が始まる。
アヴェス「今週の月曜日、世連の理事会が開かれ、カナン地区の加盟を議題とする緊急特別総会の開催が、承認されました。
したがって、次の月曜日に特別総会が開催されます。
私と皇太子殿下が出席し、カナン地区の国家承認と世連加盟を申請します」
首長たち「おおっ」
大きくどよめく。
イスマイール「採決は午後の会議で行われる。加盟が承認されれば、遅くとも日没までには魔道士による防壁が完成する」
首長たち、興奮した表情でささやき合う。
ルイが首長たちの前に進み出る。
右手を胸に当て、挨拶する。
「バラトール共和国、魔道士協会の導師ルイと申します。
この度、世連の防衛部隊の隊長を任されました。
私から、魔道士が構築する障壁について説明いたします。
障壁の目安は、厚さ2メートル、高さは対象国の国情に応じたものとなります。
カナン地区の場合は、砲撃に備えて上空にも障壁を張る予定です。
障壁を張る位置は、平時であれば加盟国の国境線ですが、他国と交戦中の場合は、その国民が存在する地点までを国境とみなして張ります」
首長たち、うなずきながら聞いている。
「続いて、承認が可決された場合の流れを説明します。
防衛部隊は、承認が可決されたタイミングで行動を開始します。
高速移動でカナン地区上空へ移動し、目視で確認しながら障壁を張ります。
そのため、上空から見て、カナンの方だと分かる目印を身に着けてください。
なお、カナン地区の場合は、障壁の構築には10分も要しない見込みです」
首長たち、嬉しそうにどよめく。
「万が一、可決されなかった場合は、その旨を直接お伝えに参ります。
その際の代表者を、お一人選んでください」
首に鍵を下げた年老いた首長が、軽く手を挙げる。
「儂に知らせてほしい」
ルイ「承知しました」
老首長、質問をする。
「一つ、確認したい。
障壁を建てる時に、カナン地区の中にシオン兵が居た場合はどうなる?
シオン兵の居る場所は、カナン地区から削られるのか?」
ルイ、少し考えてから、答える。
「…世連憲章には、そこまでの細かい規定はありません。
したがって、現場の判断に委ねられます」
ルイ、顔を上げて老首長を見る。
「…私は、カナン地区がシオン国から侵攻を受けている状況を踏まえ、たとえカナン地区内にシオン兵が存在していても、カナン地区の外縁に障壁を張るべきだと判断しています」
老首長、ゆっくりとうなずく。
「…それならば、この計画でいける」
老首長、カナン地区の地図を取り出し、領土奪還計画の説明を始める。
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