31 / 43
連載
第33話 昨夜はお楽しみでしたね……
しおりを挟む
「う、うぅーん」
隣ではシーラが目を閉じて俺に寄り添っている。その寝顔はとても幸せそうで、きっと良い夢を見ているのだろう。
身体に柔らかくも暖かい感触を覚える。
昨夜の行為の後で力尽きてしまったため、お互いに生まれたままの姿で寝てしまったからだ。
初めて触れる彼女の身体はどこも柔らかく、行為の間のことがまるで夢心地の中であるように感じた。
頬にかかる髪が口に入りそうになっていたのでどけてやる。
「うぅん?」
どうやら起こしてしまったようだ、彼女は微睡ながら俺を見る。まだ頭が働かないのか、しばらくお互いに見つめ合っていると……。
「えっ? ピート?」
意識が覚醒し慌てて起き上がる。
「っ!?」
シーツが落ち、眩しくも芸術的な白い肌が目に飛び込んできた。
「落ち着け、シーラ」
彼女はシーツを巻き付けると顔を真っ赤にする。そして恥ずかしそうに上目遣いをすると……。
「そ、そっか……。私、昨日ピートと結ばれたんだ……」
思い出したようで、チラチラと視線を向けてくる。
「えへへ、おはようピート」
可愛らしい顔で朝の挨拶をするのだった。
「おはようございます。お迎えに上がりましたわ」
ホテルを出ると、そこには数人の男とミモザが立っていた。
「ありがとうございます」
泊っているホテルにピンポイントで現れたということは監視されていたということだろう。
「それでは、早速屋敷へと案内いたしますわ」
ミモザはそう言うと、振り返り歩き出した。
「昨夜は随分とお楽しみだったと聞き及んでおるぞ」
「なっ!」
屋敷に戻り、テーブルに着いたところべモンドが早速切り出してきた。
「いえいえ、これもべモンド殿からいただいた資金のお蔭です」
顔を真っ赤にしたシーラを手で遮りながら答える。どうやらシーラは昨晩の違うことを想像しているようだが、どうにか誤魔化せたか。
ミモザさんと目が合う。何かを察した様子を見せたので彼女にはバレていそうだ。
「今朝部下からの報告を聞いて驚いたわい、まさかそこまでギャンブルが強いとは」
視線をべモンドへと戻す。
あくまで友好的な態度を崩さず笑顔を見せているのだが、カジノを荒らしたことを良く思っていないのは明らかだ。
「たまたま運が良かっただけです、それよりそろそろ俺たちを呼んだ理由について話してもらえませんか?」
「うっ……そ、それもそうだな」
明らかに狼狽えた様子を見せるべモンド。やはりこちらを借金漬けにして飼い殺しにするつもりだったのは間違いなさそうだ。
「今回お呼びしたのは外界から来た方にこの領地の重要な役職について手腕を発揮してもらうためよ。こちらが条件を記した書類になるわ」
べモンドに代わりミモザさんが俺たちの前に一枚の紙を置いた。
「ちょっと読ませてもらいますね」
シーラと二人して内容を確認する。
そこにはヌエベ領で働く場合の条件と契約金に業務内容が書かれている。
シーラは執務官として、俺は私兵として雇われることになる。肩書は隊長となっているしヌエベ領の規模を考えると中々の厚遇と言えるだろう。
「どうじゃな? この領は昨晩体験してもらったように娯楽や食料に酒が豊富だ。外から来たお主らも退屈せずに暮らせると思うが?」
「確かにこの領地はこれまで見てきた中でもっとも栄えていて過ごしやすそうです。ここに滞在すれば仕事にも困らなそうだし、契約すれば裕福な生活を送ることが保証されている」
「そ、そうであろう!」
ヌエベ領に滞在する利点を挙げるとべモンドが嬉しそうに相槌をうった。
「……ピート」
だが、俺は裾を摘まんでくるシーラに頷くと。
「だがお断りさせてもらおう」
「なぬっ!?」
「り、理由を聞かせて下さい!」
焦るべモンドとミモザさん。
「相手を嵌めようとする奴は信用ならないからだ」
俺が理由を言うと二人は口を大きく開いたまま固まるのだった。
隣ではシーラが目を閉じて俺に寄り添っている。その寝顔はとても幸せそうで、きっと良い夢を見ているのだろう。
身体に柔らかくも暖かい感触を覚える。
昨夜の行為の後で力尽きてしまったため、お互いに生まれたままの姿で寝てしまったからだ。
初めて触れる彼女の身体はどこも柔らかく、行為の間のことがまるで夢心地の中であるように感じた。
頬にかかる髪が口に入りそうになっていたのでどけてやる。
「うぅん?」
どうやら起こしてしまったようだ、彼女は微睡ながら俺を見る。まだ頭が働かないのか、しばらくお互いに見つめ合っていると……。
「えっ? ピート?」
意識が覚醒し慌てて起き上がる。
「っ!?」
シーツが落ち、眩しくも芸術的な白い肌が目に飛び込んできた。
「落ち着け、シーラ」
彼女はシーツを巻き付けると顔を真っ赤にする。そして恥ずかしそうに上目遣いをすると……。
「そ、そっか……。私、昨日ピートと結ばれたんだ……」
思い出したようで、チラチラと視線を向けてくる。
「えへへ、おはようピート」
可愛らしい顔で朝の挨拶をするのだった。
「おはようございます。お迎えに上がりましたわ」
ホテルを出ると、そこには数人の男とミモザが立っていた。
「ありがとうございます」
泊っているホテルにピンポイントで現れたということは監視されていたということだろう。
「それでは、早速屋敷へと案内いたしますわ」
ミモザはそう言うと、振り返り歩き出した。
「昨夜は随分とお楽しみだったと聞き及んでおるぞ」
「なっ!」
屋敷に戻り、テーブルに着いたところべモンドが早速切り出してきた。
「いえいえ、これもべモンド殿からいただいた資金のお蔭です」
顔を真っ赤にしたシーラを手で遮りながら答える。どうやらシーラは昨晩の違うことを想像しているようだが、どうにか誤魔化せたか。
ミモザさんと目が合う。何かを察した様子を見せたので彼女にはバレていそうだ。
「今朝部下からの報告を聞いて驚いたわい、まさかそこまでギャンブルが強いとは」
視線をべモンドへと戻す。
あくまで友好的な態度を崩さず笑顔を見せているのだが、カジノを荒らしたことを良く思っていないのは明らかだ。
「たまたま運が良かっただけです、それよりそろそろ俺たちを呼んだ理由について話してもらえませんか?」
「うっ……そ、それもそうだな」
明らかに狼狽えた様子を見せるべモンド。やはりこちらを借金漬けにして飼い殺しにするつもりだったのは間違いなさそうだ。
「今回お呼びしたのは外界から来た方にこの領地の重要な役職について手腕を発揮してもらうためよ。こちらが条件を記した書類になるわ」
べモンドに代わりミモザさんが俺たちの前に一枚の紙を置いた。
「ちょっと読ませてもらいますね」
シーラと二人して内容を確認する。
そこにはヌエベ領で働く場合の条件と契約金に業務内容が書かれている。
シーラは執務官として、俺は私兵として雇われることになる。肩書は隊長となっているしヌエベ領の規模を考えると中々の厚遇と言えるだろう。
「どうじゃな? この領は昨晩体験してもらったように娯楽や食料に酒が豊富だ。外から来たお主らも退屈せずに暮らせると思うが?」
「確かにこの領地はこれまで見てきた中でもっとも栄えていて過ごしやすそうです。ここに滞在すれば仕事にも困らなそうだし、契約すれば裕福な生活を送ることが保証されている」
「そ、そうであろう!」
ヌエベ領に滞在する利点を挙げるとべモンドが嬉しそうに相槌をうった。
「……ピート」
だが、俺は裾を摘まんでくるシーラに頷くと。
「だがお断りさせてもらおう」
「なぬっ!?」
「り、理由を聞かせて下さい!」
焦るべモンドとミモザさん。
「相手を嵌めようとする奴は信用ならないからだ」
俺が理由を言うと二人は口を大きく開いたまま固まるのだった。
119
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。
織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。
父であるアーヴェント大公に疎まれている――
噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。
【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。