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第1話 王選定儀式
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『それでは、ただいまより【王選定儀式】を開始いたします』
一段高い壇上に恰幅の良い男が立ち宣言を行っている。この国、サントブルム王国の大臣ズンポイだ。胸元にはこの国に所属する勲章があり、星が四つ輝いている。
『召喚者の諸君には、これから自分が支持する王候補を選んでもらいます』
ズンポイの更に一段上に、三人の男女が立っている。
儀式のため、それぞれ用意した衣装を身に着けており、存在感をだしていた。
胸元には同じく勲章があり、星が七つ輝いていた。
『僭越ながら私の方から紹介させていただきます』
ズンポイは真ん中に立つ男に掌を向けた。
『サントブルム王国第一王子、ローウェル様』
鋭い眼光に鍛えられた身体、二十歳ほどの金髪の男だ。
涼し気な青眼と整った顔立ちにクラスの女子たちは皆ローウェルに見惚れていた。
ズンポイの言葉に応えて、ローウェルが一歩前に出る。
「召喚者諸君。誰がこの国の王位を継ぐのが最善か、この一ヶ月で良くわかっていることだろう。諸君が賢明な判断をすることを願っている」
力強い声が部屋中に広がる。堂々と、要件だけを告げて下がったローウェルにその場の皆は自然と視線を惹きつけられた。
『それでは、次に、サントブルム王国第一王女、アマンダ様』
ズンポイの言葉を聞き、ローウェルの隣に立つ女性が前へと出た。
煌びやかなドレスに身を包み、誰もが見惚れてしまうような美貌はローウェルと同じ、王家の血筋なのだと納得させられる。
今度はクラスの男どもが鼻の下を伸ばして彼女を見ている。
「ただいま紹介に預かりました、アマンダです。さきほど、お兄様は『誰がこの国の王位を継ぐか』について語っておりましたが、本来であればこのような茶番は不要。この場の全員が私を支持すれば手間がないと思いませんか? 皆さまの決断を信頼しております」
そう言って華が咲いたような笑顔を見せると、誰もが見惚れてしまい言葉を失った。
第一王子のローウェルは剣聖と呼ばれ、数年前にはドラゴンを単身討伐している。
その成果があってか、王国の騎士団からの信頼は厚い。
いっぽう、第一王女のアマンダも賢者と呼ばれ、その美貌もさることながら頭脳明晰。昔から国政に参加しており、輝かしい功績を上げていた。
国としての評価はどちらかが王位を継承してくれれば安泰。この一月の間、耳がタコになるくらい聞かされてきた情報だ。
会場が熱を持ち、俺を含む召喚者と呼ばれるクラスメイトたちはどちらに付くべきか、ひそひそと相談していると――
『コホン。それでは最後の人物を紹介します』
ズンポイが咳ばらいをし、その場を静寂が満たした。
誰もが忘れていたが、壇上にはあと一人の王候補が立っているのだ。
『サントブルム王国第三王女、オリヴィア様』
前の二人と違い、仮面を付けて顔を隠している。さらには、頭からローブを被っているのでどのような顔や体型をしているのかまったくわからない。
その姿は地味に映り、現にこの場にいる貴族の連中は彼女をみて含み笑いをしていた。
彼女は前に出ると、仮面の隙間から気だるげな瞳を全員に向ける。そして、正面を見ると誰に話すとでもなくポツリと漏らした。
「私は王位に興味はありません。そんなものはそこの二人で争ってください」
ざわめきが起こる。ローウェルは険しい表情を浮かべ、アマンダは優雅な笑みのまま表情を張り付かせている。
『なんと無礼な……』
『聞きしに勝る身勝手さ』
『なぜあのような者が、王選に?』
国の未来を決める一大行事ををバッサリと「あんなもの」呼ばわりしたオリヴィアにその場の貴族たちから批難が殺到する。
無理もない。これもこの世界に召喚されてから一ヶ月の間散々聞かされてきたのだが……。
彼女は王族でありながら、政治、武力、権力争いに興味を持たず、誰ともまともに言葉をかわさない”いばら姫”と呼ばれていたからだ。
一段高い壇上に恰幅の良い男が立ち宣言を行っている。この国、サントブルム王国の大臣ズンポイだ。胸元にはこの国に所属する勲章があり、星が四つ輝いている。
『召喚者の諸君には、これから自分が支持する王候補を選んでもらいます』
ズンポイの更に一段上に、三人の男女が立っている。
儀式のため、それぞれ用意した衣装を身に着けており、存在感をだしていた。
胸元には同じく勲章があり、星が七つ輝いていた。
『僭越ながら私の方から紹介させていただきます』
ズンポイは真ん中に立つ男に掌を向けた。
『サントブルム王国第一王子、ローウェル様』
鋭い眼光に鍛えられた身体、二十歳ほどの金髪の男だ。
涼し気な青眼と整った顔立ちにクラスの女子たちは皆ローウェルに見惚れていた。
ズンポイの言葉に応えて、ローウェルが一歩前に出る。
「召喚者諸君。誰がこの国の王位を継ぐのが最善か、この一ヶ月で良くわかっていることだろう。諸君が賢明な判断をすることを願っている」
力強い声が部屋中に広がる。堂々と、要件だけを告げて下がったローウェルにその場の皆は自然と視線を惹きつけられた。
『それでは、次に、サントブルム王国第一王女、アマンダ様』
ズンポイの言葉を聞き、ローウェルの隣に立つ女性が前へと出た。
煌びやかなドレスに身を包み、誰もが見惚れてしまうような美貌はローウェルと同じ、王家の血筋なのだと納得させられる。
今度はクラスの男どもが鼻の下を伸ばして彼女を見ている。
「ただいま紹介に預かりました、アマンダです。さきほど、お兄様は『誰がこの国の王位を継ぐか』について語っておりましたが、本来であればこのような茶番は不要。この場の全員が私を支持すれば手間がないと思いませんか? 皆さまの決断を信頼しております」
そう言って華が咲いたような笑顔を見せると、誰もが見惚れてしまい言葉を失った。
第一王子のローウェルは剣聖と呼ばれ、数年前にはドラゴンを単身討伐している。
その成果があってか、王国の騎士団からの信頼は厚い。
いっぽう、第一王女のアマンダも賢者と呼ばれ、その美貌もさることながら頭脳明晰。昔から国政に参加しており、輝かしい功績を上げていた。
国としての評価はどちらかが王位を継承してくれれば安泰。この一月の間、耳がタコになるくらい聞かされてきた情報だ。
会場が熱を持ち、俺を含む召喚者と呼ばれるクラスメイトたちはどちらに付くべきか、ひそひそと相談していると――
『コホン。それでは最後の人物を紹介します』
ズンポイが咳ばらいをし、その場を静寂が満たした。
誰もが忘れていたが、壇上にはあと一人の王候補が立っているのだ。
『サントブルム王国第三王女、オリヴィア様』
前の二人と違い、仮面を付けて顔を隠している。さらには、頭からローブを被っているのでどのような顔や体型をしているのかまったくわからない。
その姿は地味に映り、現にこの場にいる貴族の連中は彼女をみて含み笑いをしていた。
彼女は前に出ると、仮面の隙間から気だるげな瞳を全員に向ける。そして、正面を見ると誰に話すとでもなくポツリと漏らした。
「私は王位に興味はありません。そんなものはそこの二人で争ってください」
ざわめきが起こる。ローウェルは険しい表情を浮かべ、アマンダは優雅な笑みのまま表情を張り付かせている。
『なんと無礼な……』
『聞きしに勝る身勝手さ』
『なぜあのような者が、王選に?』
国の未来を決める一大行事ををバッサリと「あんなもの」呼ばわりしたオリヴィアにその場の貴族たちから批難が殺到する。
無理もない。これもこの世界に召喚されてから一ヶ月の間散々聞かされてきたのだが……。
彼女は王族でありながら、政治、武力、権力争いに興味を持たず、誰ともまともに言葉をかわさない”いばら姫”と呼ばれていたからだ。
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