クラス転移、異世界に召喚された俺の特典が外れスキル『危険察知』だったけどあらゆる危険を回避して成り上がります

まるせい

文字の大きさ
4 / 22

第4話 いばら姫

しおりを挟む
 ――チャプチャプ―― 

 水を絞る音が聞こえ、何か冷たいものが頭に乗せられた。

 その刺激により意識が覚醒し、俺は目を開けた。

「あっ、気が付かれましたか?」

 メイド服を着た女の子の顔が視界いっぱいに飛び込んでくる。

「ここは……いったい、どうなった?」

 さきほどまで、王候補の選定を行っていた。

 俺は何が何でもローウェル陣営に付きたくて、這って進んでいたはずだが、無事に入ることができたのだろうか?

「姫様が突然あなたを連れてきたときはびっくりしました。もう平気なんですか?」

 メイドは首を傾げると、眉根を寄せ、俺を観察している。

 美人というよりは可愛い印象が強いが、整った顔立ちをしており、至近距離から見つめられるとどうにも気分が落ち着かない。

「えっと、ここはどこ? 君は誰?」

 平気かと言われても自分の状態がどうなっているのかいまいちかわからない。俺はひとまず状況を整理するため、目の前のメイドに質問した。

「私は姫様専属メイドのパメラです。ここは姫様の屋敷ですけど?」

 パメラはそう言うと首を傾げて見せた。

「その姫様というのは?」

 ますます疑問が深まる。その人物の名前を聞き出そうとした丁度そのタイミングで、奥の部屋のドアが開いた。

 中から出てきたのはバスローブ一枚を身に纏った女の子だった。
 髪から水がぽたぽたと零れていることから風呂に入っていたのだと想像できる。

 問題はその容姿だ。

 俺はこれまで異世界で生活している間に様々な美男美女を目にしてきている。

 ローウェル陣営もアマンダ陣営も、召喚者を獲得するために貴族の令嬢や令息を使って俺たちを懐柔しようとしたからだ。

 もっとも、俺に大した能力がないとわかったあとは自然と離れていったため、特になにかがあったわけではない。

 目の前の女の子は、異世界で美男美女を見て目が肥えている俺が言葉を失うほどの美しさだった。

「あっ、姫様。また髪を拭かずに出てこられて」

 パメラがバスタオルを手に彼女の髪から水分を拭き取っている。
 その丁寧な仕草と呼び名で、彼女がこの部屋の主であることがはっきりした。

 彼女は俺の向かいに腰かけると目を瞑りパメラにされるがままにしている。まるで俺など存在していないかのような振る舞いをしている。

「あの……」

 俺の声に反応して彼女の瞳が俺に向く。

「貴女はいったい、どうして俺はここにいるんですか?」

 『姫』などと呼ばれているあたり高貴な身分に違いない。俺は咄嗟に勲章を確認しようと胸元に視線をやる。

 だが、風呂上がりの彼女は身分を証明する勲章を身に着けていなかった。

「貴方が気絶して儀式が終わらなかったから。あの二人も要らないというので私が引き取ったのよ」

 その声に聞き覚えがある。半分閉じた瞼に宝石のように綺麗な色の瞳。

「もしかして、オリヴィア様ですか?」

 仮面とローブを身に着けていた時からは想像もつかなかった。目の前にいるのはあの”いばら姫”と称される王女だった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

鑑定持ちの荷物番。英雄たちの「弱点」をこっそり塞いでいたら、彼女たちが俺から離れなくなった

仙道
ファンタジー
異世界の冒険者パーティで荷物番を務める俺は、名前もないようなMOBとして生きている。だが、俺には他者には扱えない「鑑定」スキルがあった。俺は自分の平穏な雇用を守るため、雇い主である女性冒険者たちの装備の致命的な欠陥や、本人すら気づかない体調の異変を「鑑定」で見抜き、誰にもバレずに密かに対処し続けていた。英雄になるつもりも、感謝されるつもりもない。あくまで業務の一環だ。しかし、致命的な危機を未然に回避され続けた彼女たちは、俺の完璧な管理なしでは生きていけないほどに依存し始めていた。剣聖、魔術師、聖女、ギルド職員。気付けば俺は、最強の美女たちに囲まれて逃げ場を失っていた。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

神々に見捨てられし者、自力で最強へ

九頭七尾
ファンタジー
三大貴族の一角、アルベール家の長子として生まれた少年、ライズ。だが「祝福の儀」で何の天職も授かることができなかった彼は、『神々に見捨てられた者』と蔑まれ、一族を追放されてしまう。 「天職なし。最高じゃないか」 しかし彼は逆にこの状況を喜んだ。というのも、実はこの世界は、前世で彼がやり込んでいたゲーム【グランドワールド】にそっくりだったのだ。 天職を取得せずにゲームを始める「超ハードモード」こそが最強になれる道だと知るライズは、前世の知識を活かして成り上がっていく。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで

六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。 乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。 ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。 有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。 前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

処理中です...