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第20話 今後の方針
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ふと気が付くと、胸から腹にかけて何か柔らかく暖かいものが接している感触がした。
目を開けてみると、視界一杯に獣耳がついた頭が映っている。
俺たちとは違い、大きなそれは短い毛が大量に生えており、俺の息がかかるたびピクピクと反応している。
思わず触れてみたい衝動に駆られるのだが流石に寝ている間に勝手に触れるのは良くないと考え堪えることにした。
それにしても、昨晩寝る時は距離を離していたはずなのだが、身体中に感じる温もりから推測するに、俺は今キキョウに抱き着かれている状態らしい。
ふと意識を集中すると足に何かが触れている。
キキョウが足を絡めてきているのだが、尻にある尻尾が動き俺の足をくすぐっていた。
なんとも立派な尻尾で尻の付け根から小麦色で、先っぽの方は白くなっている。
「……すんすん」
キキョウが何やら臭いを嗅ぐと、顔をあげ、目を瞑った顔を近付けてきた。
「お、おい」
胸から首、そして顔へと頬ずりをしてきたので、焦った俺は右手で彼女の顔を押しとどめる。
「んっ……」
すると彼女は俺の手に頬ずりをすると幸せそうに口元を緩めた。
「キキョウ、起きてくれ」
このままされっぱなしにするわけにもいかない。
俺はキキョウに声を掛けて起こしてやる。
「ふぁ……、おはようございますライアス」
瞼を半分開くと、キキョウは目を擦って挨拶をした。
「そろそろ離れてもらえないだろうか?」
こうしている間にも、キキョウの温もりが伝わってくる。彼女が起きてから身体を動かすせいで、ますます接触する部分が増えてドキドキしてしまう。
「ん、朝が弱いのでもう少しこのままでお願いします」
ところが、キキョウはそう答えると俺の胸に頭を預けた。
「どうして抱き合っているんだ? 昨晩寝たときは離れていたとおもうんだが?」
起きてくれないのなら仕方ない。俺はキキョウに現状の説明を求めるのだが……。
「どうやら、私はライアスの匂いが割と好みのようです。寝ている間に自然と引き寄せられてしまいました」
「それは……俺が美味しそうだとか?」
もしかして餌として見られているのだろうか?
「頼むから食べないでくれよ?」
「ふふふ、考えておきますね」
冗談で言ったつもりだったのだが、キキョウはそう笑うと俺に視線を向けてくるのだった。
「さて、取り敢えず今日からしばらく一緒に迷宮に潜ろうか」
あれから、キキョウが意識を覚醒し、顔を洗ったり朝食を摂ったりして準備を終えると、俺は今日の予定について話をはじめた。
「俺たちは住む場所もまったく別なところからこの場所――おそらくユグドラシルと呼ばれる迷宮に転移させられた。元の場所に戻るためにはここを攻略して謎を解明するのが一番だと思うからだ」
「ええ、私もライアスの言葉に異論ありません」
キキョウもこの地に転移してから小屋の外部の地形を確認したらしく、ここが隔離された場所だと認識していた。
「今のところ、俺は二階への階段を発見している。だが、迷宮という構造上、上に上がれば上がるほど出現するモンスターは強くなっているはずなんだ」
進めば進むほど困難が待ち受けているのが迷宮なので、慎重に立ち回る必要がある。
「ひとまず、今日からしばらくは一階で狩りをしてポイントを溜めつつキキョウにも戦闘に慣れてもらおうと思う。ある程度ポイントが溜まったら、食糧を買い込んで二階を攻略しよう考えているんだが、どうだ?」
迷宮でモンスターを倒すと強くなる。昨日の戦闘を見る限り、キキョウはもう少し一階での戦闘の回数をこなした方が良いと思った。
「そうですね、ライアスに頼らずとも戦える力は身に着けたいところです。それでよいと思いますよ」
彼女は俺の提案を受け入れてくれた。
「それじゃあ、早速迷宮に繰り出すとしよう」
目を開けてみると、視界一杯に獣耳がついた頭が映っている。
俺たちとは違い、大きなそれは短い毛が大量に生えており、俺の息がかかるたびピクピクと反応している。
思わず触れてみたい衝動に駆られるのだが流石に寝ている間に勝手に触れるのは良くないと考え堪えることにした。
それにしても、昨晩寝る時は距離を離していたはずなのだが、身体中に感じる温もりから推測するに、俺は今キキョウに抱き着かれている状態らしい。
ふと意識を集中すると足に何かが触れている。
キキョウが足を絡めてきているのだが、尻にある尻尾が動き俺の足をくすぐっていた。
なんとも立派な尻尾で尻の付け根から小麦色で、先っぽの方は白くなっている。
「……すんすん」
キキョウが何やら臭いを嗅ぐと、顔をあげ、目を瞑った顔を近付けてきた。
「お、おい」
胸から首、そして顔へと頬ずりをしてきたので、焦った俺は右手で彼女の顔を押しとどめる。
「んっ……」
すると彼女は俺の手に頬ずりをすると幸せそうに口元を緩めた。
「キキョウ、起きてくれ」
このままされっぱなしにするわけにもいかない。
俺はキキョウに声を掛けて起こしてやる。
「ふぁ……、おはようございますライアス」
瞼を半分開くと、キキョウは目を擦って挨拶をした。
「そろそろ離れてもらえないだろうか?」
こうしている間にも、キキョウの温もりが伝わってくる。彼女が起きてから身体を動かすせいで、ますます接触する部分が増えてドキドキしてしまう。
「ん、朝が弱いのでもう少しこのままでお願いします」
ところが、キキョウはそう答えると俺の胸に頭を預けた。
「どうして抱き合っているんだ? 昨晩寝たときは離れていたとおもうんだが?」
起きてくれないのなら仕方ない。俺はキキョウに現状の説明を求めるのだが……。
「どうやら、私はライアスの匂いが割と好みのようです。寝ている間に自然と引き寄せられてしまいました」
「それは……俺が美味しそうだとか?」
もしかして餌として見られているのだろうか?
「頼むから食べないでくれよ?」
「ふふふ、考えておきますね」
冗談で言ったつもりだったのだが、キキョウはそう笑うと俺に視線を向けてくるのだった。
「さて、取り敢えず今日からしばらく一緒に迷宮に潜ろうか」
あれから、キキョウが意識を覚醒し、顔を洗ったり朝食を摂ったりして準備を終えると、俺は今日の予定について話をはじめた。
「俺たちは住む場所もまったく別なところからこの場所――おそらくユグドラシルと呼ばれる迷宮に転移させられた。元の場所に戻るためにはここを攻略して謎を解明するのが一番だと思うからだ」
「ええ、私もライアスの言葉に異論ありません」
キキョウもこの地に転移してから小屋の外部の地形を確認したらしく、ここが隔離された場所だと認識していた。
「今のところ、俺は二階への階段を発見している。だが、迷宮という構造上、上に上がれば上がるほど出現するモンスターは強くなっているはずなんだ」
進めば進むほど困難が待ち受けているのが迷宮なので、慎重に立ち回る必要がある。
「ひとまず、今日からしばらくは一階で狩りをしてポイントを溜めつつキキョウにも戦闘に慣れてもらおうと思う。ある程度ポイントが溜まったら、食糧を買い込んで二階を攻略しよう考えているんだが、どうだ?」
迷宮でモンスターを倒すと強くなる。昨日の戦闘を見る限り、キキョウはもう少し一階での戦闘の回数をこなした方が良いと思った。
「そうですね、ライアスに頼らずとも戦える力は身に着けたいところです。それでよいと思いますよ」
彼女は俺の提案を受け入れてくれた。
「それじゃあ、早速迷宮に繰り出すとしよう」
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