上 下
1 / 1

俺、惚れちまったみたいだ・・・近所に住む美少女に恋した夫の心を取り戻したい・・・

しおりを挟む
「どうしたの?そんなにお洒落をして。まるで、お父さんの気を引こうとしてるみたい」
「そう?そんなふうに見える?」
中学生の娘にそう言われて、私はそう答えた。
同じ女性同士、やはり勘は鋭い。
そう、私は負けたくなかった。
あの女に。

「俺、惚れちまったんだ。あの子に」
旦那の気持ちを掴んで話さないあの女、いえ、少女。
近所に住む10歳の美少女は最近この辺りに越してきた。

私と旦那が犬の散歩に出かけると、ちょうど玄関から出てきて「こんにちは」と挨拶をしてくる。
その笑顔がまるで、ローズマリーのように健気で美しかった。
女性の私でも心が揺れるほどかわいいと思ってしまうほど。

あの美少女と出会ってからというもの、旦那の様子がおかしい。
「あの子、どうしてるかな?」だの、「ああ、また会いたい」と呟く。
クッションを抱きかかえたままボーッとすることも増えてきた。

私の大事な夫の気持ちをつかんで離さない美少女に、私はもう怒り心頭。
「なによ!こんなにも愛してるっていうのに、あんな子供にうつつを抜かすだなんて!」

私は美少女に会い、お菓子をあげてお願いをした。
「ね、お願い」
「わかった」

次の日。
「ああ、辛い」
「どうしたの?」
「あの美少女に近寄らないで!って言われちゃったんだよ。俺、なんか嫌われるようなことしたかな?」
「きっと、あなたはあの子のタイプじゃないのよ」
「そうなのか」

私があの子の気持ちをお菓子でつかみ、あなたを嫌うように仕向けたの。
ごめんなさいね。


しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...