上 下
1 / 1

あなたの犬と交換しない?ママ友が自分のペットの犬と交換しようといろいろ自慢してくるけど・・・

しおりを挟む
「ね、あなたの犬、私のことが好きみたいね」
「はい」
「だからさ、あなたの犬と交換しない?」
家に遊びに来たママ友の智代さんが、いきなり私にこう提案してきた。
「そんなことを急に言われても生き物ですから、簡単には交換できませんよ。大切な家族ですし」
「家族?ペットでしょ?」
「・・・」
こんな人に大切な犬を渡して、ちゃんと面倒を見てくれるかしら?

とても不安になる私に、「あら?あたしを信用できないの?その疑いの目はなに?大切なママ友よりも、犬の方を選ぶって言うの?」
面倒な人だなと思うママ友の注文に、私は早くここから逃げ出したいと思った。

しかし、そんな気持ちを察知したのか、智代さんが「大丈夫よ。うちなら家が広いから、散歩に行かなくても家の中で走らせられるし、犬用のおもちゃがたくさんあるから、飽きさせないわ」と言ってきた。

「それにね、犬用のお洋服からオムツも揃ってるし、なんといってもドッグフードが違うのよ」
「ドッグフードが違うんですか?素材とか味が?」
「ええ、そこらへんのやっすいドッグフードじゃなくてね、うちでは高級な鹿肉やラム肉を海外からわざわざ取り寄せて与えてるのよ」と自慢する。
「そうですか」

「ね、早くうちの子とあなたの犬を交換しましょうよ」
せかす智代さんに、「いえ、すいませんが、うちの子は鹿肉やラム肉は食べませんし、外でちゃんと散歩しないとストレスが溜まる子なので、智代さんには無理ですよ」
「え?大丈夫よ。庭でたくさん遊ばせるし」
「いえ、そこじゃなくて、智代さんの犬、もう15歳ですよね?いくらなんでも1歳になったばかりのうちの子と違い過ぎませんか?」
「なにがよ」
「歳がですよ。高齢犬を人に押し付けるだなんてダメですよ。きちんと最後まで面倒を見ることが飼い主にとって大切なことなんですから」
「そ、そうかもしれないけどね。やっぱりあなたの犬がいいのよ」
「だから!最後まで面倒見ない人と犬を交換することはできません!」

智代さんは、私の強い口調にそそくさと家に帰って行った。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...