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あたし、まだホテルに泊まっていたいの・・・宿泊費を払ってとママ友からの驚きの催促!旦那様の仕事の話を持ち出して・・・

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「ああ、快適だわ」とホテル生活を送るママ友の咲絵さんから夜遅くに電話がかかってきた。
「あたしね、沖縄のホテルに1週間も泊まってるのよ」
「凄いですね。ホテルに1週間も宿泊できるなんて」
「まあね。美しい景色と美味しい料理、部屋はルーム係がきれいに掃除してくれるんだから。もうやめらんないわ・・・この生活」
「私も泊まってみたいな」
「街を散策するのもいいものよ。テブチーだのゴーヤチャンプルなんて美味しくて、つい食べ過ぎちゃうのよ」
「いいですね。行ってみたい」
「それでさ、あたし、まだずっと泊まっていたいのよね」
「はい」
「だから、あなたがこのホテルの宿泊費を払ってほしいのよ」
「え?ええ!?あたしがですか?いえ、いえ。無理ですよ」
「どうして?あなたの旦那、係長に昇格したのよね?給料も増えたじゃない。宿泊費の10万ぐらいイケるでしょ」
「じゅ、10万!!!いえ、無理ですから」
「そうやって無理とか言ってるとね、課長になれないわよ?もっと冒険しなくっちゃ」
「冒険って、ママ友の宿泊費を代わりに払う冒険なんて、いりませんから」
「あんた!さっきから下手に出てやってればなんなの?その言い方!ママ友のあたしよ?そんなあたしがあなたの代わりに遊んであげて、旅を満喫してやってんのよ」

無理だわ・・・私はもう黙っていられなくなった。

「咲絵さんの旦那さんは自営業をされていますよね?」
「え、ええ。それがなにか?」
「個人経営なんですから、それなりに稼いでらっしゃいますよね?」
「そ、そうよ。稼いでるわよ」
「なら、10万円のはした金くらい払えるじゃないですか?あ、それとも、経営がうまくいかなくなってて、火の車なんですかね?」
「んなことないわよ!」
「だったら旦那さんにお金を出してもらえばいいじゃないですか?あれ?それとも経営状態が悪いから、夫婦関係もうまくいかなくて、沖縄に逃げたんですかね?で、お金がないのに宿泊しちゃったんですかね?」
「違う、違うわよ。あたしはお金を持っていると思ったんだけどさ、家に忘れてきちゃったのよ」
「そうですか?近頃の咲絵さん、ママ友にお金を借りることが多いから、旦那さんの経営がうまくいってないって噂になってたんですよ」
「そ、そんな噂はありえないわ」
「いいえ、ママ友に何度もお金を借りてて、その額300万にもなるって、徳子さんが言ってましたもの」
「そ、そう?あら!もうこんな時間。早く寝なくちゃ。ごめんなさいね。あたし、寝るわ」

一方的に電話を切ってしまった咲絵さん。
力を込めて受話器を置き、寝る私だった。


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