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8話 妹、嵐のごとく
しおりを挟む俺の部屋に戻ると鍵が開いていた。焦ることは無い。俺以外にエントランスを抜け、俺の部屋に入れるのは一人しかいない。
「ただいまー」
「おかえり!おにーちゃん!」
「ぐへぇ……腹に突撃するなよ……」
「えへへー」
妹の日向だ。少し元気すぎるのだが。まぁ、俺には関係ない。日向は今年、受験生なのであまり甘やかしたくないのだが、どうしても甘やかしてしまう。
「お前な……少しは頻度考えろよ。二週に一回も来なくてよろしい」
「ちゃんと勉強してるよ?」
「まぁそれなら……」
ちゃんとやってるならいいや。で?
「今日はなんで来たんだ?」
「家は息が詰まるもん」
あ~分かる。俺の時はそうでもなかったけどこいつはちょっとピンチだからな~
「今日はここに泊まりたい!」
「なーに言ってんの?平日はダメ。土曜日なら泊めてやると言ってるじゃないか」
「え~なんで~」
「明日も学校がある」
「ぶ~……いじわる!」
「ダメなもんはダメだ」
「なら、土曜日にまた来る」
「はいはいじゃあね」
「うん!じゃあねー」
嵐のような奴だな。もう少し落ち着けよ……
「あ、あとひとつ!」
「なんだ?」
「彼女できた?」
何を聞いているのだか……
「できてないぞ。もし、俺に彼女ができるとするならばそれは地球が滅びる時くらいだ」
「あ~……そういえばお兄ちゃんはお兄ちゃんなんだった……」
「当たり前だけど?まぁ、家に帰りな」
「はぁ……土曜日来るからね!」
「はいはい」
ドタドタと騒がしく去っていく。
そういえば、あいつ反抗期とかないのかな?あいつくらいの歳だと兄とか父とかには近づきたくない年頃だと思うんだが……ないならないでいいや。
~~~~~~~~~2日後~~~~~~~~~~
俺、思うんだが、最近、女子と関わることが多い気がする。まぁ、優希と比べたら比較対象にすらならないけどね。
「それで?紫野宮くん。どうだった?」
「ヒロインが死んだシーンが良かったです。勝手に想像してるだけですけど次の巻か、その次くらいに生き返らせるために奔走する主人公を想像するだけで楽しみになってきます。違うパターンでもいいですよね」
日野さんが固まってる。大丈夫かな?ダメだったのかな?うーん……
と、考えていると、
「なんで、わかるの?」
「は?」
「私も次の巻は生き返らせるために奔走させようと思ってた。でも、あのヒロインは物語に影響が少ないから生き返らせるということはあまり考えないと思う。だからなんで?」
「待ってろよのセリフがあったじゃないですか」
「え?正しく理解してくれているの?」
「何が正しくて何が間違いかは知りませんが、少なくとも僕は仇討ちでなくて、蘇生だと思いましたよ?」
「なるほど……この前エゴサしたら、仇討ちが楽しみという声が多かったから理解してくれている人がいないのかと思ってた」
「まぁ、受け取り方は人それぞれですしね」
「そうだね。感想ありがとう。いつかお礼するから」
「お礼なんてそんな……いいですよ。思ったこと話しただけですから」
「それがいいの……まぁ、今日はありがとう」
「いえいえ~では、ここら辺で」
「わかった。私はもう少しここにいる」
「頑張ってください」
屋上は静かだからな。執筆にはむいているんだよな。さて、俺は帰ろうか。
屋上の唯一の出口に近づく。ドアノブをまわそうとしてやめた。向こう側に誰かいる。
「話って何?」
紗霧さん!?
「ああ……わざわざ来てくれてありがとう」
誰!?
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