上 下
12 / 12

12話 遊園地

しおりを挟む
 ピピピピピピ……

「ん……よいしょー!」

 現在、朝の八時半。妹が来るまであと三十分。
外を見た感じだと、とっても晴れ。よかった。さっさと朝飯を食べる。いつもよりよく寝た。

 ピコン!

「ん?」
『お兄~ちゃん!そろそろ着くよー』
「嘘だろおい!」

 あいつのそろそろは最寄りの駅に着いたということだ。あと、五分になってしまった。

「やばいやばい……」

 やばいと言ってみたが状況は良くなる訳では無い。急がなければ。

「とりあえず着替えよう」

 適当な服装……いや、動きやすいのがいいだろう。

 ピンポーン!

「ちっ」

 あえて鳴らしやがった。合鍵は持っとるくせにあえて、だ。しかし、出てやらなかったら拗ねてしまう。故に出ないという選択肢はとれない。

「はーい……」

 ドアを開けた瞬間、飛びついてきた。

「来たよぉぉ!」
「ごふぅ!」
「ふふふ~お兄ちゃん朝ごはんまだでしょ?」
「お前が早いからな」
「だから、作ってしんぜよう!」

 こいつ、朝から元気やなぁ……そういえば、こいつには今日、遊園地に行くことを伝えてないんだった。

「日向」
「何~?」
「今日は遊園地に行こうと……」
「行く!!!」

 まだ言い切ってねぇってぇの……ふむ、行きたいのならよかった。嫌!!って言われたらどうしようかと思ったわ。

「はい、お兄ちゃん」
「ん?おぉ」

 渡されたのは一泊分の荷物。流石女子。めちゃくちゃ重い。

「いつも通り?」
「うん」

 俺の部屋に置くらしい。

「よっこらせー!」
「いや、飯作る声じゃねえ!」

 俺が荷物置きに行ってる間に何しやがった?

「できたァ!」

 不安でいっぱいです。なんだかんだ言って大失敗は無いのだ。でも、不安だ……

「はい、お兄ちゃん」

 出てきたのはパンケーキ。しかし、台所を見る限りフライ返しを使った形跡はない。ということはフライパンだけでまわしたのだろう。

「凄いな」
「えへへー」

 二人で食べる朝食は新鮮だ。しかも、美味い。フワッフワだ。

「開園は十時だからもう少しゆっくりしとけ。洗い物は俺がする」
「わかったぁ」
「それと、今日、俺の友人が一人来るんだがいいか?」

 伝えとかないとな。流石に拗ねるか?少し黙っている時間が長い。

「彼女?」
「違ぇよ」

 こいつ……頭悪い?

「女子?」
「ん?まぁ……」
「ならいいよ!」

 なんでだろう?よく分からんな……

「じゃあ、そろそろ行こー!!」

 元気やな~まだ、早いんだけど……

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 電車で一駅(俺持ち)行ったところに遊園地はある。駅からは少し歩くことになるのだが、気にするほどのことでもない。気にするほどのことでもないのだが……

「急に……走るなよ……」
「いやぁ照れるよ……」

 駅から出た途端日向が走り出したのだ。体力テストで表彰されるくらい運動ができるのでついて行くだけでも精一杯だった。

 今日はとっても晴れており、遊園地日和だ。意外と人が多く、少し目を離すと……?

「あいつ……どこ行ったんだ……」

 やばい、早速、見失った。待っとけば帰ってくるかな?

「お兄ちゃん!ほれっ」
「ちょ!まっ!」

 日向の声が聞こえたので、その方向を向いたらペットボトルが放物線を描いて飛んできた。

「ジュース買うなら言ってから行けよ」
「びっくりした?」
「した」

 無意識で開けると、泡がドバドバ出た。

「炭酸だったのかよ!」
「えへへ~」
「炭酸投げるか普通?」
「うん。確認しないお兄ちゃんが悪い」
「ハイハイ悪かったです」
「それで?お兄ちゃんの友達は?」
「えーっと……ほぁ?!」

 探そうとした瞬間、視界が真っ暗になった。

「誰でしょう?」

 あ~なるほど……刺すような視線が増えったってことは……

「紗霧さん、登場の仕方だろ……」
「普通に接近しましたよ?」
「声かければいいだろ……」
「????」
「はぁ……」
「お、お兄ちゃん……ちょ、ちょっと来て……」

 なんなんだろうか?よく分からん……

 紗霧さんから少し離れたところで日向が、

「まさかのアレでお友達?」
「ん?そうだけど?」
「ええええええ!!」
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...