影に鳴く

秋赤音

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影に鳴く

3.慣れ緩み

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※BLです


「体が楽に…噂は本当だったのね。ありがとう」

「治療費」

「これよ。みて?困ったら、またお願いね」

金額分きっちりと揃った本物の金だと確認すると、客は気怠そうに部屋を出る。
連日の仕事もこれが最後。
やっと少し休めると思うと、部屋の掃除も念入りになる。
全てを元通りにし終わった直後、扉が叩かれる。
シャツに袖を通して入るように言うと、
頬が赤く染まっているシアが俺に覆い被さってくる。
天井とシアしか見えない視界に思わず笑う。
幸せだ、と思う。

「レン。仕事は終わり?」

「ああ。しばらく客の予定はない」

「なら…俺を抱いて?」

すでに熱い肌を俺に寄せ、ねだるように唇が首筋を甘く噛む。

「服を脱げ」

「…!うん」

迷わず何も纏わない姿になったシア。
すでに濡れて昂るモノは、続きを誘うように泣いている。

「入れたいなら、自分でしろ」

「はい…っ」

シアは嬉しそうに入り口へあてがい、入れ始める。
心地よい肉壁の圧を感じながら、あえて進行をとめる。
すると、もどかしいらしく腰を揺らす。
昂るモノを擦ると、手に押しつけるような動きに変わる。
その瞳は悦びに満ちている。

「レン、もっと、奥…っ」

「こんななら、たまには悪くないか」

ベッドに寝る俺の上で白濁をこぼしながら淫らに腰をふるシア。
珍しいな、と思ったが原因を振り返る。
今回は仕事が忙しく構わない間が少し長かったせいか、熱が出ているのだろう。
身の内を巡る毒に蝕まれた状態で、
理性を手放したシアの意識が混濁しているので言葉は伝わっていない。
深く入りすぎないように加減をしているが、
奥へ奥へと飲み込もうとするシアに笑みがこぼれる。

「ね、レン。ど、して…くれないの…っ」

「奥までいったらシア、もたない、だろ」

「シア、俺が嫌にな、ぁ、っぁああああ」

望み通り貫くと、シアはナカを締めながら勢いよく射精する。
俺も一度吐き出すが、まだ足りないと萎えていない互いが主張している。
汁が滴るそれに触れると、とろけた笑みが俺を見る。

「嫌なら手放している」

「んんっ、レン。きもち、いい…っ、すきにして、いいから…っ」

「シア。それを言うなら俺だけにしろ」

「レン…?ぁ…レン、でていかないで…っ」

「シア。すきにしていい、って意味わかってるか?」

ぬけきるギリギリのところで留まらせると、
泣きそうな表情のシアに少しずつ正気が戻り始めた。
おそらく出したものが効き始めたのだろう。

「レン…俺、は。おれは、レンだから、よくて」

「そうか」

「う、んんっ、は…っ、…っ、ぅ…ぁああっ」

「シア…っ」

再び奥まで満たすと、シアはあっけなく達した。
俺の欲を受け止めているシアからは荒い呼吸が聞こえる。
体を起こして抱きしめると、そのまま落ち着くまで髪を撫でる。

「シア。少しは落ち着いたか」

「ん…眠い」

「このまま寝ろ」

「レン、も一緒に」

俺にしがみついたまま眠りに入ったシア。
離そうとしても動かないので、そのままベッドへ仰向けになる。
その穏やかな温度が眠気を呼び、瞼を閉じた。

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