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舞う乙女は夜に咲く
4.変わる日常
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「ロッサ」
優しい声がした。
起きたばかりのせいか、枯れた声が耳をくすぐる。
目を開けると、微笑むファレンが私を見下ろしている。
「ファレン」
ゆっくりと抱き起されると、首筋に口づけが落とされた。
予想していない行動に、息が詰まる。
そのまま抱きしめられる。
「おはようございます」
耳元から聞こえる声に、背筋がぞくりと波だった。
理性を働かせ、なんとか抑える。
「おはようございます」
「食事をしますか?帰りますか?」
見慣れた様子のファレンは、私をじっと見ている。
「帰ります。仕事がありますから。
ファレンさんは」
「ファレン」
頭へ直接注ぐような声が耳から伝わった。
ぐらりと揺れた視界に思わず目を閉じる。
「ふぁれ、ん…っ」
「そうです。今は、まだ、二人きりですから」
「え?どういう…っ、…っっ」
声を聞いているだけなのに、ファレンの魔力が流れ込み、
体が急速に熱を帯びる。
ナカから水があふれてきて、足を伝っている。
「手、借りますよ。指、いれますね」
「ファレン、何が…っ、あぁ!んっ、…っ!」
滑らかにナカを出入りする指と、
昂ぶりを握らされている手から聞こえる水音。
ファレンの呻く声を聞きながら、意識が飛んだ。
「ロッサ」
囁く声に戻る意識。
「ふぁれん」
疼くお腹の奥からとろりと水が落ちている。
「気持ちいですか?」
「ん…っ、気持ちい、です…っ」
ナカに埋まったままの指は、私を遠慮なくかき回す。
いくら擦りつけてもほしいところまで届かない感覚がもどかしい。
「仕事が終わったら、続き…しますか?」
「あっ、…ぁ、んっ、します…っ、ファレンの、奥までください…っ」
「では、二人きりの時は名前で呼んでください。約束です」
「は、い…っ、約束…っ、です…んっ、あっあぁ、も、ぅ、イ…っ!!」」
私はそのまま深い快楽に身を預けた。
ファレンは向き合うように体勢を変えると、
イったばかりの秘部に擦りつけられたファレンの昂りが、
表面を上下になぞる。
急速に追い上げてくる快楽を受け入れると、再びイった。
「ロッサ」
力が入らない私を柔らかく抱きしめるファレン。
魔力のない穏やかな声に顔をあげると、ゆるりと髪を撫でられた。
くすぐったくて視線を落とすと、自分がファレンの服を着て、
膝に乗っていることが分かる。
「ファレン」
「少し、眠りますか」
眠っていたと思っていたが、そうでなかったらしい。
ファレンの言葉にうなずくと、
ゆっくりとベッドへよこに寝かされる。
そのまま抱きしめられ、その温かさに目を閉じた。
早朝。
まだ時間に猶予があるうちに、
私の部屋まで送ろうと言ってくれたファレンと部屋を出ようとすると、
先に行こうとしたファレンが止まる。
前を見ると、知った顔と目があった。
「姫。王子と密談か?それより、
今夜どう?あの女、物足りないらしい。
もう一夜姫やめたらしいし?
同じ男と日を重ねたって話題になってる」
私を横目に一瞬見たあと、下心がよく分かる笑みでファレンを見た。
おそらく、昨日の男性の話だろう。
ファレンは無言で男性をみているが、
眉間によっているシワは深くなっていく。
私は、この男性からファレンを離れさせようと思い、
ファレンを部屋へ入れることにした。
「まだ時間はあるし、もう少し一緒にいたいです。
ダメですか?」
「いいですよ。
俺も同じことを考えていました」
ファレンは、そう言いながら、
まだ部屋にいる私の背中に手を添えた。
同時に扉が閉まる。
「玄関を出ていなくて、よかったです」
「そうですね」
短い廊下を歩き、
リビングにある椅子に座るよう促され座ると、
突然に視界が暗くなる。
抱きしめられたと気づいたのは、
その腕の温度が私に触れてからだった。
「大丈夫ですか?」
「はい。よければ、少し、このままいさせてください」
「はい」
なんとなく泣いているように思ったので、
片手をその背中に腕を添え、
もう片方で後頭部から流れる髪をそっと撫でる。
一瞬だけ怯えたように体が跳ねたが、
直後にゆっくりと力がこもる温もり。
「もう、大丈夫です。
ありがとうございます。
そろそろ、行きますか?」
「はい」
それから聞こえたのは、二人分の足音だけ。
自分に与えられている仮眠部屋の前までくると、
柔らかな笑みで私を見る。
私も笑みを返すと、ファレンは背を向けた。
靴音を聞きながら、扉を閉める。
「ただいま」
誰もいない部屋。
いつものように返事がない空間。
窓からさす日差しに照らされたブレスレットが、
一瞬だけ煌めいた。
「おはようございます」
部屋の扉を閉めると、苦笑いの上司が私を見た。
「グロッサムさん。おはようございます。
無理に答えなくていいんですけど、聞いていいですか?」
「はい」
苦さが消えない顔で視線を迷わせたあと、
ため息を一つ。初めてみる様子に、思わず身構える。
「ファレンさんのことです。
最近、雰囲気が柔らかくなってきたと、
シェリアが言っていました。
彼をよく知る同僚にも聞くと、同じ事を言っています。
何がご存知ですか?」
「ファレンさんの?申し訳ないですが、わかりません」
「そうですか…」
肩を落とす上司のトヴァさん。
ため息をつきながら、小さく唸っている。
「何かあったのですか?」
「まあ…そうですね。
個人的に気にしているだけですが。
もし、彼の心理的な苦痛が和らいでいるとすると申し訳なくて。
実は、潜入捜査の候補にファレンさんの名前が…対象が男性なので、
念のため男性がいいだろう、と」
明るさを心がける声に、
何かを我慢しているような気配を感じる。
「心理的な…?」
仕事なら、選ばれれば最後。
よほどでない限りは、実行することになる。
それも含めて、上司は気にしているのだろう。
「はい。彼は、過去にあった性犯罪の被害者です。
適任か調べたとき、すぐに出ましたよ。
上は知っていたとしても、無視して考えているようです。
解決方法はありませんので、無視するのも分かりますが。
犯人が捕まっても、そうでなくても、
心傷は本人しだいです。終わりがないものは、
考慮にも限界があります」
返答に迷っていると、上司は苦さを残したまま微笑んだ。
「そうだった。グロッサムさんも候補にあがっています。
男装して、女性の調査をするそうです」
わざと、と思う程に明るい声がそう言った。
驚いていると、
上司は苦さはそのままで何か含みがあるような笑みを浮かべる。
「できないと見込む程に辛いことがあれば、
今のうちに行ってください。
まあ、大丈夫だろう…と、上は期待していましたよ。
ファレンさんと組まれる可能性が高いので、
今のうちに、
親睦を深めておくのも早期解決の一つかもしれません。
では、今日の仕事ですが…」
その日の仕事の半分は、
ファレンについての資料を読むことだった。
上司が"個人的なものです"と門外不出と書かれた紙の束を渡してきた。
綺麗にまとめられているそれに、悪寒がした。
何かあれば、当然だが調べられてしまうのだと。
おそらく、私の行動も知られている。
気にしてもしかたないので、他の仕事を片付けて、
貴重な資料の内容を頭に叩き込むことに専念していた。
夕刻。帰る前に、門外不出を上司に返す。
「一ヶ月とはいえ上司です。
守れなくて、申し訳ないです。
断れる余地が全くなくて…辛いかもしれないですが、
お願いします。
シェリアを迎えに行くので、よければ一緒に行きますか?」
優しい声が、柔らかな笑みでそう言った。
今思えば、上司がいるときは女性たちが近寄らない。
知らないうちに守られていたのだろう。
「はい。ありがとうございます」
「いえ。安全第一ですから。
シェリアも、気にかけてますからね。
自分のためです。
憂いの芽は伸びる前に摘む方が楽ですから」
爽やかな笑みに暗い何かを感じた気がしたが、
怖くなり、見なかったことにした。
身支度をし終わると、上司が先に出た扉を閉める。
廊下を歩いていると、
先に見える知った顔の女性たちがいた。
視線をそらして通りすぎるが、
私を静かに見つめているのが分かる。
廊下を歩いて、たどり着いたのはシェリアさんの仕事部屋。
「お疲れ様。シェリア。ファレンさん。
そろそろ時間です」
「あ。トヴァ。グロッサムさん。
お疲れ様です。そうですね」
「お疲れ様です」
慌てたように帰り支度をしているシェリアさんを見つめている上司。
その眼差しは熱く、柔らかい。
「グロッサムさん。
よければ、この後一緒に喫茶店へ行きませんか?
期間限定の品があると、教えてもらいました」
「トヴァと行ったお店の…ほら、この間食べたパンケーキ。
また食べたいです」
いつの間にか支度を終えた二人。
そして、ファレンが私の隣で微笑んでいる。
上司の傍にいるシェリアさんの声も楽しそうな様子。
「あ…あれか。美味しかったですね」
「トヴァ。実はこの間、その喫茶店でファレンさんを見て。
思い出して話したら、趣味が合うと知って。
また食べたくなりまして」
「今から行きますか?」
「いいの?ありがとう」
上司は、シェリアさんを私たちから隠すように立ち、
楽しそうに会話している。
「まあ、そういうことなので。
二人とも、一緒に行きますか?」
「グロッサムさん。俺と出掛けるのは嫌ですか?」
不安そうなファレンが私を見つめる。
あの現場を見たからだろうか。
「行きます。期間限定、気になりますね」
「だったら、兵服を着替えて集まりませんか?
このまま四人で行くと、お店での方が萎縮するかも…」
シェリアさんに言われて気がついた。
確かに、この服には威厳が含まれている。
それが集まると、雰囲気も出るだろう。
「確かに。仮眠寮の門で待ち合わせ、ということで」
上司の号令にうなずき、足並みを揃えて、
目的地へいつもより足早に向かう。
着替えて部屋から出て門へ向かう前に、約束の場所へ向かう。
知った顔の女性が私を見て驚いて固まっている。
断りたいので、時間通りにいたことに安心した。
「王子。あの…」
「急に仕事が入ったから、今日は行けません。
ごめんなさい」
「わかりました」
女性は足早に私のよこを通りすぎる。
私も駆け足で門へ向かった。
すでに待っていた上司たちは、私を見て微笑んだ。
「可愛いです。ね、トヴァ?」
「よく似合っています」
「今度、四人で買い物に行きませんか?
二人とも、選びがいがありそうです」
「いいですね。四人は難しいと思いますが、
二人なら…休暇を調整しよう」
和やかに見つめあう上司たちと、なぜか顔が赤いファレンさん。
私は、ファレンの私服姿に驚いた。
綺麗だと、思った。
よくあるシャツに、年月を感じるがよく手入れがされているジャケット。
兵服のズボンはそのままだが、
飾り気のない姿はファレンの綺麗さを引き立てている。
「ファレンさん、綺麗です」
「ありがとう。これは、兄さんと選んだ大切なものです。
グロッサムさんの服、可愛いです。
食事へ行くときはまた着てくれると嬉しいです」
嬉しそうなファレンは、少年のような顔で笑った。
初めてみた表情に、息がとまる。
「グロッサムさん?」
呼びかけに気づき、やっと空気が通った気がした。
改めて、お気に入りの服を着て楽しそうなファレンの姿に、
私も嬉しくなった。
「ファレンさんも着替えてくれるなら、考えます」
ファレンは驚いた顔したが、瞬く間に笑顔へ変わる。
「いいですよ。グロッサムさん。
その代わり、約束守ってくださいね」
お気に入りのワンピースに制服の靴。
じっと見られるのは恥ずかしいが、
可愛いとつぶやくファレンを見ていると、心が温かい。
「シェリア、やはり断ろう」
「トヴァ。私も同じ事を考えました」
ふと、遠くで、優しい声がした気がした。
上司たちと食べた甘いお菓子は、少しだけ苦く感じた。
緊張のせいだろう。
他人と女性服を着て、誰かと食べる日が来るとは思わなかった。
自分にとって女性服を着た自分は一番遠いものだった。
他人に受け入れられ、時間を共有することは、さらに遠い。
和やかに過ぎる時間は、夢に見ていたことで、
それが現実になると違和感に戸惑う自分に、内心笑った。
「また来ましょう。今度は、女性だけで」
私を見ながら嬉しそうに言うシェリアさん。
一瞬、誰のことかわからなかったが、
まっすぐに見つめられる視線が私に向いていることで気づく。
「男性同伴ではいけないのか?」
「トヴァ。
男性には聞かれたくない話だって、あります」
咎めるように笑顔で言っているシェリアさん。
トヴァさんは、ため息をついた。
「迎えに来る」
「はい」
見つめ合う二人は、
視線だけで何かを話しているようにも見えた。
「グロッサムさん。
トヴァの許可も出たし…いいですか?」
「はい」
私には、上司の言うことを拒否する勇気はない。
おそらく仕事も関わってくる。
「トヴァ、聞きました?
私、初めて友人ができました。
いいでしょう」
「シェリア。それは違う。ね?ファレンさん」
「え?は、はい」
「ぜひ、お兄さんも一緒に買い物へ行きたいです。
立場のせいか、そういう経験がないので」
誇らしそうに相手を見つ合う二人に、
ファレンも巻き込まれたらしい。
そして、上司のお願いには逆らえない。
次の約束を交わした私とファレンは、
上機嫌な上司と仮眠寮の門で別れた。
私たちは、体の性別に合った服を用意する必要ができた。
わざわざ買いに行くのも…となり、ふと、思いつく。
そして、提案は受け入れられた。
さっそく、私の部屋へ行く。
「体格が似ていて、よかったです」
「本当に。助かります」
王子が着ていた服が、役に立つと思わなかった。
違和感なく着こなされた服。
約束のために置いていたものだが、
しばらくは無理だろうと思う。
候補と言われた仕事は、
遊びながらできることではない。
ファレンが着替えている間に、私も着替えた。
お気に入りの服を他人と見ることになるとは思わなかった。
楽しそうに私と服とを見比べるファレンは、
見ていて私も楽しかった。
「まだ、あります。家に…ですけど」
「俺もです。今度、持ってきます」
「ありがとうございます」
私の服を着たファレンが、
微笑んで私に手を差し伸べている。
その手をとると、腕の中へ引きこまれた。
「ロッサ」
甘い囁きが、体中に届く。
その先を知った体は、簡単に快楽へ堕ちてのまれた。
約束の始まりだ。
「ファレン」
「はい」
私は、ファレンの首に腕を回す。
じっと見つめると、嬉しそうに微笑んだ。
王子は、姫の望みを叶えなければならない。
ファレンは腕から私を離すと、
まだ掴んでいる手をじっと見つめている。
「どうしましたか?私のお姫様」
「本当、王子様みたいです」
思いつきで、掴まれた手をひいて、
その手の甲に口づける。
御伽噺のような真似事に、ファレンは笑った。
「この服装でも、ですか?」
私は、スカートの裾をもって、ひらひらと揺らす。
「はい。本当、様になっています」
「ありがとうございます」
そのままベッドまで手を引くと、
ファレンを座らせた。
私は跪いて願いを乞う。
「約束の時間です」
「そうですね」
微笑むファレンは私の頬をゆっくりと撫で、
そのまま指先が唇へ。
薄く開けられたそこへ入ってくる指を舌先でなめる。
愛撫するように指が口内を動く。
夢中で追いかけてると、指がぬかれる。
「ふぁれん…」
熱でぼんやりする思考。
疼く奥を満たすことしか思い浮かばない。
「どこに、なにが、ほしいですか?」
その言葉に強く奥が疼いたことで、何かがはじけた。
ふいに、体の心地よい怠さに目を開けると、
互いに素肌を晒し、
ファレンと深くつながるところが見えた。
あれだけ疼いていた奥は落ち着いていて、
温かな熱がそこにある。
はじけた後の記憶はなく、
どれくらい時間がたったのかも、わからない。
「ロッサ。今日、泊ってもいいですか?」
ゆるやかに私を揺さぶるファレンは、
まだ足りなさそうにナカをかき乱している。
私も、まだ離れたくはなかった。
「は、い…っ」
「では、もう少しだけ」
嬉しそうに微笑むファレンは、
ゆっくりと熱をぬくと、
一気に奥まで貫き満たした。
それから、私の意識は遠くなる。
大きな波のような水音を聞きながら、
心地よい熱に身を任せた。
優しい声がした。
起きたばかりのせいか、枯れた声が耳をくすぐる。
目を開けると、微笑むファレンが私を見下ろしている。
「ファレン」
ゆっくりと抱き起されると、首筋に口づけが落とされた。
予想していない行動に、息が詰まる。
そのまま抱きしめられる。
「おはようございます」
耳元から聞こえる声に、背筋がぞくりと波だった。
理性を働かせ、なんとか抑える。
「おはようございます」
「食事をしますか?帰りますか?」
見慣れた様子のファレンは、私をじっと見ている。
「帰ります。仕事がありますから。
ファレンさんは」
「ファレン」
頭へ直接注ぐような声が耳から伝わった。
ぐらりと揺れた視界に思わず目を閉じる。
「ふぁれ、ん…っ」
「そうです。今は、まだ、二人きりですから」
「え?どういう…っ、…っっ」
声を聞いているだけなのに、ファレンの魔力が流れ込み、
体が急速に熱を帯びる。
ナカから水があふれてきて、足を伝っている。
「手、借りますよ。指、いれますね」
「ファレン、何が…っ、あぁ!んっ、…っ!」
滑らかにナカを出入りする指と、
昂ぶりを握らされている手から聞こえる水音。
ファレンの呻く声を聞きながら、意識が飛んだ。
「ロッサ」
囁く声に戻る意識。
「ふぁれん」
疼くお腹の奥からとろりと水が落ちている。
「気持ちいですか?」
「ん…っ、気持ちい、です…っ」
ナカに埋まったままの指は、私を遠慮なくかき回す。
いくら擦りつけてもほしいところまで届かない感覚がもどかしい。
「仕事が終わったら、続き…しますか?」
「あっ、…ぁ、んっ、します…っ、ファレンの、奥までください…っ」
「では、二人きりの時は名前で呼んでください。約束です」
「は、い…っ、約束…っ、です…んっ、あっあぁ、も、ぅ、イ…っ!!」」
私はそのまま深い快楽に身を預けた。
ファレンは向き合うように体勢を変えると、
イったばかりの秘部に擦りつけられたファレンの昂りが、
表面を上下になぞる。
急速に追い上げてくる快楽を受け入れると、再びイった。
「ロッサ」
力が入らない私を柔らかく抱きしめるファレン。
魔力のない穏やかな声に顔をあげると、ゆるりと髪を撫でられた。
くすぐったくて視線を落とすと、自分がファレンの服を着て、
膝に乗っていることが分かる。
「ファレン」
「少し、眠りますか」
眠っていたと思っていたが、そうでなかったらしい。
ファレンの言葉にうなずくと、
ゆっくりとベッドへよこに寝かされる。
そのまま抱きしめられ、その温かさに目を閉じた。
早朝。
まだ時間に猶予があるうちに、
私の部屋まで送ろうと言ってくれたファレンと部屋を出ようとすると、
先に行こうとしたファレンが止まる。
前を見ると、知った顔と目があった。
「姫。王子と密談か?それより、
今夜どう?あの女、物足りないらしい。
もう一夜姫やめたらしいし?
同じ男と日を重ねたって話題になってる」
私を横目に一瞬見たあと、下心がよく分かる笑みでファレンを見た。
おそらく、昨日の男性の話だろう。
ファレンは無言で男性をみているが、
眉間によっているシワは深くなっていく。
私は、この男性からファレンを離れさせようと思い、
ファレンを部屋へ入れることにした。
「まだ時間はあるし、もう少し一緒にいたいです。
ダメですか?」
「いいですよ。
俺も同じことを考えていました」
ファレンは、そう言いながら、
まだ部屋にいる私の背中に手を添えた。
同時に扉が閉まる。
「玄関を出ていなくて、よかったです」
「そうですね」
短い廊下を歩き、
リビングにある椅子に座るよう促され座ると、
突然に視界が暗くなる。
抱きしめられたと気づいたのは、
その腕の温度が私に触れてからだった。
「大丈夫ですか?」
「はい。よければ、少し、このままいさせてください」
「はい」
なんとなく泣いているように思ったので、
片手をその背中に腕を添え、
もう片方で後頭部から流れる髪をそっと撫でる。
一瞬だけ怯えたように体が跳ねたが、
直後にゆっくりと力がこもる温もり。
「もう、大丈夫です。
ありがとうございます。
そろそろ、行きますか?」
「はい」
それから聞こえたのは、二人分の足音だけ。
自分に与えられている仮眠部屋の前までくると、
柔らかな笑みで私を見る。
私も笑みを返すと、ファレンは背を向けた。
靴音を聞きながら、扉を閉める。
「ただいま」
誰もいない部屋。
いつものように返事がない空間。
窓からさす日差しに照らされたブレスレットが、
一瞬だけ煌めいた。
「おはようございます」
部屋の扉を閉めると、苦笑いの上司が私を見た。
「グロッサムさん。おはようございます。
無理に答えなくていいんですけど、聞いていいですか?」
「はい」
苦さが消えない顔で視線を迷わせたあと、
ため息を一つ。初めてみる様子に、思わず身構える。
「ファレンさんのことです。
最近、雰囲気が柔らかくなってきたと、
シェリアが言っていました。
彼をよく知る同僚にも聞くと、同じ事を言っています。
何がご存知ですか?」
「ファレンさんの?申し訳ないですが、わかりません」
「そうですか…」
肩を落とす上司のトヴァさん。
ため息をつきながら、小さく唸っている。
「何かあったのですか?」
「まあ…そうですね。
個人的に気にしているだけですが。
もし、彼の心理的な苦痛が和らいでいるとすると申し訳なくて。
実は、潜入捜査の候補にファレンさんの名前が…対象が男性なので、
念のため男性がいいだろう、と」
明るさを心がける声に、
何かを我慢しているような気配を感じる。
「心理的な…?」
仕事なら、選ばれれば最後。
よほどでない限りは、実行することになる。
それも含めて、上司は気にしているのだろう。
「はい。彼は、過去にあった性犯罪の被害者です。
適任か調べたとき、すぐに出ましたよ。
上は知っていたとしても、無視して考えているようです。
解決方法はありませんので、無視するのも分かりますが。
犯人が捕まっても、そうでなくても、
心傷は本人しだいです。終わりがないものは、
考慮にも限界があります」
返答に迷っていると、上司は苦さを残したまま微笑んだ。
「そうだった。グロッサムさんも候補にあがっています。
男装して、女性の調査をするそうです」
わざと、と思う程に明るい声がそう言った。
驚いていると、
上司は苦さはそのままで何か含みがあるような笑みを浮かべる。
「できないと見込む程に辛いことがあれば、
今のうちに行ってください。
まあ、大丈夫だろう…と、上は期待していましたよ。
ファレンさんと組まれる可能性が高いので、
今のうちに、
親睦を深めておくのも早期解決の一つかもしれません。
では、今日の仕事ですが…」
その日の仕事の半分は、
ファレンについての資料を読むことだった。
上司が"個人的なものです"と門外不出と書かれた紙の束を渡してきた。
綺麗にまとめられているそれに、悪寒がした。
何かあれば、当然だが調べられてしまうのだと。
おそらく、私の行動も知られている。
気にしてもしかたないので、他の仕事を片付けて、
貴重な資料の内容を頭に叩き込むことに専念していた。
夕刻。帰る前に、門外不出を上司に返す。
「一ヶ月とはいえ上司です。
守れなくて、申し訳ないです。
断れる余地が全くなくて…辛いかもしれないですが、
お願いします。
シェリアを迎えに行くので、よければ一緒に行きますか?」
優しい声が、柔らかな笑みでそう言った。
今思えば、上司がいるときは女性たちが近寄らない。
知らないうちに守られていたのだろう。
「はい。ありがとうございます」
「いえ。安全第一ですから。
シェリアも、気にかけてますからね。
自分のためです。
憂いの芽は伸びる前に摘む方が楽ですから」
爽やかな笑みに暗い何かを感じた気がしたが、
怖くなり、見なかったことにした。
身支度をし終わると、上司が先に出た扉を閉める。
廊下を歩いていると、
先に見える知った顔の女性たちがいた。
視線をそらして通りすぎるが、
私を静かに見つめているのが分かる。
廊下を歩いて、たどり着いたのはシェリアさんの仕事部屋。
「お疲れ様。シェリア。ファレンさん。
そろそろ時間です」
「あ。トヴァ。グロッサムさん。
お疲れ様です。そうですね」
「お疲れ様です」
慌てたように帰り支度をしているシェリアさんを見つめている上司。
その眼差しは熱く、柔らかい。
「グロッサムさん。
よければ、この後一緒に喫茶店へ行きませんか?
期間限定の品があると、教えてもらいました」
「トヴァと行ったお店の…ほら、この間食べたパンケーキ。
また食べたいです」
いつの間にか支度を終えた二人。
そして、ファレンが私の隣で微笑んでいる。
上司の傍にいるシェリアさんの声も楽しそうな様子。
「あ…あれか。美味しかったですね」
「トヴァ。実はこの間、その喫茶店でファレンさんを見て。
思い出して話したら、趣味が合うと知って。
また食べたくなりまして」
「今から行きますか?」
「いいの?ありがとう」
上司は、シェリアさんを私たちから隠すように立ち、
楽しそうに会話している。
「まあ、そういうことなので。
二人とも、一緒に行きますか?」
「グロッサムさん。俺と出掛けるのは嫌ですか?」
不安そうなファレンが私を見つめる。
あの現場を見たからだろうか。
「行きます。期間限定、気になりますね」
「だったら、兵服を着替えて集まりませんか?
このまま四人で行くと、お店での方が萎縮するかも…」
シェリアさんに言われて気がついた。
確かに、この服には威厳が含まれている。
それが集まると、雰囲気も出るだろう。
「確かに。仮眠寮の門で待ち合わせ、ということで」
上司の号令にうなずき、足並みを揃えて、
目的地へいつもより足早に向かう。
着替えて部屋から出て門へ向かう前に、約束の場所へ向かう。
知った顔の女性が私を見て驚いて固まっている。
断りたいので、時間通りにいたことに安心した。
「王子。あの…」
「急に仕事が入ったから、今日は行けません。
ごめんなさい」
「わかりました」
女性は足早に私のよこを通りすぎる。
私も駆け足で門へ向かった。
すでに待っていた上司たちは、私を見て微笑んだ。
「可愛いです。ね、トヴァ?」
「よく似合っています」
「今度、四人で買い物に行きませんか?
二人とも、選びがいがありそうです」
「いいですね。四人は難しいと思いますが、
二人なら…休暇を調整しよう」
和やかに見つめあう上司たちと、なぜか顔が赤いファレンさん。
私は、ファレンの私服姿に驚いた。
綺麗だと、思った。
よくあるシャツに、年月を感じるがよく手入れがされているジャケット。
兵服のズボンはそのままだが、
飾り気のない姿はファレンの綺麗さを引き立てている。
「ファレンさん、綺麗です」
「ありがとう。これは、兄さんと選んだ大切なものです。
グロッサムさんの服、可愛いです。
食事へ行くときはまた着てくれると嬉しいです」
嬉しそうなファレンは、少年のような顔で笑った。
初めてみた表情に、息がとまる。
「グロッサムさん?」
呼びかけに気づき、やっと空気が通った気がした。
改めて、お気に入りの服を着て楽しそうなファレンの姿に、
私も嬉しくなった。
「ファレンさんも着替えてくれるなら、考えます」
ファレンは驚いた顔したが、瞬く間に笑顔へ変わる。
「いいですよ。グロッサムさん。
その代わり、約束守ってくださいね」
お気に入りのワンピースに制服の靴。
じっと見られるのは恥ずかしいが、
可愛いとつぶやくファレンを見ていると、心が温かい。
「シェリア、やはり断ろう」
「トヴァ。私も同じ事を考えました」
ふと、遠くで、優しい声がした気がした。
上司たちと食べた甘いお菓子は、少しだけ苦く感じた。
緊張のせいだろう。
他人と女性服を着て、誰かと食べる日が来るとは思わなかった。
自分にとって女性服を着た自分は一番遠いものだった。
他人に受け入れられ、時間を共有することは、さらに遠い。
和やかに過ぎる時間は、夢に見ていたことで、
それが現実になると違和感に戸惑う自分に、内心笑った。
「また来ましょう。今度は、女性だけで」
私を見ながら嬉しそうに言うシェリアさん。
一瞬、誰のことかわからなかったが、
まっすぐに見つめられる視線が私に向いていることで気づく。
「男性同伴ではいけないのか?」
「トヴァ。
男性には聞かれたくない話だって、あります」
咎めるように笑顔で言っているシェリアさん。
トヴァさんは、ため息をついた。
「迎えに来る」
「はい」
見つめ合う二人は、
視線だけで何かを話しているようにも見えた。
「グロッサムさん。
トヴァの許可も出たし…いいですか?」
「はい」
私には、上司の言うことを拒否する勇気はない。
おそらく仕事も関わってくる。
「トヴァ、聞きました?
私、初めて友人ができました。
いいでしょう」
「シェリア。それは違う。ね?ファレンさん」
「え?は、はい」
「ぜひ、お兄さんも一緒に買い物へ行きたいです。
立場のせいか、そういう経験がないので」
誇らしそうに相手を見つ合う二人に、
ファレンも巻き込まれたらしい。
そして、上司のお願いには逆らえない。
次の約束を交わした私とファレンは、
上機嫌な上司と仮眠寮の門で別れた。
私たちは、体の性別に合った服を用意する必要ができた。
わざわざ買いに行くのも…となり、ふと、思いつく。
そして、提案は受け入れられた。
さっそく、私の部屋へ行く。
「体格が似ていて、よかったです」
「本当に。助かります」
王子が着ていた服が、役に立つと思わなかった。
違和感なく着こなされた服。
約束のために置いていたものだが、
しばらくは無理だろうと思う。
候補と言われた仕事は、
遊びながらできることではない。
ファレンが着替えている間に、私も着替えた。
お気に入りの服を他人と見ることになるとは思わなかった。
楽しそうに私と服とを見比べるファレンは、
見ていて私も楽しかった。
「まだ、あります。家に…ですけど」
「俺もです。今度、持ってきます」
「ありがとうございます」
私の服を着たファレンが、
微笑んで私に手を差し伸べている。
その手をとると、腕の中へ引きこまれた。
「ロッサ」
甘い囁きが、体中に届く。
その先を知った体は、簡単に快楽へ堕ちてのまれた。
約束の始まりだ。
「ファレン」
「はい」
私は、ファレンの首に腕を回す。
じっと見つめると、嬉しそうに微笑んだ。
王子は、姫の望みを叶えなければならない。
ファレンは腕から私を離すと、
まだ掴んでいる手をじっと見つめている。
「どうしましたか?私のお姫様」
「本当、王子様みたいです」
思いつきで、掴まれた手をひいて、
その手の甲に口づける。
御伽噺のような真似事に、ファレンは笑った。
「この服装でも、ですか?」
私は、スカートの裾をもって、ひらひらと揺らす。
「はい。本当、様になっています」
「ありがとうございます」
そのままベッドまで手を引くと、
ファレンを座らせた。
私は跪いて願いを乞う。
「約束の時間です」
「そうですね」
微笑むファレンは私の頬をゆっくりと撫で、
そのまま指先が唇へ。
薄く開けられたそこへ入ってくる指を舌先でなめる。
愛撫するように指が口内を動く。
夢中で追いかけてると、指がぬかれる。
「ふぁれん…」
熱でぼんやりする思考。
疼く奥を満たすことしか思い浮かばない。
「どこに、なにが、ほしいですか?」
その言葉に強く奥が疼いたことで、何かがはじけた。
ふいに、体の心地よい怠さに目を開けると、
互いに素肌を晒し、
ファレンと深くつながるところが見えた。
あれだけ疼いていた奥は落ち着いていて、
温かな熱がそこにある。
はじけた後の記憶はなく、
どれくらい時間がたったのかも、わからない。
「ロッサ。今日、泊ってもいいですか?」
ゆるやかに私を揺さぶるファレンは、
まだ足りなさそうにナカをかき乱している。
私も、まだ離れたくはなかった。
「は、い…っ」
「では、もう少しだけ」
嬉しそうに微笑むファレンは、
ゆっくりと熱をぬくと、
一気に奥まで貫き満たした。
それから、私の意識は遠くなる。
大きな波のような水音を聞きながら、
心地よい熱に身を任せた。
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