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舞う乙女は夜に咲く
3.姫と王子
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ついに約束の日が来た。
予定通りに待ち合わせて、昼食を食べた。
宿へ向かう途中に通った露店商。
なんとなく目についたブレスレットをお揃いで買い、
その後はすぐに宿の部屋へ入る。
「お風呂、先にどうぞ」
「はい。ありがとうございます」
脱衣所に兵服を脱いで、身を清める。
部屋にあった簡素な作りの服に袖を通すと、
簡素ゆえに、自分の女の部分が強調されるようだった。
これから、ついに、抱かれるのだ。
私よりも強い人に。
武踏会へ参加するときに決めた自身の願いと、自分への誓い。
きっと、いつかは王子でなくなる時が来る。
あの両親が夢から覚めたときが、王子の終わりだと。
しかし、
誰とも知らない政略結婚に身を捧げる気は、
初めから無かった。
「ありがとうございました。
どうぞ」
「はい。ありがとうございます」
なんとなく落ち着かなくて椅子に座る。
私のよこを過ぎるファレンさんを見上げ、
改めて、骨格の違いを意識する。
そして、以前に見た姿と行為を思い出す。
恥ずかしい反面、もう、隠すことがないことに気が緩む。
あのときの感覚がよみがえり、体が疼く。
熱い。早く、ほしい。
自分の魔力と相手の魔力の境界線がまだらになって、
深く、深くまで絡みそうだった。
初めてだった。
男装をして、適当に服を着崩して、
あとは、わずかな魔力と玩具で相手を心地よくさせるだけの何かではない。
むき出しの感情と素肌の触れあいは、私の何かを変えた。
もう、あの日々には、戻れない気がした。
「おまたせしました」
その姿に見惚れた。
簡素な服は、ファレンさんを魅力を引き立てている。
男性にしては細い線と、無駄なく鍛えられている体。
美しい芸術品のようだ。
その人が、私へ一歩、一歩と近づいてくる。
あと一歩で、袖が触れ合う距離で止まったファレンさん。
その頬は赤い。
「そんなに見られると、少し、恥ずかしいです」
乙女のように恥じらう姿はとても可愛く、
しかし、私の目をふさぐように前を覆う手はとても大きくて。
「ごめんなさい。綺麗なので、つい…。
ファレンさんの女装姿が想像できません」
「ありがとうございます。
俺も、グロッサムさんの男装姿が想像できません。
可愛くて、綺麗で…ずっと、触れていたくなりそうです」
何かを抑えているような声が耳に残って、理性を焼き始める。
私は、覆われた手をとって、
女の象徴である膨らみに押し当てた。
「触れてください」
「優しく、します」
ファレンさんは、触れ合っている手の指先を絡めて、
柔く握った。
誘導されるまま椅子から立ち、寝台へつくと、
ゆっくりと背を預けた。
そして、すでに熱を持っている下腹部を見せるように足を開く。
すると、ナカからとろりと、わずかだが水が落ちた気がした。
「よく…濡れていますね」
ファレンさんの指が割れ目をなぞると、さらに水が落ちる。
「思い出したら、もう…疼いてしまって」
「そうですか。気持ちよくできたみたいで、嬉しいです。
少し、慣らさないと…指、いれますね」
「はい…っ、ぁ、ん…っ!そこ、ぁ…んっ!あっ、あぁ…っ」
「ここ、だったかな。痛かったら、言ってください」
「は、い…っ、大丈夫、ですから、ぁあ!…んっ、んんっ」
熱い。
熱い。
ナカを滑る指が、はっきりとわかる。
ゆっくりと反複しながら、音を立てて進んでいる。
増えた指先に、思わず息をのんだ。
痛みはなく、擦れる程に意識が白み、何度か途切れ、
動きは滑らかになっていく。
「今、三本はいってます。わかりますか?」
ばらばらと指先がゆっくりと動く。
ナカにあるものをより認識すると、意識は再び遠くなっていく。
「んっ、わかりま、す…んっ、ぁ…っ!…はっ、ぁ…」
指が出ていく感覚と、
髪を撫でられる心地よさに意識が戻る。
「大丈夫ですか?」
「はい…っ、続けて、ください」
「わかりました。
たぶん、痛いです。ごめんなさい」
辛そうな表情のファレンさん。
お願いしたのは私なのに、不思議な人だ。
でも、その優しさが嬉しくて、すべてがほしいと、思った。
「はい。痛いのも、全部、ください」
息をのんだファレンさん。
なんとなく、迷いがなくなったように見えた。
割れ目にあてがわれたものはとても大きくて驚いた。
「ゆっくり、しますから。
痛いときは言ってください」
「はい」
宣言通りに入ってる熱は、ゆっくりと進みながら私を貫いた。
この痛みは私にとっては大切で、
それすら快楽へと変わる瞬間を確かに感じた。
「大丈夫ですか?」
「ん…っ!まだ、少し痛いですけど、大丈夫、です。
動いて、ください」
心配そうに私を見つめるファレンさん。
それとは反対に、奥まで隙間なく感じるしっかりした質量の熱。
思っていたよりも穏やかで、しかし、私の思考を溶かしている。
この痛みがなくなると、どうなるのだろうか。
少しだけ、怖い。
絡まっている互いの魔力が、体の中でうごめいている。
「はい。痛かったら、ひっかいてもいいです。
言ってください」
「はい…っ!ぁ、あ…んっ、ん、んぁ!…っ!ぁ…んんっ!」
緩やかな動きは、ゆっくりと強くなる。
流れてくる魔力も同じくらい増えて、私の魔力と混ざり合う。
深くまで浸食されそうな感覚は不思議と心地よく、
このまま身を任せてしまいたくなる。
もっと、触れたい。
溶け合ってしまいたい。
思えば思うほど、体は願いを叶えてくれているようで。
どこからか、激しい水音と唸るような吐息が聞こえてくる。
「俺、もう…っ、む、りです…ぅ、ぁ…っ!」
「や、ぁ…!でて、いかないで…っ!一人は、や…っあぁ!」
ふいにできた隙間は広くなっていき、
どんどん遠くなっていく。
焦って熱を追いかけると、
戸惑うように再び寄り添ってくれた。
「ん、俺も、一人は、や…っ、ぁ…ああ…っ!」
「ふぁれ…ん、さ…っ、イく…ぅん、ぁ、あんぁああああああっ!」
ナカに熱いなにかが注がれる感覚に満たされながら、
意識が途切れた。
気づけば、ゆっくりとした微睡にいて。
温かなものが触れている感覚で意識が覚める。
この魔力は。
「ふぁれん、さん…」
「グロッサムさん?おはようございます」
その声に目を開けると、
穏やかな笑みのファレンさんが私を見ていた。
思わず顔をそむけるが、
触れ合う素肌が記憶をさらに呼び起こす。
「おはよう、ございます」
身を清めようと思い、背を向けて動こうとすると、
後ろから引き留めるように腕が回される。
その手は震えていた。
私は、逃げ道のある優しい腕に自分の手を添える。
「ファレンさん?」
「あの…ごめんなさい。
俺、初めて気持ちよくて、怖くて。
グロッサムさん、俺の傍にいてくれたから、すごく安心して。
加減、できなくて…たくさん出して…。
かき出していたら、押し倒されて…また出して…。
でも、全部避妊は、してます。
大丈夫です。でも、ごめんなさい」
耳元で小さく聞こえるのは、懺悔のようだった。
自分の行動に覚えがないことに焦るが、
今はそれよりも泣きそうなファレンさんだ。
そこには、幼い少年がいるようだ。
「私も、気持ちよくて、怖かったですけど、
ファレンさんがいたから安心できました。
同じです。私たち」
「同じ?」
「はい」
「そう、ですか」
安堵と不安が雑じる声は、自分のもののようにも思えた。
私はファレンさんの腕の中で向きを変えて、
正面を見る。
「はい。同じで、嬉しいです」
「ありがとう、ございます」
儚く微笑んだファレンさんは、私の首筋に顔をうずめた。
その背に手を添えると、少しだけ強くなる抱擁に感情が波立つ。
しばらくの間、ただ抱きしめ合い、互いの温度を分け合った。
私のお腹が空腹を訴えると、
ファレンさんは見慣れた顔に戻っていた。
「朝ごはん。食べますか?」
「そうですね」
起き上がると、カーテンから見える灯りはまだ薄暗い。
出されたものをかき出すと言われ、二人で風呂へ入る。
指がナカを反複する刺激で何度かイく。
火照る身体を持て余し、
ファレンさんも苦しそうなので、入れずに快楽を味わった。
互いに身を清めて、着てきた服を着ると、
宿を出て早めの朝食を一緒に食べた。
途中まで送ってもらい、着替えを取りに行くため、帰宅する。
出迎えた両親は、私を見た瞬間に顔を真っ赤にする。
気づいたときには遅かった。
怒っていると、逃げないと、と思ったが、無理だった。
「あなた、なに?それ、ダメよ。
やめなさい。男らしくない。
兵服は仕方ないけど…ついに目覚めてしまったの?」
母親が、私の腕へ手を伸ばそうとする。
そこにあるのは、ブレスレット。
明らかに女性向けの造りのそれに、指先が近づく。
「まあまあ。彼女とお揃いかもしれないだろう?
理由も聞かず奪うのは良くない」
「そうね。ごめんなさい。それで、なに?それ」
「お揃いで買った、大切なものです」
「ほら。
お前の思い込みで仲違いするかもしれなかったんだ。
謝りなさい」
「グロッサム。お母さんが悪かったわ。ごめんなさい」
「いえ。分かってもらえたので気にしていません。
お父さん、ありがとうございます」
「これくらい当然だ。息子の成長が嬉しいよ。
疲れただろう。早く寝なさい。お前も…な」
「はい。グロッサム。彼女と仲良くね。おやすみなさい」
去っていく両親が夫婦部屋の扉を閉めた音を聞き、
自室へ戻る。とっさに嘘をついてしまった。
過去に父親が言ったことをしたことがあるので、
嘘ではないが。
これだけは、奪われたくなかった。
何かあっては遅いので、今度会ったら事情を話そうと思う。
荷物を持ち、飾り気のない家具だけがある部屋の扉を閉める。
廊下を歩いていると、上から気がきしむ音がする。
本物の男性を作る作業で忙しいのだろう。
煩わしい家を出て仮眠寮へ帰る。
「ただいま」
誰もいない部屋に、自分の声が消えていく。
給料で揃えた部屋飾りが心を癒してくれる。
手早く身を清めて、
風呂入る前にクローゼットから出しておいたワンピースに腕を通す。
肌の手入れも欠かさない。
全てを終えて、寝台へ身を預ける。
そのまま目をつむり、眠った。
翌日。
約束していた予定は順調に進み、あとは宿に行くだけ。
そんなとき、兵服姿のファレンさんとすれ違った。
一瞬だけ私を見て驚いた気がしたが、
瞬く間なので確証はもてない。
そのまま目的の場所へ入り、
部屋に入った瞬間にすがりついてくる女性の腕に応え、
寝台へ組敷く。
服を脱がしきる前に触れるよう催促されたので、
自分もよく知るところへ触れ、
快楽へ導くために道具に自分の魔力を注いで使う。
快楽に喘ぎ何度も達する姿を傍観する。
そろそろ終わると思った瞬間、
扉の鍵が壊され開いた。
「なんだ…男連れかよ。
って…いい趣味してるな。
混ぜてくれよ、いいだろ?」
下品な笑みを浮かべて女性の体と私を見た男性は、
喫茶店でファレンさんと話をしていた人だ。
迷う私の返事を待っている。
すると、最近知った気配が近づいてくる。
姿を現したワンピース着た男性は、
私を見るとわずかに微笑んだ。
そして、男性の腕にそっと触れる。
「女なんて面倒だって言いましたよね…俺としよう?」
甘えるような声に気をよくしたらしい男性は、
男性の腕を掴んで足早に去った。
おそらく、私は助けられた。
ファレンさんに。
体が覚えている魔力で確信する。
組強いていた女性は、私からすり抜け、
怯えた様子で駆け出した。
追いかけたが、姿は見えなかった。
ファレンさんが心配で戻る途中、男性の悲鳴が聞こえた。
声がした方へ行くと、
眉を寄せながら上に乗っている男性を寝台へ転がしている人がいた。
「怪我は?」
「ない、です」
「よかった」
泣きそうな声で柔らかな笑みを浮かべる男性。
寝台の上を端へ向かって移動した後、立つ。
すると、ワンピースの裾から見えるのは、足を伝う白濁。
「送るから、そこで待っててください。
何かあれば叫んでください」
聞きなれた声がそう言うと、
部屋に備え付けてある風呂場へ入っていった。
風呂場から出てきたのは、全裸の男性だった。
「あ…ごめん。着替え、忘れてました。
後ろ向いててください」
「はい」
服が擦れる音が静かな部屋に響く。
ため息が聞こえたのを最後に、音がやんだ。
「いいですよ。送ります」
兵服姿のファレンさんは、見慣れた笑みでそう言った。
行き先を告げると、同じだった。
部屋の場所は違うが、同じ方向を向いて歩く。
「一夜姫と、呼ばれています。
まあ、そのうち変わるかもしれませんが」
ポツリと、小さな声は暗闇に消えた。
「どういう、ことですか?」
私も、小さな声で問う。
知りたいと思った。この人のことを。
闇に一歩を踏み入れることだと、なんとなく予感しながら。
すると、ファレンさんが足を止めた。
私も止まって、ファレンさんを見る。
そこには、暗闇でも分かるような色香で煌めく瞳があった。
「俺の部屋、きますか?」
その声はとても平坦で、何かを抑えているようだ。
「はい」
短い返事をした私に、ファレンさんは手を差し出した。
この手をとると、するりと指が絡まった。
「恋人みたい、ですね」
その声には、初めて触れる感情が見えた気がする。
「そうですね」
私は、それが何なのか分からなかった。
ファレンさんは、
部屋につくと私へ椅子に座るよう言って、台所へ向かった。
「どうぞ」
「ありがとうございます」
目の前に置かれたのは一見よくある飲み物だが、香りが違う。
私が飲むことをためらっていると、
対面に座るファレンさんは笑う。
「無理に飲まなくていいですよ。
気づいたようですから」
「どうして?」
「好奇心、ですかね。
さきほど、同じことをされたので。
もちろん、飲みませんでしたよ。
で、誰でも気づくだろ…って思いまして。
分かってもらえて嬉しいです」
無邪気に笑うファレンさんは、子供のようだ。
思わず、つられて笑う。
「わかりますよ。
こんな甘ったるい香り、知らなくても変なことくらいは。
無理やり気をのせたい相手にしか使わないものですよね。
目の前で飲んでいたのを見たことあります」
「目の前で?王子様も大変ですね。
さっきのは、二度目の誘いで気持ちが高揚している相手でした。
俺が初めてだーって、浮かれて…何度も良さそうに出して。
でも、相変わらず達しない俺に苛立ったのか。それを。
飲まずに捨てると、部屋を出ていきました。
あとは、知っている通りです。
あなたの部屋から出た後は、魔力が乱れてしまって。
加減ができなくなり、相手の魔力を食いすぎて…
グロッサムさん、悲鳴に驚いて、来てくれたのでしょう?」
優しい笑みのファレンさんは、椅子から立ち、
私に近づく。
見上げるその人は、儚さをまとっている。
「ファレンさん?」
「俺を、抱いてください。
駆けつけたグロッサムさん、本当に王子様みたいで。
女装してもいいですよ。
魔力も安定して、本当に助かりましたから、
お礼です」
「どうして」
「つまらなそうだったから?
俺とシてるときは、良さそうだったから。
どうせ交わるなら、気持ちいい方がいい」
その言葉に、揺らいだ。
その通りだと、思ったから。
気持ちよさを知って芽生えた感情は、育つばかりだった。
過去と、ファレンさんと、今日を思い出す。
あまりにも差がある温度差に身体の底が震え、
艶のあるファレンさんの視線にお腹の奥が疼き始める。
「いいですよ。女装、してくださいね。
私、今は王子ですから」
差し出された手をとり歩いた先には、
整えられている寝台。
目線で座るように促される。
「俺も、姫ですからね。
着替えますから、こちらで待っていてください」
「はい」
再び姿を現したファレンさんは、とても女性らしかった。
ふわりと微笑み、私の隣へ座る。
「似合いますか?」
「可愛いですね」
「ありがとうございます。玩具、使いますか?
選べるくらいには、ありますよ」
「では、ファレンさんが選んでください」
「そういう決まりですか?」
首をかしげるファレンさんは、確認するように聞いてくる。
決まり、ではなかった。
いつの間にかそうなっていた気がするが、
それを決まりと言うのなら、そうだろう。
「はい」
「わかりました。
これを…入れる側の気持ち、味わってください。
全力で魔力を流してもいいように作られています」
「初めてです。面白いものがありますね」
渡されたのは、装着型の男性器を模したもの。
上半身は着たままでいいと、服を脱ぐ。
言われたとおりにつけて、
仰向けに寝ているファレンさんの指示されたところへあてがう。
「そのまま、ゆっくり…いれてください」
「はい」
魔力をこめて押し込むと、ファレンさんの体が跳ねた。
「いい、ですよ…っ、もっと、奥まで…いれて、くださ…ぁっ、…っ」
「は、い…っ、こう、ですか?」
「ん、んっ、そうです…ぅっ、あっ、俺が、したの、思い出し、て…くださ、ぁ…っ、!」
感覚がわかってきたので、手でしていた動作を腰で再現すると、
ファレンさんは気持ちよさそうに喘ぐ。
反複するたびに感じる刺激が自身のナカを熱くする。
気持ちいい。
今は、それしか考えられない。
魔力の加減が必要ないのこともあり、夢中で動き、
何度もイきながらファレンさんのナカをかき回す。
初めて見る男性の乱れ狂う姿に興奮し、
ますます玩具を突き立てる。
「あっ、ぁああっ、気持ち、いい…っ、ふぁれん、さ…んっ」
「グロッサムさ、んっ…あっ!俺、イく、から…っ!」
「一緒に…っ、いきます…っ」
「ん、んっ、一緒…っ、に、イ…っ、く……っっ!!!」
ふ、と体から力がぬけた。
倒れそうになった私をファレンさんが留めて、
そのまま胸へよせられ、抱きしめられた。
「俺たち、魔力、同じ?」
「はい。そう、みたいです」
「交わった人の魔力で戦った?」
「いつものことです」
「俺も」
繋がってるところから分かる。
溶け合っている魔力に境はなく、
どちらのものか分からないほど混じり合っている。
二度の触れ合いで抱いた疑問は、
三度目で確信になった。
このままだと、自分という存在は、
ファレンさんにのまれて消えるかもしれない。
でも、それでもいいと思うくらい心地よい。
お腹の奥は甘くしびれて疼き、いつかの熱を欲している。
「気持ちいい?」
からかうようにファレンさんの腰がわずかに動き、
それに合わせて腰を振る。
「は、い…っ」
「いれて、いい?」
「…っ、はい」
その言葉に、ナカがうごめいた。
ゆっくりと玩具を抜いて外し、
寝ているファレンさんへ秘部を見せつける。
「濡れてる」
ファレンさんは嬉しそうに笑い、
起き上がってそこを指でかき回す。
心地よさに身体が疼いて、指に体を押しつける。
しかし、いくら強請ってもその先は与えてもらえない。
溢れて巡る魔力と熱で、気がおかしくなりそうだ。
「ファレンさん…っ」
「ファレン」
耳元で囁かれた声は、抗いを許さない力で情欲を煽る。
特別な扱いに、とめどなく心が浮き立つ。
「恋人、みたい」
「呼んでほしい。グロッサムさんに。
今だけは、恋人でいたい」
都合のいい言葉だと分かっていても、抗えない。
流されてはいけないと警告する何かは、一瞬で消えた。
湧き上がる甘い衝動に身を任せ、
私は、私を抱く熱い腕にすがる。
「ロッサ」
「…?」
疑問符を浮かべるファレンさんは、私を見つけている。
「ファレンさん、ファレンに呼んでほしい」
「ロッサ」
まるで、
私を特別だと言うような甘い声で呼ばれた名前は、
自分のものではない気がした。
ぼんやりとファレンを見ていると、
私の腕が動かされファレンの首に回される。
「ファレン」
「いれる」
するりと、服を脱ぐ音がした。
「はい…っ、ぁああっ」
下から突き上げられた瞬間、意識が飛んだ。
擦れる感覚で意識が戻っては飛ぶことを繰り返す。
時折放たれる熱を受け止めながら、
私は、体を巡る魔力と感情の波に身を任せて揺蕩う。
玩具を使った時よりは少し穏やかな流れの魔力。
わずかに感じる二つの薄い壁は、おそらく避妊魔法。
自分も無意識に使っていたことに気づく。
「ロッサ、気持ち、いい…っ?」
「ぁ、あぁっ、いい、きもち、いい…っ!ふぁれ、んっ、また、イ…っっ!!」
「俺も…っっ!」
同時に溢れて混ざった熱の反動で力が抜け、
ファレンにもたれかかる。
背中に感じる腕の温かさに浸っていると、
走る鼓動が落ちついて魔力は体を巡って馴染む。
「ファレン、体、力が…っ」
動こうとするが、無理だった。
いつの間にか脱がれているスカート。
隠されていたファレンと繋がる秘部は水浸し。
恥ずかしさに力をこめて抜こうとするが、
擦れるとナカが反応して、水音と共に腰が落ちる。
ファレンが動いてやっと繋がりが解けるが、
そのまま膝の上に乗せられた。
秘部に昂ぶりが擦りつけられていて、
今にもイきそうなのが分かる。
互いの水が雑じる音がする。
「当たり前、です。
あれだけ、動いて…っ、魔力を取り込んだ…っ」
「ぁっ、あ、ファレン…っ!…っっ」
脱力している私を抱きしめるファレンの肩にもたれて、
心地よさに目を閉じる。
抱き上げられたような揺れを感じたが、
抗う力は残っていない。
薄れる意識は、混ざった魔力を感じながらおちる。
温かいところへ堕ちていく。
予定通りに待ち合わせて、昼食を食べた。
宿へ向かう途中に通った露店商。
なんとなく目についたブレスレットをお揃いで買い、
その後はすぐに宿の部屋へ入る。
「お風呂、先にどうぞ」
「はい。ありがとうございます」
脱衣所に兵服を脱いで、身を清める。
部屋にあった簡素な作りの服に袖を通すと、
簡素ゆえに、自分の女の部分が強調されるようだった。
これから、ついに、抱かれるのだ。
私よりも強い人に。
武踏会へ参加するときに決めた自身の願いと、自分への誓い。
きっと、いつかは王子でなくなる時が来る。
あの両親が夢から覚めたときが、王子の終わりだと。
しかし、
誰とも知らない政略結婚に身を捧げる気は、
初めから無かった。
「ありがとうございました。
どうぞ」
「はい。ありがとうございます」
なんとなく落ち着かなくて椅子に座る。
私のよこを過ぎるファレンさんを見上げ、
改めて、骨格の違いを意識する。
そして、以前に見た姿と行為を思い出す。
恥ずかしい反面、もう、隠すことがないことに気が緩む。
あのときの感覚がよみがえり、体が疼く。
熱い。早く、ほしい。
自分の魔力と相手の魔力の境界線がまだらになって、
深く、深くまで絡みそうだった。
初めてだった。
男装をして、適当に服を着崩して、
あとは、わずかな魔力と玩具で相手を心地よくさせるだけの何かではない。
むき出しの感情と素肌の触れあいは、私の何かを変えた。
もう、あの日々には、戻れない気がした。
「おまたせしました」
その姿に見惚れた。
簡素な服は、ファレンさんを魅力を引き立てている。
男性にしては細い線と、無駄なく鍛えられている体。
美しい芸術品のようだ。
その人が、私へ一歩、一歩と近づいてくる。
あと一歩で、袖が触れ合う距離で止まったファレンさん。
その頬は赤い。
「そんなに見られると、少し、恥ずかしいです」
乙女のように恥じらう姿はとても可愛く、
しかし、私の目をふさぐように前を覆う手はとても大きくて。
「ごめんなさい。綺麗なので、つい…。
ファレンさんの女装姿が想像できません」
「ありがとうございます。
俺も、グロッサムさんの男装姿が想像できません。
可愛くて、綺麗で…ずっと、触れていたくなりそうです」
何かを抑えているような声が耳に残って、理性を焼き始める。
私は、覆われた手をとって、
女の象徴である膨らみに押し当てた。
「触れてください」
「優しく、します」
ファレンさんは、触れ合っている手の指先を絡めて、
柔く握った。
誘導されるまま椅子から立ち、寝台へつくと、
ゆっくりと背を預けた。
そして、すでに熱を持っている下腹部を見せるように足を開く。
すると、ナカからとろりと、わずかだが水が落ちた気がした。
「よく…濡れていますね」
ファレンさんの指が割れ目をなぞると、さらに水が落ちる。
「思い出したら、もう…疼いてしまって」
「そうですか。気持ちよくできたみたいで、嬉しいです。
少し、慣らさないと…指、いれますね」
「はい…っ、ぁ、ん…っ!そこ、ぁ…んっ!あっ、あぁ…っ」
「ここ、だったかな。痛かったら、言ってください」
「は、い…っ、大丈夫、ですから、ぁあ!…んっ、んんっ」
熱い。
熱い。
ナカを滑る指が、はっきりとわかる。
ゆっくりと反複しながら、音を立てて進んでいる。
増えた指先に、思わず息をのんだ。
痛みはなく、擦れる程に意識が白み、何度か途切れ、
動きは滑らかになっていく。
「今、三本はいってます。わかりますか?」
ばらばらと指先がゆっくりと動く。
ナカにあるものをより認識すると、意識は再び遠くなっていく。
「んっ、わかりま、す…んっ、ぁ…っ!…はっ、ぁ…」
指が出ていく感覚と、
髪を撫でられる心地よさに意識が戻る。
「大丈夫ですか?」
「はい…っ、続けて、ください」
「わかりました。
たぶん、痛いです。ごめんなさい」
辛そうな表情のファレンさん。
お願いしたのは私なのに、不思議な人だ。
でも、その優しさが嬉しくて、すべてがほしいと、思った。
「はい。痛いのも、全部、ください」
息をのんだファレンさん。
なんとなく、迷いがなくなったように見えた。
割れ目にあてがわれたものはとても大きくて驚いた。
「ゆっくり、しますから。
痛いときは言ってください」
「はい」
宣言通りに入ってる熱は、ゆっくりと進みながら私を貫いた。
この痛みは私にとっては大切で、
それすら快楽へと変わる瞬間を確かに感じた。
「大丈夫ですか?」
「ん…っ!まだ、少し痛いですけど、大丈夫、です。
動いて、ください」
心配そうに私を見つめるファレンさん。
それとは反対に、奥まで隙間なく感じるしっかりした質量の熱。
思っていたよりも穏やかで、しかし、私の思考を溶かしている。
この痛みがなくなると、どうなるのだろうか。
少しだけ、怖い。
絡まっている互いの魔力が、体の中でうごめいている。
「はい。痛かったら、ひっかいてもいいです。
言ってください」
「はい…っ!ぁ、あ…んっ、ん、んぁ!…っ!ぁ…んんっ!」
緩やかな動きは、ゆっくりと強くなる。
流れてくる魔力も同じくらい増えて、私の魔力と混ざり合う。
深くまで浸食されそうな感覚は不思議と心地よく、
このまま身を任せてしまいたくなる。
もっと、触れたい。
溶け合ってしまいたい。
思えば思うほど、体は願いを叶えてくれているようで。
どこからか、激しい水音と唸るような吐息が聞こえてくる。
「俺、もう…っ、む、りです…ぅ、ぁ…っ!」
「や、ぁ…!でて、いかないで…っ!一人は、や…っあぁ!」
ふいにできた隙間は広くなっていき、
どんどん遠くなっていく。
焦って熱を追いかけると、
戸惑うように再び寄り添ってくれた。
「ん、俺も、一人は、や…っ、ぁ…ああ…っ!」
「ふぁれ…ん、さ…っ、イく…ぅん、ぁ、あんぁああああああっ!」
ナカに熱いなにかが注がれる感覚に満たされながら、
意識が途切れた。
気づけば、ゆっくりとした微睡にいて。
温かなものが触れている感覚で意識が覚める。
この魔力は。
「ふぁれん、さん…」
「グロッサムさん?おはようございます」
その声に目を開けると、
穏やかな笑みのファレンさんが私を見ていた。
思わず顔をそむけるが、
触れ合う素肌が記憶をさらに呼び起こす。
「おはよう、ございます」
身を清めようと思い、背を向けて動こうとすると、
後ろから引き留めるように腕が回される。
その手は震えていた。
私は、逃げ道のある優しい腕に自分の手を添える。
「ファレンさん?」
「あの…ごめんなさい。
俺、初めて気持ちよくて、怖くて。
グロッサムさん、俺の傍にいてくれたから、すごく安心して。
加減、できなくて…たくさん出して…。
かき出していたら、押し倒されて…また出して…。
でも、全部避妊は、してます。
大丈夫です。でも、ごめんなさい」
耳元で小さく聞こえるのは、懺悔のようだった。
自分の行動に覚えがないことに焦るが、
今はそれよりも泣きそうなファレンさんだ。
そこには、幼い少年がいるようだ。
「私も、気持ちよくて、怖かったですけど、
ファレンさんがいたから安心できました。
同じです。私たち」
「同じ?」
「はい」
「そう、ですか」
安堵と不安が雑じる声は、自分のもののようにも思えた。
私はファレンさんの腕の中で向きを変えて、
正面を見る。
「はい。同じで、嬉しいです」
「ありがとう、ございます」
儚く微笑んだファレンさんは、私の首筋に顔をうずめた。
その背に手を添えると、少しだけ強くなる抱擁に感情が波立つ。
しばらくの間、ただ抱きしめ合い、互いの温度を分け合った。
私のお腹が空腹を訴えると、
ファレンさんは見慣れた顔に戻っていた。
「朝ごはん。食べますか?」
「そうですね」
起き上がると、カーテンから見える灯りはまだ薄暗い。
出されたものをかき出すと言われ、二人で風呂へ入る。
指がナカを反複する刺激で何度かイく。
火照る身体を持て余し、
ファレンさんも苦しそうなので、入れずに快楽を味わった。
互いに身を清めて、着てきた服を着ると、
宿を出て早めの朝食を一緒に食べた。
途中まで送ってもらい、着替えを取りに行くため、帰宅する。
出迎えた両親は、私を見た瞬間に顔を真っ赤にする。
気づいたときには遅かった。
怒っていると、逃げないと、と思ったが、無理だった。
「あなた、なに?それ、ダメよ。
やめなさい。男らしくない。
兵服は仕方ないけど…ついに目覚めてしまったの?」
母親が、私の腕へ手を伸ばそうとする。
そこにあるのは、ブレスレット。
明らかに女性向けの造りのそれに、指先が近づく。
「まあまあ。彼女とお揃いかもしれないだろう?
理由も聞かず奪うのは良くない」
「そうね。ごめんなさい。それで、なに?それ」
「お揃いで買った、大切なものです」
「ほら。
お前の思い込みで仲違いするかもしれなかったんだ。
謝りなさい」
「グロッサム。お母さんが悪かったわ。ごめんなさい」
「いえ。分かってもらえたので気にしていません。
お父さん、ありがとうございます」
「これくらい当然だ。息子の成長が嬉しいよ。
疲れただろう。早く寝なさい。お前も…な」
「はい。グロッサム。彼女と仲良くね。おやすみなさい」
去っていく両親が夫婦部屋の扉を閉めた音を聞き、
自室へ戻る。とっさに嘘をついてしまった。
過去に父親が言ったことをしたことがあるので、
嘘ではないが。
これだけは、奪われたくなかった。
何かあっては遅いので、今度会ったら事情を話そうと思う。
荷物を持ち、飾り気のない家具だけがある部屋の扉を閉める。
廊下を歩いていると、上から気がきしむ音がする。
本物の男性を作る作業で忙しいのだろう。
煩わしい家を出て仮眠寮へ帰る。
「ただいま」
誰もいない部屋に、自分の声が消えていく。
給料で揃えた部屋飾りが心を癒してくれる。
手早く身を清めて、
風呂入る前にクローゼットから出しておいたワンピースに腕を通す。
肌の手入れも欠かさない。
全てを終えて、寝台へ身を預ける。
そのまま目をつむり、眠った。
翌日。
約束していた予定は順調に進み、あとは宿に行くだけ。
そんなとき、兵服姿のファレンさんとすれ違った。
一瞬だけ私を見て驚いた気がしたが、
瞬く間なので確証はもてない。
そのまま目的の場所へ入り、
部屋に入った瞬間にすがりついてくる女性の腕に応え、
寝台へ組敷く。
服を脱がしきる前に触れるよう催促されたので、
自分もよく知るところへ触れ、
快楽へ導くために道具に自分の魔力を注いで使う。
快楽に喘ぎ何度も達する姿を傍観する。
そろそろ終わると思った瞬間、
扉の鍵が壊され開いた。
「なんだ…男連れかよ。
って…いい趣味してるな。
混ぜてくれよ、いいだろ?」
下品な笑みを浮かべて女性の体と私を見た男性は、
喫茶店でファレンさんと話をしていた人だ。
迷う私の返事を待っている。
すると、最近知った気配が近づいてくる。
姿を現したワンピース着た男性は、
私を見るとわずかに微笑んだ。
そして、男性の腕にそっと触れる。
「女なんて面倒だって言いましたよね…俺としよう?」
甘えるような声に気をよくしたらしい男性は、
男性の腕を掴んで足早に去った。
おそらく、私は助けられた。
ファレンさんに。
体が覚えている魔力で確信する。
組強いていた女性は、私からすり抜け、
怯えた様子で駆け出した。
追いかけたが、姿は見えなかった。
ファレンさんが心配で戻る途中、男性の悲鳴が聞こえた。
声がした方へ行くと、
眉を寄せながら上に乗っている男性を寝台へ転がしている人がいた。
「怪我は?」
「ない、です」
「よかった」
泣きそうな声で柔らかな笑みを浮かべる男性。
寝台の上を端へ向かって移動した後、立つ。
すると、ワンピースの裾から見えるのは、足を伝う白濁。
「送るから、そこで待っててください。
何かあれば叫んでください」
聞きなれた声がそう言うと、
部屋に備え付けてある風呂場へ入っていった。
風呂場から出てきたのは、全裸の男性だった。
「あ…ごめん。着替え、忘れてました。
後ろ向いててください」
「はい」
服が擦れる音が静かな部屋に響く。
ため息が聞こえたのを最後に、音がやんだ。
「いいですよ。送ります」
兵服姿のファレンさんは、見慣れた笑みでそう言った。
行き先を告げると、同じだった。
部屋の場所は違うが、同じ方向を向いて歩く。
「一夜姫と、呼ばれています。
まあ、そのうち変わるかもしれませんが」
ポツリと、小さな声は暗闇に消えた。
「どういう、ことですか?」
私も、小さな声で問う。
知りたいと思った。この人のことを。
闇に一歩を踏み入れることだと、なんとなく予感しながら。
すると、ファレンさんが足を止めた。
私も止まって、ファレンさんを見る。
そこには、暗闇でも分かるような色香で煌めく瞳があった。
「俺の部屋、きますか?」
その声はとても平坦で、何かを抑えているようだ。
「はい」
短い返事をした私に、ファレンさんは手を差し出した。
この手をとると、するりと指が絡まった。
「恋人みたい、ですね」
その声には、初めて触れる感情が見えた気がする。
「そうですね」
私は、それが何なのか分からなかった。
ファレンさんは、
部屋につくと私へ椅子に座るよう言って、台所へ向かった。
「どうぞ」
「ありがとうございます」
目の前に置かれたのは一見よくある飲み物だが、香りが違う。
私が飲むことをためらっていると、
対面に座るファレンさんは笑う。
「無理に飲まなくていいですよ。
気づいたようですから」
「どうして?」
「好奇心、ですかね。
さきほど、同じことをされたので。
もちろん、飲みませんでしたよ。
で、誰でも気づくだろ…って思いまして。
分かってもらえて嬉しいです」
無邪気に笑うファレンさんは、子供のようだ。
思わず、つられて笑う。
「わかりますよ。
こんな甘ったるい香り、知らなくても変なことくらいは。
無理やり気をのせたい相手にしか使わないものですよね。
目の前で飲んでいたのを見たことあります」
「目の前で?王子様も大変ですね。
さっきのは、二度目の誘いで気持ちが高揚している相手でした。
俺が初めてだーって、浮かれて…何度も良さそうに出して。
でも、相変わらず達しない俺に苛立ったのか。それを。
飲まずに捨てると、部屋を出ていきました。
あとは、知っている通りです。
あなたの部屋から出た後は、魔力が乱れてしまって。
加減ができなくなり、相手の魔力を食いすぎて…
グロッサムさん、悲鳴に驚いて、来てくれたのでしょう?」
優しい笑みのファレンさんは、椅子から立ち、
私に近づく。
見上げるその人は、儚さをまとっている。
「ファレンさん?」
「俺を、抱いてください。
駆けつけたグロッサムさん、本当に王子様みたいで。
女装してもいいですよ。
魔力も安定して、本当に助かりましたから、
お礼です」
「どうして」
「つまらなそうだったから?
俺とシてるときは、良さそうだったから。
どうせ交わるなら、気持ちいい方がいい」
その言葉に、揺らいだ。
その通りだと、思ったから。
気持ちよさを知って芽生えた感情は、育つばかりだった。
過去と、ファレンさんと、今日を思い出す。
あまりにも差がある温度差に身体の底が震え、
艶のあるファレンさんの視線にお腹の奥が疼き始める。
「いいですよ。女装、してくださいね。
私、今は王子ですから」
差し出された手をとり歩いた先には、
整えられている寝台。
目線で座るように促される。
「俺も、姫ですからね。
着替えますから、こちらで待っていてください」
「はい」
再び姿を現したファレンさんは、とても女性らしかった。
ふわりと微笑み、私の隣へ座る。
「似合いますか?」
「可愛いですね」
「ありがとうございます。玩具、使いますか?
選べるくらいには、ありますよ」
「では、ファレンさんが選んでください」
「そういう決まりですか?」
首をかしげるファレンさんは、確認するように聞いてくる。
決まり、ではなかった。
いつの間にかそうなっていた気がするが、
それを決まりと言うのなら、そうだろう。
「はい」
「わかりました。
これを…入れる側の気持ち、味わってください。
全力で魔力を流してもいいように作られています」
「初めてです。面白いものがありますね」
渡されたのは、装着型の男性器を模したもの。
上半身は着たままでいいと、服を脱ぐ。
言われたとおりにつけて、
仰向けに寝ているファレンさんの指示されたところへあてがう。
「そのまま、ゆっくり…いれてください」
「はい」
魔力をこめて押し込むと、ファレンさんの体が跳ねた。
「いい、ですよ…っ、もっと、奥まで…いれて、くださ…ぁっ、…っ」
「は、い…っ、こう、ですか?」
「ん、んっ、そうです…ぅっ、あっ、俺が、したの、思い出し、て…くださ、ぁ…っ、!」
感覚がわかってきたので、手でしていた動作を腰で再現すると、
ファレンさんは気持ちよさそうに喘ぐ。
反複するたびに感じる刺激が自身のナカを熱くする。
気持ちいい。
今は、それしか考えられない。
魔力の加減が必要ないのこともあり、夢中で動き、
何度もイきながらファレンさんのナカをかき回す。
初めて見る男性の乱れ狂う姿に興奮し、
ますます玩具を突き立てる。
「あっ、ぁああっ、気持ち、いい…っ、ふぁれん、さ…んっ」
「グロッサムさ、んっ…あっ!俺、イく、から…っ!」
「一緒に…っ、いきます…っ」
「ん、んっ、一緒…っ、に、イ…っ、く……っっ!!!」
ふ、と体から力がぬけた。
倒れそうになった私をファレンさんが留めて、
そのまま胸へよせられ、抱きしめられた。
「俺たち、魔力、同じ?」
「はい。そう、みたいです」
「交わった人の魔力で戦った?」
「いつものことです」
「俺も」
繋がってるところから分かる。
溶け合っている魔力に境はなく、
どちらのものか分からないほど混じり合っている。
二度の触れ合いで抱いた疑問は、
三度目で確信になった。
このままだと、自分という存在は、
ファレンさんにのまれて消えるかもしれない。
でも、それでもいいと思うくらい心地よい。
お腹の奥は甘くしびれて疼き、いつかの熱を欲している。
「気持ちいい?」
からかうようにファレンさんの腰がわずかに動き、
それに合わせて腰を振る。
「は、い…っ」
「いれて、いい?」
「…っ、はい」
その言葉に、ナカがうごめいた。
ゆっくりと玩具を抜いて外し、
寝ているファレンさんへ秘部を見せつける。
「濡れてる」
ファレンさんは嬉しそうに笑い、
起き上がってそこを指でかき回す。
心地よさに身体が疼いて、指に体を押しつける。
しかし、いくら強請ってもその先は与えてもらえない。
溢れて巡る魔力と熱で、気がおかしくなりそうだ。
「ファレンさん…っ」
「ファレン」
耳元で囁かれた声は、抗いを許さない力で情欲を煽る。
特別な扱いに、とめどなく心が浮き立つ。
「恋人、みたい」
「呼んでほしい。グロッサムさんに。
今だけは、恋人でいたい」
都合のいい言葉だと分かっていても、抗えない。
流されてはいけないと警告する何かは、一瞬で消えた。
湧き上がる甘い衝動に身を任せ、
私は、私を抱く熱い腕にすがる。
「ロッサ」
「…?」
疑問符を浮かべるファレンさんは、私を見つけている。
「ファレンさん、ファレンに呼んでほしい」
「ロッサ」
まるで、
私を特別だと言うような甘い声で呼ばれた名前は、
自分のものではない気がした。
ぼんやりとファレンを見ていると、
私の腕が動かされファレンの首に回される。
「ファレン」
「いれる」
するりと、服を脱ぐ音がした。
「はい…っ、ぁああっ」
下から突き上げられた瞬間、意識が飛んだ。
擦れる感覚で意識が戻っては飛ぶことを繰り返す。
時折放たれる熱を受け止めながら、
私は、体を巡る魔力と感情の波に身を任せて揺蕩う。
玩具を使った時よりは少し穏やかな流れの魔力。
わずかに感じる二つの薄い壁は、おそらく避妊魔法。
自分も無意識に使っていたことに気づく。
「ロッサ、気持ち、いい…っ?」
「ぁ、あぁっ、いい、きもち、いい…っ!ふぁれ、んっ、また、イ…っっ!!」
「俺も…っっ!」
同時に溢れて混ざった熱の反動で力が抜け、
ファレンにもたれかかる。
背中に感じる腕の温かさに浸っていると、
走る鼓動が落ちついて魔力は体を巡って馴染む。
「ファレン、体、力が…っ」
動こうとするが、無理だった。
いつの間にか脱がれているスカート。
隠されていたファレンと繋がる秘部は水浸し。
恥ずかしさに力をこめて抜こうとするが、
擦れるとナカが反応して、水音と共に腰が落ちる。
ファレンが動いてやっと繋がりが解けるが、
そのまま膝の上に乗せられた。
秘部に昂ぶりが擦りつけられていて、
今にもイきそうなのが分かる。
互いの水が雑じる音がする。
「当たり前、です。
あれだけ、動いて…っ、魔力を取り込んだ…っ」
「ぁっ、あ、ファレン…っ!…っっ」
脱力している私を抱きしめるファレンの肩にもたれて、
心地よさに目を閉じる。
抱き上げられたような揺れを感じたが、
抗う力は残っていない。
薄れる意識は、混ざった魔力を感じながらおちる。
温かいところへ堕ちていく。
0
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