人形は瞼をとじて夢を見る

秋赤音

文字の大きさ
12 / 42
混沌な日常

私だけの月

しおりを挟む
二人で星を見ていると体が冷えていることに気がつく。
何でもないような顔のルナは、
私の体温に思うところがあるのか、すぐに転移した。

「雷。まだ寂しい?」

「いいえ。ルナがいるから、寂しくない」

私の返事に不服らしいルナは、何かを考えている。
星を見て過去を思い出し、
感傷に傾いてたのかもしれない。
訂正しようとするが、無理だった。

「過去はどうにもできないけれど、
今は、これからは変えられる」

そう、私をベッドへ押し倒すルナは言った。

「それで、どうして、こうなるんです?」

「お父様がくれた本に…これです」

どこからか現れた本は、
性の指南書に似ているようで違う内容の御伽噺。
しかも、子作りの方向性が強い。
最後まで読むと、文字が浮かんできた。

アルヴァの後継者、いえ。孫はまだですか

その言葉はご神託かもしれない。
ルナにも何か残されていたのならば。

「ルナ。最後のページには何が書いてありましたか?」

「え?言わないと…いけない?」

急に恥ずかしそうに頬を染めるルナ。
そんなに動揺するような何かなんだろうか。

「無理強いはしないが…教えてくれると助かる」

「お父様がね、
『意中の男性が落ち込んでいたらこのように。きっと元気になりますよ』と…。
雷もそうなの?」

不安そうに聞いてくるルナは、本を真似るように私の肌を撫でている。
惚れている相手に触れられて気を悪くする者は、あまりいないだろう。
確かに元気にはなる。色々と。
傍にいられるだけでも幸せなのに、
好きな相手に煽られれば欲が出る。
生前には考えたこともある。
以前は一人で慰めていた熱に、今、ルナの指が触れている。
見た目に強い刺激に射精してしまいそうだ。

「間違いでは、ない」

「ぁ…本当、嬉しい。ええと…次は」

硬さの増した自身をみて口元をほころばせる。
そして、ルナは自ら秘部へ手を伸ばす。

「雷。見て?本当に濡れている」

音を立てて見せつけてくる秘部はわずかに濡れていた。
早くいれたい衝動を抑えて、体を起こす。

「触れてもいいか?」

「雷なら、何をしてもいいわ」

私の手をとったルナは、私の指先を秘部へ受け入れた。
するりと入った指から伝わるのはナカの熱さと締めつけ。
そのまま何度かイかせると、
我慢できなくなったルナに再び押し倒されて自身がナカに包まれる。

「ルナ。避妊は…」

「ひにん?性行為というのは、本来、こう…でしょう?」

わざと水音をさせながら腰を揺らすルナは、
私の上で見せつけるように結合部からわざと音をたてる。
何かを破ったような感覚と、
わずかだが苦しそうに寄せられた眉に焦る。

「それれ、そうだが。
初めて、ならゆっくりのほうがいいのでは?」

「そういうものなの?
本には、初めてでも痛くないと…」

何かに耐えるような唸りが雑じる声は、戸惑いが見える。
本は、おそらく物語の都合で何かが歪められている部分もあるだろう。
場合によります、確率だと…なんて、
曖昧なもののおかげで間違いではないと成り立っているような描写。
鵜呑みにするには危うい何かだ。
男性向けか、それよりも過激な気すらしてくる内容を思い出し、
真似られる可能性に一喜一憂した。

「あの本は、あくまで物語だ。
子を宿すためでないなら、防ぐ道具もある。
本の全てを鵜呑みにしないでほしい。
私は、こうして触れ合えるだけで十分に心は満たされている」

「そう、なのね。
私は、どうしたらいい?」

「傍にいてくれるだけでいい。
肉体的な快楽を否定はしないが、今は」

上半身を起こして戸惑うルナを抱きしめる。
ルナという存在に、
背に添えられたルナの手から伝わる温かさに心安らぐ。

「…緊張している?」

「それなりに…ルナだから、な」

この器にも走る心拍はあるらしい。
心地よさそうに聞いているルナは、私を見上げて微笑んだ。

「私も…同じね」

照れたような笑みを浮かべるルナの頬へ口づける。
離れたあと、ルナは嬉しそうに目を細める。
じっと見つめていると、ふいに唇が重ねられた。
ルナの舌がさらに深いものを求め、応じれば優しく絡み合う。
心地よいそれと同時に締まるナカに包まれ、思わず出しそうになる。
寸前で堪えるが、それに気づいたのか、ルナの目は微笑む。
わざと促すような腰つきと貪るような口づけに耐えられなかった自身は、
欲をナカへ吐き出した。
全てを逃さないような強い締めつけは、さらに欲しがるように止まらない。
甘い誘惑に、しっかりと自身は反応する。

「ル、ナ…っ、だめ、だ…っ」

「いい、から…ぁ、このまま…雷を慰め、させて…?」

快楽に溺れ始めたような熱く蕩ける眼差しに射抜かれ、
理性は眠る。
思っていても出ないようにしていた欲望が溢れてくる。

「無理しないで、ほしい」

「慣れてきたから、平気よ」

微笑むルナから与えられた口づけを始まりに、私は快楽へ堕ちる。
体勢を変えながら欲望を何度か吐き出すと、
組み敷いたルナは瞼を閉じた。
規則的な寝息が聞こえ始めたのを確認すると、落ち着いた自身を抜いた。
起こさないようにルナの身を清めると、毛布をかける。
手早く汗を流し寝室へ戻ると、身を起こして私を探している目と合った。

「雷」

「ルナ。起こしたか?」

「いいえ。気配が遠くなったから」

傍へ行くとベッドへ引かれ、抱きしめられる。
そして、そのまま横になったルナ。

「今度は一緒に連れて行ってね」

「わかった」

返事に安堵したのか、再び眠り始める。
身動きをとることを諦め、目を閉じた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます

沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

肉食御曹司の独占愛で極甘懐妊しそうです

沖田弥子
恋愛
過去のトラウマから恋愛と結婚を避けて生きている、二十六歳のさやか。そんなある日、飲み会の帰り際、イケメン上司で会社の御曹司でもある久我凌河に二人きりの二次会に誘われる。ホテルの最上階にある豪華なバーで呑むことになったさやか。お酒の勢いもあって、さやかが強く抱いている『とある願望』を彼に話したところ、なんと彼と一夜を過ごすことになり、しかも恋人になってしまった!? 彼は自分を女除けとして使っているだけだ、と考えるさやかだったが、少しずつ彼に恋心を覚えるようになっていき……。肉食でイケメンな彼にとろとろに蕩かされる、極甘濃密ラブ・ロマンス!

淫紋付きランジェリーパーティーへようこそ~麗人辺境伯、婿殿の逆襲の罠にハメられる

柿崎まつる
恋愛
ローテ辺境伯領から最重要機密を盗んだ男が潜んだ先は、ある紳士社交倶楽部の夜会会場。女辺境伯とその夫は夜会に潜入するが、なんとそこはランジェリーパーティーだった! ※辺境伯は女です ムーンライトノベルズに掲載済みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

禁断溺愛

流月るる
恋愛
親同士の結婚により、中学三年生の時に湯浅製薬の御曹司・巧と義兄妹になった真尋。新しい家族と一緒に暮らし始めた彼女は、義兄から独占欲を滲ませた態度を取られるようになる。そんな義兄の様子に、真尋の心は揺れ続けて月日は流れ――真尋は、就職を区切りに彼への想いを断ち切るため、義父との養子縁組を解消し、ひっそりと実家を出た。しかし、ほどなくして海外赴任から戻った巧に、その事実を知られてしまう。当然のごとく義兄は大激怒で真尋のマンションに押しかけ、「赤の他人になったのなら、もう遠慮する必要はないな」と、甘く淫らに懐柔してきて……? 切なくて心が甘く疼く大人のエターナル・ラブ。

ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました

大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――

処理中です...