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混沌な日常
甘いのは
しおりを挟む「美味しい?」
「美味しい、けど…ミオ。自分で」
「だめ。ヒカリもしたから。
ほら、溶けるから」
戻ってきた分体たちは長椅子に隣合わせで座り、
楽しそうに冷たいお菓子を食べさせ合っている。
器からお菓子がなくなると消えるようにした。
「記憶が新鮮なうちに作ってみるか?」
「そうね」
私を見下ろす雷から優しい眼差しが向けられる。
調理場へ移動し、
初めて出会ったお菓子を作る。
なんとか作業を終えて、あとは冷えれば完成だ。
ふと、街での出来事を思い出した。
「雷。触れられた肩に違和感は?」
「ない。
しいていうなら気持ち悪かったが、直接体に害はない」
眉にしわを寄せる雷を正面から抱きしめる。
触れられた肩を服越しに撫で、
私を守るために男性へ触れた手へ口づけをおとす。
心ばかりだが、少しでも気が晴れればいいと思った。
「ルナ?」
「少しは、気が晴れればいいのだけれど」
「ルナ…ありがとう。もう、大丈夫だ。
だが…まだ、ほしい」
抱きしめ返された温かな腕の中、
耳元で囁かれた甘い言葉にうなずいた。
一瞬だけ目が合うが、重ねられた唇に瞼を閉じる。
いつもより執着な愛撫で火照る身体。
立っているのが辛くなった頃合いで抱き上げられ、
調理場にいたことを思い出した。
おろされたベッドで肌を合わせて、
腹の奥に雷の熱を受けいれると、
分体が消えて魔力が戻ってきた。
こんなことになるなら、しばらくは外出を控えようと思った。
「ルナ」
「…っ、ら、い」
ほの暗い甘さを宿した瞳と視線が合う。
柔らかな声に感じる熱が身を焦がす。
「確かに、美味しい。甘い、な」
「なに、が…ぁっ、ま、ぁっ、んんっ、…んぁっ!」
ナカを貫く熱が快楽を煽るように暴れている。
揺さぶられるたびに蕩ける意識を繋ごうと握った拳は、やんわりと解かれ絡めとられた。
するりと撫でるように繋がれた指先からも伝わる温度に少ない理性が揺らぐ。
「ルナ」
向けられたのは、逃がさないと言うような鋭い視線と穏やかな声。
それが嬉しくて、伝えたいのに表す言葉が分からない。
「雷」
名を呼べば絡まる視線。
ひき合うように口づけを交わす。
もう知っているその先を求めて、繋いだ手を強く握り返した。
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