瞬く間に住む魔

秋赤音

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愛は番の運命に溺れる

放せなくて

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ルシアと出会って一年が過ぎた。
特別室に映され守られているルシア。
毎日、ルシアの食後に三度は会いに行った。
ガラス越しに俺を見つめる瞳は熱く、蕩けている。
女体を犯すことに特化し育つ蔦は、先端が人間の男根のようになっていた。
交尾をするように腰を振るルシアは、食事と睡眠を除けば快楽を求め続けていると聞く。

別室にある培養器には、ルナと俺の遺伝子を持つ命が多い。
培養器で十か月ほど過ごしたルシアの遺伝子を持つ命は、次々に生まれた。
空いた場所には、研究員の男性とルナ夫妻が生み出す新たな遺伝子を宿す作業がされている。
生まれた子供を管理するために、新しい研究棟も増えた。

そして、二か月前から二世代目は新しい実験を始めた。
ルナの番で夫が責任者で、計画は順調。
母体に命を宿すルナは、初めての実験体として研究室の特別室で穏やかに過ごしている。
夫であり研究員は、ルナの経過観察を終えて傍にいる。
なぜかルナに呼ばれた俺は、観察が終わって入室を許された部屋の椅子に座る。

「番様と仲直りしたらどうですか?」

「ルナ」

憂いに満ちたルナの瞳は、まっすぐに俺を見る。
だが、俺はうなずけない。
どうせ、恋人と会えない状況で、一度味わった快楽を求めているだけだ。
言える相手が俺しかいないから。
でも、気持ちよさそうに抱かれている様を見て、無理強いするのも煩わしくなった。
だが、ルシアは解放できない。
俺から番を求める熱は消えない。
熱を散らすためと募った女を抱いては遺伝子を回収するだけの日々。
一方的に求めて拒否した俺から言い出すべき、だと何度も考えたが、路地の光景を思い出す。
考えてはやめる繰り返しにも疲れてきた。

「私、夫に番と言われて戸惑いました。
でも、貴方様とは何かが違いました。
夜伽もそうです。
だから、今なら彼女の心が分かる…気がします。
似た境遇の私だから、失礼ながら願います。
一度でいいから、番様の話を聞いてもらえませんか?」

「自分からもお願いします。
先日、彼女が第二計画の実験体候補に選ばれました。
孕めば、安定するまで行為はできせんから今と同じです。
ご協力お願いします」

研究員の言葉に、喉がつまった。
拒否できなくなった状況は気が重い。

「わかりました。
明日、話をします」

「ありがとうございます」

安心したように笑む二人に背を向け、部屋を出た。
研究棟を出る前にルシアの様子を見に行く。
俺を見つけたルシアは、誘うようなさらに激しく腰を振る様を見せる。
瞳から涙をこぼし、俺の名を呼んでいる。
なんとなく、久しぶりにガラス越しではなく入室し対面する。

「ウォル様ぁああ…っ、きて、くれ、た、のです、ね…んぁあっ」

「ルシア。その腹で新たな命を育て産む気はあるか?
培養器ではなく、その体で、俺とルシアの遺伝子を。
返事は、明日、聞きに来る」

返事を待たないでルシアを背に、部屋を出た。
家に帰る途中、ルシアを犯したい衝動を女で散らした。

後日。
訪問した時点で、正式に二人目の実験体になっていたルシア。
同じ施設内だから、意向を伝えあう機会はいくらでもあるはずだ。
歩む道が決まったことで、少しだけ安堵する俺がいた。

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