「ざまぁ」異世界侵略VR～『メンヘラ・ヤンデレヒロイン』と『最強魔王ロール主人公』の修羅場劇

第八章『ゴールドVSヤンデレ・メンヘラNPCのレスバ』編

第４話『娘の輝夜の塩対応に、ヤンデレメンヘラ全開のカーミラは吠える！ 他のNPCも大混乱！？』

　『そういう問題ではありませんの！？　ゴールド様なのですよ！　他の誰でもない！　唯一無二のサタンパーティの暁の君主！　我らが盟主様！　唯御一人残られた慈悲深い天上の君！　それが今失われるかもしれないのですよ！？』

　これをカーミラの近くで聞いているＮＰＣ達は一様に青ざめた。

　『ゴールド様の命の危機……』
　何時も微笑みを絶やさずに完璧な従者たれと作られたはずのセバスチャンも例外なく顔を真っ青にしながらか細く呟く。

　『うむ。下僕としてはゴールド様の判断を優先したいが･･････しかし軍師としては』
　冷静沈着。されど大胆不敵。その様にあれと作られた孔明。彼もまた明確に判断を下せずにいた。

　『ワタシハ。ドウスレバ』
　言葉は少ないが、それ程に混迷していることを体現しているヘラクレスも又どうする事も出来ずに立ち尽くしていた。

　『……』
　唯一。ゴールドによって生み出されたモードレット・ワイルドカードのみは一切の動揺を現さなかった。ただ黙して語らず。その様は正しく騎士そのものであった。

　――一部の例外を除き、サタンパーティが誇る精鋭ＮＰＣの集団【十二使徒】は大混乱状態であった。　

　彼ら個人の性能は全てカンストレベル。レベル１０００である。
　その力はこの貧弱な異世界では国を容易く崩壊させる程の強さである。

　元居た世界ジェネシスであってもその性能は凄まじい物である。並みのカンストプレイヤーでは例えギルド拠点の外でバフやデバフの支援が無くとも到底かなわない。

　平均程度のプレイスキルしか持たないカンストプレイヤーでは、倒すには３人以上は必要だろう。
　それ程の正しく魔王の軍勢の精兵に相応しい力を持った彼らの現在の慌てようは、第三者から見れば異常だろう。

　しかし、彼らＮＰＣにとってゴールドの命は何によりも代え難きものである。どんな事よりも優先されるべきものである。

　だが。そのゴールドの命令も又何よりも尊いものである。だからこそ彼らは迷うのだ。