5 / 21
2021.06
2021.06.26 ) 空白の部屋
しおりを挟む
ある施設を訪れた。展覧会や舞台、説明会などの催し物が毎日のように開かれ、いつも多くの人で賑わっている。
今は舞台の最中なのだろう。人で溢れている一階の広場には誰もいなかった。
入り口から見て左手にある階段の方に向かうと、舞台に出演する役者たちとすれ違った。簡単に「こんにちは」と言って、歩いていくのを眺める。視界の端に、控えめに設置されたUFOキャッチャーがあるのが見えた。
私は景品として何が置かれているのか気になって機械に近寄る。UFOキャッチャーは四~五台ほどあったがどれも目ぼしい景品はなさそうだった。
残念だとしょんぼりしていると、舞台が終了したのか人が次々と階段から降りてきた。そろそろ座りたい。そう思い、私はエントランスの方に向かう。
エントランスにはたくさん食卓があったはずだが、すでに多くの人で埋まっていた。相席する形で、空いてる席に座る。斜め前の人と隣の人と、いつの間にか仲良くなっていた。
「家買おうと思ってるんだけどさ」
「へぇ、どんな家?」
斜め前に座る人が間取りのような図面を広げる。立派な家のようで、見る限りかなり広いイメージを持った。
「ここの部屋さ、後ろに空間あるんだ」
「見りゃわかるけど……何これ。意味あるの?」
「追加でお金払えば何の部屋か分かるようになってる」
「なるほどね」
彼らが指差す部屋の間取りを見ると、確かに謎の空間が存在していた。
「実際に見に行けばその空間が何なのか分かるのでは?」
その手があったか、彼らはそんな顔をする。さっそく家に向かおうと、慌ただしく席を立って駆けていった。
部屋はまるでホールのようだった。もちろん客席はなかったが舞台はあり、ここで友人を呼んで催し物ができそうな広い部屋だった。
「間取りによると、この裏が空白のとこかな」
彼が指差す先には、舞台上の壁際の奥、ちいさな扉があった。執事のような見た目をした管理人に扉を開けてもらう。
舞台のような部屋に続く部屋。そこは天井が高く、五階立てくらいあるのではないかと思わせるほどだった。
そんなに高さがあるとは思わず図面をもう一度眺める。すると何も記載がなかった空間に、舞台裏の文字と梯子のイラストがふわっと浮かんできた。
「上にいきましょうか」
管理人はロープで作られた梯子を持ち出し、慣れた手つきで登っていく。
私たちは感心していた。上に何があるのかは分からなかったが、この家は豪邸であることは分かった。
彼らとは解散し、私は近くのコンビニに向かう。もう夜になっており、早く帰ろうと早足になる。キャラクターもののグミを購入し急いで自宅に向かった。
了
今は舞台の最中なのだろう。人で溢れている一階の広場には誰もいなかった。
入り口から見て左手にある階段の方に向かうと、舞台に出演する役者たちとすれ違った。簡単に「こんにちは」と言って、歩いていくのを眺める。視界の端に、控えめに設置されたUFOキャッチャーがあるのが見えた。
私は景品として何が置かれているのか気になって機械に近寄る。UFOキャッチャーは四~五台ほどあったがどれも目ぼしい景品はなさそうだった。
残念だとしょんぼりしていると、舞台が終了したのか人が次々と階段から降りてきた。そろそろ座りたい。そう思い、私はエントランスの方に向かう。
エントランスにはたくさん食卓があったはずだが、すでに多くの人で埋まっていた。相席する形で、空いてる席に座る。斜め前の人と隣の人と、いつの間にか仲良くなっていた。
「家買おうと思ってるんだけどさ」
「へぇ、どんな家?」
斜め前に座る人が間取りのような図面を広げる。立派な家のようで、見る限りかなり広いイメージを持った。
「ここの部屋さ、後ろに空間あるんだ」
「見りゃわかるけど……何これ。意味あるの?」
「追加でお金払えば何の部屋か分かるようになってる」
「なるほどね」
彼らが指差す部屋の間取りを見ると、確かに謎の空間が存在していた。
「実際に見に行けばその空間が何なのか分かるのでは?」
その手があったか、彼らはそんな顔をする。さっそく家に向かおうと、慌ただしく席を立って駆けていった。
部屋はまるでホールのようだった。もちろん客席はなかったが舞台はあり、ここで友人を呼んで催し物ができそうな広い部屋だった。
「間取りによると、この裏が空白のとこかな」
彼が指差す先には、舞台上の壁際の奥、ちいさな扉があった。執事のような見た目をした管理人に扉を開けてもらう。
舞台のような部屋に続く部屋。そこは天井が高く、五階立てくらいあるのではないかと思わせるほどだった。
そんなに高さがあるとは思わず図面をもう一度眺める。すると何も記載がなかった空間に、舞台裏の文字と梯子のイラストがふわっと浮かんできた。
「上にいきましょうか」
管理人はロープで作られた梯子を持ち出し、慣れた手つきで登っていく。
私たちは感心していた。上に何があるのかは分からなかったが、この家は豪邸であることは分かった。
彼らとは解散し、私は近くのコンビニに向かう。もう夜になっており、早く帰ろうと早足になる。キャラクターもののグミを購入し急いで自宅に向かった。
了
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
現代文学
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる