魔界饗宴 ・外伝 ケルベロスの花嫁

由宇ノ木

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目が覚めた時、アンバーはここがどこだかわからなかった。

ベッドで眠っていたらしいことだけはわかる。
柔らかな真っ白なブランケットに包まれている。

アンバーは目を開けて上を見た。


これは天蓋付きのベッドだ。
真っ白な天蓋付きの大きなベッド。


ベッドの周りはやはり真っ白なレースのベッドカーテンで囲まれていて、向こうがわずかばかり透けて見えた。

私は何故こんなところに?
今は何時だろう?
仕事は?

アンバーはだるい体をようやく起き上がらせた。
ふらついた体を、何個ものクッションがいたわるように支えてくれた。

喉がかわいた・・
水が欲しい

アンバーはベッドから降りようとしたが、うまく動けず、再びクッションに体を沈ませた。

カチャリとドアを開ける音がした。

長いスカートに白いエプロン姿の女性が入ってきた。

アンバーは水を持ってきてもらおうと思った。

「お願い・・・、水を・・」

絞るように出した声は小さく、彼女に果たして聞こえたのかわからなかった。

「お目覚めでございますか、お嬢様」

女性がアンバーの声に気づいたのか、ベッドカーテンをゆっくりと開けた。

「水を・・」
と、言うと、女性はニコリと微笑み、

「畏まりました。今お持ちします」

と、軽くお辞儀をした。

アンバーは訳がわからなかった。
聞きたいことがたくさんあった。
けれど、いまは喉を潤すほうが先だ。

女性が銀のトレーに水の入ったコップを持ってきた。

アンバーは「ありがとう」と言うと、水を一気に飲み干した。

女性がアンバーに、
「昨夜はずいぶんいろんな方と踊られてお疲れになったでしょう?」と言った。

「踊り・・?」

「はい。昨夜の舞踏会ですわ」

「舞踏会・・・?」

アンバーは記憶を少しずつ手繰り寄せて思い出す。

そういえば叔父が舞踏会があると言っていた。
中世を模した舞踏会だと。
参加したいなら連れていくと言われて・・。
ドレスに靴、宝石、髪まで全て整えてもらえるからと。

それから・・城について・・・

ドレスに着替えて・・

踊った・・いろんな男性と・・・そして・・

そして・・



アンバーの瞳が戸惑いの色から恐怖の色へと変わっていった。



アンバーは叫んだ。
潤ったばかりの喉を痛めつけるように、恐怖におののく叫び声をあげた。



私は何をした?!

私は、私は・・・!

犬と・・・

あの黒い犬どもと・・!





アンバーは全て思い出した。



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