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16. 変わり目 (2)
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触らぬ神に祟りなし。
考えようによってはこの猟奇殺人事件の起きそうな山あいの霧深い村的雰囲気から抜け出せるチャンス。八ツ墓村かひぐらしか。
わたしは社長から2万円を受けとり、七十先輩に声をかけた。
「社長のお使い行ってきます。何か買ってくるものありますか?」
「そうだねぇ、三ツ矢サイダー買ってきてもらっていいかい?」
こうしてわたしは社長の2万円と七十先輩の500円の合計20,500円を持って自転車で15分ほどかかるスーパーまでお使いに行ったのだった。
ハーゲンダッツ、何味を何個買ってくればいいですか?の問いに社長は全種類でもいいし、2万円分買ってこいとの返答だった。
やけ食いでもするつもりかな?
まあ、いいか。人様の色恋に首を突っ込むのは野暮というもの。
痴情のもつれから刃傷沙汰にならなきゃそれでいい。
わたしはスーパーのカートに二つカゴを用意して、先に三ツ矢サイダー2本を買い、つぎにハーゲンダッツを片っ端からカゴに入れた。
会計時、大きなレジ袋2枚と小さなレジ袋1枚を購入し、ハーゲンダッツを大きな袋に、三ツ矢サイダーを小さな袋にと分けていれた。ハーゲンダッツ袋にドライアイスを投入後に、わたしは計3つの袋を持ちスーパーを出ようとした。
「重そうですね」
と、後ろから声をかけられわたしは振り向いた。
「・・・」
組長先生のとこの若頭だった。
「こんにちは」
にこやかに笑む若頭は注目を浴びている。背がでかくて注目を浴びているのか、顔が良くて注目を浴びているのか、どちらだろう。両方か。
「・・覚えていませんか?」
わたしが黙っていたので出たセリフと思われる。
「いえ、覚えていますが・・・」
わたしは首を少しだけ傾げた。
この暑いのにスーツは熱中症になるのではと、わたしはきっちり着込んだ若頭のスーツが気になった。
あ!清涼スーツか。
「・・・が?」
若頭もわたしと同じに首を傾げて聞き返してきた。
「・・お買い物ですか?」
若頭自らスーパーに?
「ええ、そうですね。持ちますよ。重いでしょう?ついでに花屋まで送りましょう」
ニコリと微笑む若頭。
若頭のさりげない微笑みに、隙のない鋭さを感じる。
遠慮しよう。それが一番。
「いえ、ご遠慮しま」
「す」をいう隙間もないくらい早く、若頭はわたしの手からハーゲンダッツを奪いさって、車の後部座席に乗せた。そして、助手席のドアを開けようとしている。
あっけにとられていたわたしは、これではいけないと思い、相手の親切を受け入れつつ、「知らない人の車に乗ってはいけない」という小学生でも知ってる常識を守るためと、双方に有益な方法をとることにした。
「じゃあ、重いアイスを花屋までお願いします。わたし自転車なので自転車で帰ります」
「え?!」
若頭のビックリした声が耳に届いたが、わたしは振り返らずに自転車に乗ってその場を去った。
おかげでアイスを気にせず日中の街中を自転車で颯爽と走り、わたしは少しだけご機嫌を取り戻した。
本店に戻ると、ハーゲンダッツとサイダーが届けられており、社長から説明を求められた。
ありのままを説明すると、
「あの仙道を使いっぱしりにしたのはお前くらいだ。バカタレ」と言われ、社長にも恐れられてるような人なのかと、改めて近づかないことにしようと心に誓った。
親切の下には常に下心あり。
かんたんに心を許して、興味本位で触れてはいけない世界に触れてしまわないよう、鋼鉄の心をもって自分を戒め守らなければいけない。戒めこそ最大の武器。
ところで事務先輩がいない。
どうしたのか?
七十先輩の話しによると、さっき退職したとのことだった。早いな。
触らぬ神に祟りなし。
考えようによってはこの猟奇殺人事件の起きそうな山あいの霧深い村的雰囲気から抜け出せるチャンス。八ツ墓村かひぐらしか。
わたしは社長から2万円を受けとり、七十先輩に声をかけた。
「社長のお使い行ってきます。何か買ってくるものありますか?」
「そうだねぇ、三ツ矢サイダー買ってきてもらっていいかい?」
こうしてわたしは社長の2万円と七十先輩の500円の合計20,500円を持って自転車で15分ほどかかるスーパーまでお使いに行ったのだった。
ハーゲンダッツ、何味を何個買ってくればいいですか?の問いに社長は全種類でもいいし、2万円分買ってこいとの返答だった。
やけ食いでもするつもりかな?
まあ、いいか。人様の色恋に首を突っ込むのは野暮というもの。
痴情のもつれから刃傷沙汰にならなきゃそれでいい。
わたしはスーパーのカートに二つカゴを用意して、先に三ツ矢サイダー2本を買い、つぎにハーゲンダッツを片っ端からカゴに入れた。
会計時、大きなレジ袋2枚と小さなレジ袋1枚を購入し、ハーゲンダッツを大きな袋に、三ツ矢サイダーを小さな袋にと分けていれた。ハーゲンダッツ袋にドライアイスを投入後に、わたしは計3つの袋を持ちスーパーを出ようとした。
「重そうですね」
と、後ろから声をかけられわたしは振り向いた。
「・・・」
組長先生のとこの若頭だった。
「こんにちは」
にこやかに笑む若頭は注目を浴びている。背がでかくて注目を浴びているのか、顔が良くて注目を浴びているのか、どちらだろう。両方か。
「・・覚えていませんか?」
わたしが黙っていたので出たセリフと思われる。
「いえ、覚えていますが・・・」
わたしは首を少しだけ傾げた。
この暑いのにスーツは熱中症になるのではと、わたしはきっちり着込んだ若頭のスーツが気になった。
あ!清涼スーツか。
「・・・が?」
若頭もわたしと同じに首を傾げて聞き返してきた。
「・・お買い物ですか?」
若頭自らスーパーに?
「ええ、そうですね。持ちますよ。重いでしょう?ついでに花屋まで送りましょう」
ニコリと微笑む若頭。
若頭のさりげない微笑みに、隙のない鋭さを感じる。
遠慮しよう。それが一番。
「いえ、ご遠慮しま」
「す」をいう隙間もないくらい早く、若頭はわたしの手からハーゲンダッツを奪いさって、車の後部座席に乗せた。そして、助手席のドアを開けようとしている。
あっけにとられていたわたしは、これではいけないと思い、相手の親切を受け入れつつ、「知らない人の車に乗ってはいけない」という小学生でも知ってる常識を守るためと、双方に有益な方法をとることにした。
「じゃあ、重いアイスを花屋までお願いします。わたし自転車なので自転車で帰ります」
「え?!」
若頭のビックリした声が耳に届いたが、わたしは振り返らずに自転車に乗ってその場を去った。
おかげでアイスを気にせず日中の街中を自転車で颯爽と走り、わたしは少しだけご機嫌を取り戻した。
本店に戻ると、ハーゲンダッツとサイダーが届けられており、社長から説明を求められた。
ありのままを説明すると、
「あの仙道を使いっぱしりにしたのはお前くらいだ。バカタレ」と言われ、社長にも恐れられてるような人なのかと、改めて近づかないことにしようと心に誓った。
親切の下には常に下心あり。
かんたんに心を許して、興味本位で触れてはいけない世界に触れてしまわないよう、鋼鉄の心をもって自分を戒め守らなければいけない。戒めこそ最大の武器。
ところで事務先輩がいない。
どうしたのか?
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