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111. 避難所
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「タクシーに?」
「ああ、プラザの駐車場は使えないだろうからな」
みふゆにとって見慣れた風景を目にし始めた頃に、京司朗はタクシーに乗り換えると言って脇道に入った。あと五分もすれば駅前プラザだった。
国道から脇道に入り、二~三分走った場所に貴之の経営するタクシー会社があった。
道路を水が流れている。側溝から水が溢れている。低い方へ低い方へと流れていく。
車を降りるとタクシー会社の従業員全員が出迎えており、みふゆはびっくりした。
京司朗が来たのだから当然かもしれない。
自分はどう思われているのだろう?
惣領貴之の娘だと知られているんだろうか?
それとも単に京司朗の連れだと思われているのか。
京司朗は「少し待っててくれ」と、事務所らしき場所にみふゆを残してどこかに消えた。
事務所内でも社員三人全員が直立不動でカチンコチンに固まったままだ。みふゆは身の置き場が無く、
「あの・・」と近くの青年に話しかけた。青年は、
「は、はい!いまお茶をお持ちします!!」
と体をギクシャクさせながら給湯室に行った。
みふゆは仕方なしに固まって立ったままのあとの二人に話しかけた。
「あの・・」
「は、はい!何でしょうか!」
「・・・あの・・、わたしにおかまいなくお仕事をどうぞ・・・・電話鳴ってます・・・」
さっきから電話が鳴ってるのに一向に電話に出る気配がなく、みふゆは気をもんでいた。
みふゆの前にお茶が出された。みふゆは「ありがとうございます」と礼をし、
「ここの皆さんは洪水大丈夫だったんですか?」と聞いた。
青年が「は、はい!惣領会長と仙道さんのおかげでなんともなくすみました!ありがとうございました!」
お盆を持ったまま直立不動で答えた。
バターンとドアが開いた。
「いやー、やっと着いたッスよー。冠水道路避けながら走ったから時間がかかるかかる。三十分でいける場所も二時間かかったマジ勘弁ッス・・・あれ?君どこの娘?」
賑やかな男が登場した。
「あの、わたし」
賑やかな男はみふゆの真正面を陣取ってイスに座った。
「へぇ、ポニーテールかわいいね。タクシーのご用命?誰か待ってンの?俺が乗せてってあげるからさ今度遊ばない?」
他の社員が顔面蒼白になっている。
「あ、そうだ。名前なんていうの?俺はねー、矢口友って」
「あの・・」
みふゆは男の頭の上を見ていた。
「え?何何?俺の頭の上に何かあ・・る・・?」
「彼女に用なら俺を通せ」
頭の上に組織No.2、若頭・仙道京司朗。
「え?、え?、え???せ、仙道さんのコレっスか?!」
小指を立ててあわてて立ち上がりみふゆから離れる矢口。
「惣領会長のお嬢さんだ。馬鹿野郎」
「え?会長・・?会長・・・・かい・・???」
「あの・・、みふゆと申します・・」
「も、・・・申し訳ありません!!!どーかどーかどーか会長には、会長には何卒ーーーっ!!!」
矢口が土下座した。
「あの、言いませんから・・・」
とみふゆが言うと、矢口は「女神!!」と頭を上げた。最も女神の横には仁王立ちの仙道京司朗が腕組みをして立っていたのだが。
京司朗とみふゆは、乗ってきた車をタクシー会社に預け、二人はタクシーに乗り換えて駅前プラザに行った。運転手は屋敷に常駐している桐島だった。桐島は月の半分は屋敷に常駐、それ以外はタクシー会社の勤務だった。
駅前プラザには大勢の避難者が集まっていた。
駐車場は予想通り車の置き場が無かった。
車内で過ごしている者も多数だ。
館内に入ると一人の職員が避難してきた人々への対応を行っていた。ロビーや廊下、空いているあらゆる場所に避難者がいた。
異様な雰囲気だった。
みふゆはゴクリと唾をのんだ。
「あの・・、おはようございます。駅前の堀内花壇ですけど、手伝えることってありますか?」
みふゆはロビーで奮闘している女性職員に話しかけた。何度か面識がある女性だった。
「あ!おはようございます!助かります。五階に行ってもらえませんか?朝食の配給がうまくいってないみたいで」
職員もみふゆのことを覚えていた。
職員は藁にもすがる思いの瞳でみふゆと京司朗に頼んだ。プラザ自体は停電してないが、二人は階段を使い五階に昇った。
五階フロアにも多くの避難者がいた。
パーソナルスペースが確保されてる場所にいる人々と、床や廊下に直接座っている人々とに別れていた。
どうやら定員オーバー分の避難者が床や廊下で過ごしているらしい。
怒号が聞こえた。
怒鳴られていたのは花をよく買いにきてくれる年配の女性職員だった。いまにも泣きそうな表情をしている。
何も持たずに着の身着のままで避難所に来た者が朝食を待ちきれず、不満をもらし職員ともめていた。
職員も準備をしていない訳ではなかったが人の手が足りなすぎて遅くなっていたのだ。
「三十分も待ってるんだぞ!備蓄分を持ってくりゃいいだけのことだろうが!」
「申し訳ありません、いま他の階をまわってるのでもう少々お待ち下さい・・!」
職員が怒鳴る中年の男を宥めようと必死だ。中年男性の後ろに二人の男達が同調するように文句を言っている。
「責任者はいったい何をしてるんだ!」
「すぐに呼んでこい!」
「避難者を助けるのがお前らの仕事だろうが!」
「ですから今・・」
女性職員と一方的に怒鳴る男のやりとりを見てられず、みふゆは割り込む形で男に怒鳴り返した。
「待ってくださいと言ってるじゃないですか!」
接客業をしていると、自分の思い通りにならないと理不尽に怒鳴ってくる客と遭遇したりもする。みふゆも何度か経験があった。
「だからいつまで待たせるんだ!!もう九時すぎだぞ!お前も職員ならもっと早く出勤してこい!!」
みふゆを職員と勘違いした男がみふゆに怒鳴った。
「ずいぶん威勢がいいな。それだけ元気があるなら手伝ったらどうだ」
今度は京司朗がみふゆと男の間に立ち、男を鋭く睨み付け見下ろした。
怒鳴りあいと、突然現れた京司朗に、五階フロアがざわついた。背が高く、体格も(顔も)よい京司朗は一気に注目を浴びた。
京司朗の眼光の鋭さに、一緒に文句をつけていた男の一人が「い、いや、我々はただ・・」と引き下がった。
京司朗が何も言わず威圧的に一歩踏み出すと、三人の男は息を呑み、何も言えずにただ後ろにじわじわと下がるだけだった。
「な・・、なんだ、貴様!!ぶ、無礼だぞ!!」
先頭に立って激しく怒鳴っていた中年の男は、京司朗の迫力を恐れるあまり、自分を鼓舞するようにまた怒鳴った。
「ここはホテルじゃない。自分達がお客様だと思ってるなら大間違いだ」
京司朗の声がフロアに響いた。
男は京司朗に諭され顔を赤くした。
「お、お、俺は被災したんだぞ!家が洪水の被害にあったんだぞ!!」
男は反論の余地がなく、悔しげに洪水被害を主張して叫んだ。
「だから何だ」
京司朗の冷ややかな瞳と冷ややかな声が男を黙らせ、フロア内までも萎縮させた。
フロアは物音ひとつない静けさに包まれた。
「職員が被災していないとでも言うのか。被災しても動けるなら自分のことは自分でやるか、集まった人間同士で協力しあうかのどちらかだ」
シンとした静まりかえったフロアで、背の低い小学生くらいの男の子が京司朗に走りよってきた。
「僕、手伝います。僕は持ってきたパンをもう食べたから」
男の子が言った。
京司朗は男の子に笑みを向け、「いい子だ」と頭を一撫でした。
すると立て続けに『手伝う』と、子供達が立ち上って京司朗の元に集まり、あとに大人が続いた。
子供達は京司朗に興味深々だった。
大人なら誰もが臆する仙道京司朗だが、子供には好かれるのか。
みふゆは京司朗の意外な面を目の当たりにした。
子供達の素直な瞳には、京司朗はどんな風に映っているのだろう?
みふゆ自身も、京司朗に対して今までとは違う興味がわいた。
「タクシーに?」
「ああ、プラザの駐車場は使えないだろうからな」
みふゆにとって見慣れた風景を目にし始めた頃に、京司朗はタクシーに乗り換えると言って脇道に入った。あと五分もすれば駅前プラザだった。
国道から脇道に入り、二~三分走った場所に貴之の経営するタクシー会社があった。
道路を水が流れている。側溝から水が溢れている。低い方へ低い方へと流れていく。
車を降りるとタクシー会社の従業員全員が出迎えており、みふゆはびっくりした。
京司朗が来たのだから当然かもしれない。
自分はどう思われているのだろう?
惣領貴之の娘だと知られているんだろうか?
それとも単に京司朗の連れだと思われているのか。
京司朗は「少し待っててくれ」と、事務所らしき場所にみふゆを残してどこかに消えた。
事務所内でも社員三人全員が直立不動でカチンコチンに固まったままだ。みふゆは身の置き場が無く、
「あの・・」と近くの青年に話しかけた。青年は、
「は、はい!いまお茶をお持ちします!!」
と体をギクシャクさせながら給湯室に行った。
みふゆは仕方なしに固まって立ったままのあとの二人に話しかけた。
「あの・・」
「は、はい!何でしょうか!」
「・・・あの・・、わたしにおかまいなくお仕事をどうぞ・・・・電話鳴ってます・・・」
さっきから電話が鳴ってるのに一向に電話に出る気配がなく、みふゆは気をもんでいた。
みふゆの前にお茶が出された。みふゆは「ありがとうございます」と礼をし、
「ここの皆さんは洪水大丈夫だったんですか?」と聞いた。
青年が「は、はい!惣領会長と仙道さんのおかげでなんともなくすみました!ありがとうございました!」
お盆を持ったまま直立不動で答えた。
バターンとドアが開いた。
「いやー、やっと着いたッスよー。冠水道路避けながら走ったから時間がかかるかかる。三十分でいける場所も二時間かかったマジ勘弁ッス・・・あれ?君どこの娘?」
賑やかな男が登場した。
「あの、わたし」
賑やかな男はみふゆの真正面を陣取ってイスに座った。
「へぇ、ポニーテールかわいいね。タクシーのご用命?誰か待ってンの?俺が乗せてってあげるからさ今度遊ばない?」
他の社員が顔面蒼白になっている。
「あ、そうだ。名前なんていうの?俺はねー、矢口友って」
「あの・・」
みふゆは男の頭の上を見ていた。
「え?何何?俺の頭の上に何かあ・・る・・?」
「彼女に用なら俺を通せ」
頭の上に組織No.2、若頭・仙道京司朗。
「え?、え?、え???せ、仙道さんのコレっスか?!」
小指を立ててあわてて立ち上がりみふゆから離れる矢口。
「惣領会長のお嬢さんだ。馬鹿野郎」
「え?会長・・?会長・・・・かい・・???」
「あの・・、みふゆと申します・・」
「も、・・・申し訳ありません!!!どーかどーかどーか会長には、会長には何卒ーーーっ!!!」
矢口が土下座した。
「あの、言いませんから・・・」
とみふゆが言うと、矢口は「女神!!」と頭を上げた。最も女神の横には仁王立ちの仙道京司朗が腕組みをして立っていたのだが。
京司朗とみふゆは、乗ってきた車をタクシー会社に預け、二人はタクシーに乗り換えて駅前プラザに行った。運転手は屋敷に常駐している桐島だった。桐島は月の半分は屋敷に常駐、それ以外はタクシー会社の勤務だった。
駅前プラザには大勢の避難者が集まっていた。
駐車場は予想通り車の置き場が無かった。
車内で過ごしている者も多数だ。
館内に入ると一人の職員が避難してきた人々への対応を行っていた。ロビーや廊下、空いているあらゆる場所に避難者がいた。
異様な雰囲気だった。
みふゆはゴクリと唾をのんだ。
「あの・・、おはようございます。駅前の堀内花壇ですけど、手伝えることってありますか?」
みふゆはロビーで奮闘している女性職員に話しかけた。何度か面識がある女性だった。
「あ!おはようございます!助かります。五階に行ってもらえませんか?朝食の配給がうまくいってないみたいで」
職員もみふゆのことを覚えていた。
職員は藁にもすがる思いの瞳でみふゆと京司朗に頼んだ。プラザ自体は停電してないが、二人は階段を使い五階に昇った。
五階フロアにも多くの避難者がいた。
パーソナルスペースが確保されてる場所にいる人々と、床や廊下に直接座っている人々とに別れていた。
どうやら定員オーバー分の避難者が床や廊下で過ごしているらしい。
怒号が聞こえた。
怒鳴られていたのは花をよく買いにきてくれる年配の女性職員だった。いまにも泣きそうな表情をしている。
何も持たずに着の身着のままで避難所に来た者が朝食を待ちきれず、不満をもらし職員ともめていた。
職員も準備をしていない訳ではなかったが人の手が足りなすぎて遅くなっていたのだ。
「三十分も待ってるんだぞ!備蓄分を持ってくりゃいいだけのことだろうが!」
「申し訳ありません、いま他の階をまわってるのでもう少々お待ち下さい・・!」
職員が怒鳴る中年の男を宥めようと必死だ。中年男性の後ろに二人の男達が同調するように文句を言っている。
「責任者はいったい何をしてるんだ!」
「すぐに呼んでこい!」
「避難者を助けるのがお前らの仕事だろうが!」
「ですから今・・」
女性職員と一方的に怒鳴る男のやりとりを見てられず、みふゆは割り込む形で男に怒鳴り返した。
「待ってくださいと言ってるじゃないですか!」
接客業をしていると、自分の思い通りにならないと理不尽に怒鳴ってくる客と遭遇したりもする。みふゆも何度か経験があった。
「だからいつまで待たせるんだ!!もう九時すぎだぞ!お前も職員ならもっと早く出勤してこい!!」
みふゆを職員と勘違いした男がみふゆに怒鳴った。
「ずいぶん威勢がいいな。それだけ元気があるなら手伝ったらどうだ」
今度は京司朗がみふゆと男の間に立ち、男を鋭く睨み付け見下ろした。
怒鳴りあいと、突然現れた京司朗に、五階フロアがざわついた。背が高く、体格も(顔も)よい京司朗は一気に注目を浴びた。
京司朗の眼光の鋭さに、一緒に文句をつけていた男の一人が「い、いや、我々はただ・・」と引き下がった。
京司朗が何も言わず威圧的に一歩踏み出すと、三人の男は息を呑み、何も言えずにただ後ろにじわじわと下がるだけだった。
「な・・、なんだ、貴様!!ぶ、無礼だぞ!!」
先頭に立って激しく怒鳴っていた中年の男は、京司朗の迫力を恐れるあまり、自分を鼓舞するようにまた怒鳴った。
「ここはホテルじゃない。自分達がお客様だと思ってるなら大間違いだ」
京司朗の声がフロアに響いた。
男は京司朗に諭され顔を赤くした。
「お、お、俺は被災したんだぞ!家が洪水の被害にあったんだぞ!!」
男は反論の余地がなく、悔しげに洪水被害を主張して叫んだ。
「だから何だ」
京司朗の冷ややかな瞳と冷ややかな声が男を黙らせ、フロア内までも萎縮させた。
フロアは物音ひとつない静けさに包まれた。
「職員が被災していないとでも言うのか。被災しても動けるなら自分のことは自分でやるか、集まった人間同士で協力しあうかのどちらかだ」
シンとした静まりかえったフロアで、背の低い小学生くらいの男の子が京司朗に走りよってきた。
「僕、手伝います。僕は持ってきたパンをもう食べたから」
男の子が言った。
京司朗は男の子に笑みを向け、「いい子だ」と頭を一撫でした。
すると立て続けに『手伝う』と、子供達が立ち上って京司朗の元に集まり、あとに大人が続いた。
子供達は京司朗に興味深々だった。
大人なら誰もが臆する仙道京司朗だが、子供には好かれるのか。
みふゆは京司朗の意外な面を目の当たりにした。
子供達の素直な瞳には、京司朗はどんな風に映っているのだろう?
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