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178. 記憶の扉 -3-
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「あ、りんちゃんだ!」
視線が合い、とっさに陰に隠れたが遅かった。名指しされてしまった。堀内にあれほど見つかるなと念押しされたのに見つかってしまった。冬のボーナスは無いかもしれない。
糸川梨理佳は隠れながらうなだれた。
「りんちゃん!どうしたの?かくれんぼ?」
「みふゆ、わかるのか?」
惣領貴之は怪訝な表情でみふゆに聞いた。記憶が戻ったのか。
「うん。りんちゃんだよ。りんちゃん、でてきて!みつかったからかくれんぼはおしまいだよ?」
きまずそうに顔をのぞかせ、糸川梨理佳は様子を伺った。
貴之はみふゆの記憶を確かめようと梨理佳に手招きをした。
梨理佳はおずおずと出てきた。堀内の顔が怖くて見られない。握った手で唇をおさえ、上目遣いでちらちらと堀内健次に視線を向けた。
堀内が無精ヒゲをなで梨理佳を睨んでいる。堀内が怒っている時の仕草だ。梨理佳は冬のボーナスをあきらめた。
「みーちゃん・・」
“みーちゃん先輩”と、梨理佳は呼ぼうとした。
「おとうさん、がっこうのおともだちのりんちゃんだよ」
だが、みふゆは糸川梨理佳に対しても記憶を作り変えた。
梨理佳は学校の友達と紹介され、みふゆの記憶障害が、単純に過去を忘れてるだけとは違う別の何かが起きていると知った。
「がっ・・、学校のお友達のりんちゃんです。みふゆちゃんのお父さん、こんにちは!」
深々とお辞儀をした梨理佳の変わり身の早さは、いろんなキャラクターをコスプレしているコスプレイヤーならではだ。真のコスプレイヤーとは、キャラクターになりきることが必要だ。だからいまはみふゆの学校のお友達というキャラになりきらねばならない。
「お、おお、うちの娘と仲良くしてくれてありがとうな」
貴之も梨理佳にあわせた。
「りんちゃん、がっこうどうしたの?」
梨理佳は車椅子の側にしゃがみ、
「創立記念日でお休みだよ」
と答えた。
「りんちゃん、わたしね、あるけるようになったらがっこういくから、いったらまたなかよくしてね」
みふゆがゆっくりとした口調で話した。
「りんちゃんは学校だけでなくいつだってどこにいたってみーちゃんの仲良しさんだよ」
「うん、ありがとう」
みふゆは梨理佳の頭を撫でた。
「おまじない」
「おまじない?」
「かみなりがりんちゃんにいじわるしないように」
「みーちゃん・・」
洪水を引き起こした雨の日、大きな雷が鳴って梨理佳はみふゆに何度もしがみついた。みふゆはその度に「大丈夫」と、梨理佳を撫でて励ましてくれた。
何かわからない異常な状態にさらされても、みふゆは梨理佳の心配をしてくれている。
梨理佳は泣きそうになった。
「あ、りんちゃんだ!」
視線が合い、とっさに陰に隠れたが遅かった。名指しされてしまった。堀内にあれほど見つかるなと念押しされたのに見つかってしまった。冬のボーナスは無いかもしれない。
糸川梨理佳は隠れながらうなだれた。
「りんちゃん!どうしたの?かくれんぼ?」
「みふゆ、わかるのか?」
惣領貴之は怪訝な表情でみふゆに聞いた。記憶が戻ったのか。
「うん。りんちゃんだよ。りんちゃん、でてきて!みつかったからかくれんぼはおしまいだよ?」
きまずそうに顔をのぞかせ、糸川梨理佳は様子を伺った。
貴之はみふゆの記憶を確かめようと梨理佳に手招きをした。
梨理佳はおずおずと出てきた。堀内の顔が怖くて見られない。握った手で唇をおさえ、上目遣いでちらちらと堀内健次に視線を向けた。
堀内が無精ヒゲをなで梨理佳を睨んでいる。堀内が怒っている時の仕草だ。梨理佳は冬のボーナスをあきらめた。
「みーちゃん・・」
“みーちゃん先輩”と、梨理佳は呼ぼうとした。
「おとうさん、がっこうのおともだちのりんちゃんだよ」
だが、みふゆは糸川梨理佳に対しても記憶を作り変えた。
梨理佳は学校の友達と紹介され、みふゆの記憶障害が、単純に過去を忘れてるだけとは違う別の何かが起きていると知った。
「がっ・・、学校のお友達のりんちゃんです。みふゆちゃんのお父さん、こんにちは!」
深々とお辞儀をした梨理佳の変わり身の早さは、いろんなキャラクターをコスプレしているコスプレイヤーならではだ。真のコスプレイヤーとは、キャラクターになりきることが必要だ。だからいまはみふゆの学校のお友達というキャラになりきらねばならない。
「お、おお、うちの娘と仲良くしてくれてありがとうな」
貴之も梨理佳にあわせた。
「りんちゃん、がっこうどうしたの?」
梨理佳は車椅子の側にしゃがみ、
「創立記念日でお休みだよ」
と答えた。
「りんちゃん、わたしね、あるけるようになったらがっこういくから、いったらまたなかよくしてね」
みふゆがゆっくりとした口調で話した。
「りんちゃんは学校だけでなくいつだってどこにいたってみーちゃんの仲良しさんだよ」
「うん、ありがとう」
みふゆは梨理佳の頭を撫でた。
「おまじない」
「おまじない?」
「かみなりがりんちゃんにいじわるしないように」
「みーちゃん・・」
洪水を引き起こした雨の日、大きな雷が鳴って梨理佳はみふゆに何度もしがみついた。みふゆはその度に「大丈夫」と、梨理佳を撫でて励ましてくれた。
何かわからない異常な状態にさらされても、みふゆは梨理佳の心配をしてくれている。
梨理佳は泣きそうになった。
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