王子さまは二人いる

鳴澤うた

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綺麗なお姉さんまでいました! みんなで朝ごはんです!

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 お父さんたちは食べながら、いろんな話をしてくれた。
 
 アリナ姉さんは、なんと海外でモデルをしているそう。
 わかる! モデルといわれて納得できるスタイルだし、いるだけでキラキラしてるもん。
 
 シオンくんとレフくんは、わたしと同い年。
 しかも、イギリスに留守番している、四歳で男女の双子の兄妹までいるそう。
 
 色々聞きたいことがあるけれど、衝撃的しょうげきてき事実で、わたしの頭はまた渦がグルグル状態に。
 
 一番わたしにとって謎なのは――お父さんは、お母さんとシオンくんとレフくんのお母さんと、同時にお付き合いしてたってこと? なんだけれど。
 
 きっとモテるんだろうけれど、モテても仕方ないんだろうけれど……。
 もう少し、節度せつどがあっていいんじゃないかな……。
 いやいや! 日本人の考え方と違うかもしれないし! なんてグルグル考えてしまう。

「――莉緒、聞いてる?」
「はい!」
 お父さんの問いかけに、慌てて返事するわたし。

「来月から日本で、みんな一緒に暮らそうと思っているんだ」
「そうなんですか?」
「ああ、横浜でいい物件を見つけてね。中古だけれど、しっかりした造りの洋館なんだ。今、リフォームさせている」
「横浜……」
 
 春から通う中学校は市立。なんとか通えそうな距離だ。
「莉緒に聞かずに色々決めてしまったんだけれど、中学もそこから通える学校に決めてしまったんだ」
「――え?」

「『私立リアラ翠ヶ丘学園中等部』という学校なんだ。購入した家から歩いて二、三十分ほど。自転車通学も車での送迎も認められている学校だよ。幼稚園から高校まであってお留守番している双子も、アリナやシオン、レフも通えるし、校風も自由だから、気楽に通えそうだと考えてね」

「えっ? えっ? えっ? で、でも、中学の制服、購入しちゃって……」
 そう、四月からわたしは唯奈ちゃんと伊月さんと同じ、地元の中学校に通うつもりで制服一式を購入していた。

「進学するとお金がかかって仕方ないよ。どうして私が苦労しなきゃいけないんだろう」
 叔母さんがずっと愚痴っていたのを覚えてる。
 思いだして、背中がヒヤリとする。

「で、でも……せっかく買った制服が無駄になるって、叔母さんに怒られる……」
「それを含めて昨夜、お金を渡したんだ。大丈夫、莉緒が気にすることはない」
 お父さんの言葉に、わたしは「はい」と頷く。
 
 けれど、不安はぬぐえない。
 小学校からそのまま持ち上がりのような学校で、みんな顔見知りだ。
 お母さんがいなくなった二年間、あまりいい思い出はないけれど、それでも変わらずわたしと接してくれるクラスメイトもいた。
 
 黙ってうついているわたしに、シオンくんは頬杖をついたままそっけなく言う。
「卒業式には出席すんだろ? ならそこで友達に話して新しい住所、渡せばいいじゃないか」
「……うん」
 
 そう返事したけれど、卒業式の間に住所なんて渡せるかな? でも、渡したってありがた迷惑かもしれない――なんて、うだうだと考えているわたしに、シオンくんがビックリする告白をしてきた。

「俺も卒業式に保護者として参加するから、心配するな」




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