王子さまは二人いる

鳴澤うた

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綺麗なお姉さんまでいました! みんなで朝ごはんです!

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 ホテルなのにダイニングルームみたいな部屋まであって、わたしたちはそこで朝食を食べることになった。
 
 ワゴンに載せられてやってきた朝食は、オムレツ、ハムにカリカリベーコン、ウインナ。
 パンがすごい。何種類あるんだろう?
 
 それから野菜サラダに、ヨーグルトにカットフルーツ。
 飲み物も、コーヒー、紅茶、ミルクにオレンジジュース!
 
 和食のおかずもワゴンに載っている。
 野菜や鮭を混ぜこんだ、綺麗な色のおにぎりに、とろりとしたお粥。
 お新香やひじきに、きんぴらなどの副菜に、温泉卵に卵焼き。海苔に梅干しもある。
 
 朝から豪華!

「莉緒のために日本食も用意してもらったんだ」
「どれも大丈夫です。全部美味しそう!」
「あ、僕、ごはんも食べたい。昨日のおにぎり美味しかった。ミソシルも」
「俺も。日本食あっても全然OK。余裕で食べられる」
 レフくんとシオンくんは、朝からすごい食欲だ。

「わたしはクロワッサンと、ロッゲンブロード。それとカットフルーツとサラダで。あとコンソメスープがいいわ。ドレッシングはオリーブオイルとハーブソルトで。飲み物はオレンジジュースと紅茶でお願い」
 アリナ姉さんはヘルシーだ。……ロッゲンブロードってなんだろうと思ったら色の濃いパン。
 
 給仕の人が注文した食べ物を綺麗にお皿に盛って、目の前に置いてくれる。
 自分でやらなくていいの? いいのかな? とソワソワしてしまう。

「莉緒はなにが食べたい?」
「ええとええと……どうしよう、どれも美味しそうで迷っちゃいます」
「残したら僕らが食べてあげるよ。だから気になったのは全部もらったら?」
「そ、それは申し訳ないです。ええと、わたしもクロワッサンとバターロールで、オムレツとハム。サラダとカットフルーツを少しください」
「飲み物は?」
「ミルクで」
 
 目の前に置かれた朝食が、宝石みたいにキラキラ輝いて見える!
 オムレツもフワフワ。ハムはジューシィ。サラダは新鮮でシャキシャキ。

「莉緒。スープも飲んでみて。ここの美味しいのよ」
 と、一すくいしたスプーンを「あーんして」と、わたしに口を開けてとせがむアリナ姉さん。
 断るのも悪い気がして、わたしは大人しく口を開けて、澄み切った琥珀色のスープを飲む。
 コンソメの味が濃い! 喉が潤ってくる感じ!

「美味しい……」
「でしょ? 莉緒は育ちざかりなんだから、たくさん食べなきゃ」
「……それは姉さんもだろ」
 
 シオンくんのつっこみに、全員が笑った。
 
 こうして心の底から笑うのって久しぶりだ。ご飯もすごく美味しい。
 きっと一人きりで食べる冷たいご飯じゃないから、何倍も美味しく感じるんだ。




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