王子さまは二人いる

鳴澤うた

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家族の秘密は、莉緒にはまだ内緒

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 それからレフくんが、
「どうせなら、みんなでここで寝ない?」
 と提案してきた。
 
 キングサイズのベッドが二つ並んでいる寝室は掃除をしてくれたので、綺麗に整っている。
 昨日はここで、シオンくんとレフくんが寝たそう。
 お父さんとアリナ姉さんは、お洒落な仕切りの向こう側にある、隣の部屋の寝室。
 
 なんと、スイッチを押せば壁が出現するんだって!
 
 実際にやって見せてもらって、大感激するわたし。
 仕切りがグォーンと機械音を出しながら、横に伸びていく。

「うわーすごい !すごい! ハイテク! お金持ちのお家みたいなホテル!」
 
 そこまで言ってはた、と気づいた。
 そうだ、お金持ちなんだよね……。お父さんの一族って。
 いまさらながら、そんな一族の血を引いてるなんて、考えられないわたし。

「なにかの間違いじゃないかなー……」
「莉緒? それでどう? シャワー浴びたら、こっちに集合でいいかな?」
「わ、わたしはそれでかまわないです。あの、アリナ姉さんやシオンくんがよければ……」
「まあ、本当は莉緒と二人でお喋りしながら寝たかったけれど。珍しくレフが提案してくれたし!」
 と、アリナ姉さん。そう言いながらも嬉しそう。

「I agree with that(俺も賛成)」
 シオンくんも、淡々とした言い方で賛成。ここでも英会話を使う……。

「Disbanded for now!」

「な、なんて言ったんですか?」
「和訳すると『とりあえず解散!』かな? 莉緒、部屋に戻ってシャワー浴びちゃおう! それともお風呂にする?」

「お風呂がいいです……」
「じゃあ、一緒に入ろう! 広いから平気よ!」
 と、わたしの背中を押して部屋から出ていく。

「な、慣れてないんで一人ずつでお、お願いします!」
 
 ええ……という顔をされたけれど、まだ二人でお風呂に入る勇気が出ない。
 だって、モデルやってるアリナ姉さんだよ?
 ちょっと不服そうな顔をしたけれど、「まあ、仕方ないか」と納得してくれた。
 
 それからわたしとアリナ姉さんは部屋に戻って、順番にお風呂に入る。
 先にわたしの意見を尊重してくれた、アリナ姉さんに入ってもらった。

 もともと、シャワー派のアリナ姉さんはすぐに出てくる。
「お湯、入れておいてるよ」
 と、しっとりと濡れた金の髪をタオルでぬぐいながら。
 
 それを見て、同じ十五歳の日本人より、アリナ姉さんは大人っぽいなって思った。
 ……わたしは本当に、アリナ姉さんと同じ血を引いているのかな。
 
 とうぜん、母親は違うけれど、あのダンディなお父さんと同じ血を引いている。
 アリナ姉さんとお父さんは、血がつながっていると言えば納得するけれど、わたしとお父さんが親子だって言われたら、きっと周りの人は「????」になっちゃうと思う。

「ほらほら! 入った入った!」
「は、はい!」
 
 そうだ、考えこんでいる場合じゃない。ささっと入って支度しないと!



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