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わたしの卒業式にファミリーが全員集合!?
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そうして――とうとうやってきた、わたしの卒業式。
学校まで距離があるので、早くホテルを出たわたしとシオンくん。
シオンくんはしばらく支配人さんと話して、足早に戻ってくる。
その足早も駆け足以上に速い。
「どうしたんですか?」
「車で送る送らないで揉めた。一時間内で着ける距離だし、いいよって」
「そうですよね。送られたら騒ぎになりそうです」
多分、ホテルまで乗ってきた、あの高級車なんだろうし。
「できるだけ注目をあびずに、無事に式を終わりにしたいです」
「同感」
わたしたちは強く頷き合う。
今日は卒業式なので、チェックのプリーツスカートとブレザー。ネクタイはスカートと同じチェックにした。
靴下はハイソックスで靴はアリナ姉さんと一緒に買った革のローファー。
通う中学の制服を着て卒業式に挑む人もいるけれど、わたしは単純に間にあわなかった。
シオンくんも同じ感じに着こなして、ネクタイを締めている。
電車を乗り継いでバスに乗り、降りた先に今までわたしが通っていた小学校が見えた。
校門は『祝・卒業式』と立て看板があって、「今日、本当に卒業するんだ」という実感がようやく湧いてくる。
「じゃあ、俺は始まるまで、その辺をうろついてるよ」
玄関まで送ってくれたシオンくんはそう言って、足早に去って行った。
他の卒業生たちに、とくに女の子に注目されてたから、恥ずかしかったのもあるんだろうな。
注目されても納得のいく容姿だから。
わたしは、真新しい上履きを履いて自分の教室に入る。
入った瞬間、わたしを見てクラスが静まり返ったけれど、黙って自分の席に着いた。
唯奈ちゃんと別クラスでよかった。
わたしを見ながら、ヒソヒソ声で話してる女子たち。
目を合わせようとしない男子たち。
いつもと変わらない。
卒業式までこんな空気なんだなって、ちょっとため息が出た。
せめて最後は、普通にみんなとお喋りしたかったけれど、叶わないことだと割り切りことにした。
わたし、なんだか強くなってない?
割り切るとか、今まで考えたことなかった。
いつも「仕方ない」だった。
卒業だから?
それとも――頼もしい家族ができたから?
予鈴が鳴って、みんな席に着く。すぐに担任の小林先生が箱を持って入ってきた。
起立して先生に挨拶をする。
小林先生はわたしを見て、ホッとした顔をした。
「みなさん。卒業おめでとう! これから並んで体育館に入りますが、その前にカーネーションを付けてもらいます」
と、先生自らカーネーションを配っていく。安全ピンがついている造花で、『卒業おめでとう』と書かれたリボンが垂れ下がっていた。
先生は生徒一人一人に、声をかけながら渡していた。
わたしの番が近づいてる。ドキドキと胸の鳴る音が痛いほどだ。
とうとうわたしの番になって、先生は「卒業おめでとう」と言いながら、ピンを刺してくれる。
「荷物、まだ残ってるけれど、持って帰れそう?」
「身内が来てくれているので、大丈夫だと思います」
「よかった。……ごめんなさい。先生、役に立たなかったね……」
後悔の念が入った謝罪に、わたしは首を横に振る。
先生は教師になって三年目で六年生の担任になった。
卒業の年の学年を持つプレッシャーを背負いながら毎日、頑張ってたと思う。
そこに複雑な環境のわたしの担任なんて、余計にしんどかっただろう。
「一年間、ありがとうございました」
わたしは、先生に笑顔でお辞儀をした。
学校まで距離があるので、早くホテルを出たわたしとシオンくん。
シオンくんはしばらく支配人さんと話して、足早に戻ってくる。
その足早も駆け足以上に速い。
「どうしたんですか?」
「車で送る送らないで揉めた。一時間内で着ける距離だし、いいよって」
「そうですよね。送られたら騒ぎになりそうです」
多分、ホテルまで乗ってきた、あの高級車なんだろうし。
「できるだけ注目をあびずに、無事に式を終わりにしたいです」
「同感」
わたしたちは強く頷き合う。
今日は卒業式なので、チェックのプリーツスカートとブレザー。ネクタイはスカートと同じチェックにした。
靴下はハイソックスで靴はアリナ姉さんと一緒に買った革のローファー。
通う中学の制服を着て卒業式に挑む人もいるけれど、わたしは単純に間にあわなかった。
シオンくんも同じ感じに着こなして、ネクタイを締めている。
電車を乗り継いでバスに乗り、降りた先に今までわたしが通っていた小学校が見えた。
校門は『祝・卒業式』と立て看板があって、「今日、本当に卒業するんだ」という実感がようやく湧いてくる。
「じゃあ、俺は始まるまで、その辺をうろついてるよ」
玄関まで送ってくれたシオンくんはそう言って、足早に去って行った。
他の卒業生たちに、とくに女の子に注目されてたから、恥ずかしかったのもあるんだろうな。
注目されても納得のいく容姿だから。
わたしは、真新しい上履きを履いて自分の教室に入る。
入った瞬間、わたしを見てクラスが静まり返ったけれど、黙って自分の席に着いた。
唯奈ちゃんと別クラスでよかった。
わたしを見ながら、ヒソヒソ声で話してる女子たち。
目を合わせようとしない男子たち。
いつもと変わらない。
卒業式までこんな空気なんだなって、ちょっとため息が出た。
せめて最後は、普通にみんなとお喋りしたかったけれど、叶わないことだと割り切りことにした。
わたし、なんだか強くなってない?
割り切るとか、今まで考えたことなかった。
いつも「仕方ない」だった。
卒業だから?
それとも――頼もしい家族ができたから?
予鈴が鳴って、みんな席に着く。すぐに担任の小林先生が箱を持って入ってきた。
起立して先生に挨拶をする。
小林先生はわたしを見て、ホッとした顔をした。
「みなさん。卒業おめでとう! これから並んで体育館に入りますが、その前にカーネーションを付けてもらいます」
と、先生自らカーネーションを配っていく。安全ピンがついている造花で、『卒業おめでとう』と書かれたリボンが垂れ下がっていた。
先生は生徒一人一人に、声をかけながら渡していた。
わたしの番が近づいてる。ドキドキと胸の鳴る音が痛いほどだ。
とうとうわたしの番になって、先生は「卒業おめでとう」と言いながら、ピンを刺してくれる。
「荷物、まだ残ってるけれど、持って帰れそう?」
「身内が来てくれているので、大丈夫だと思います」
「よかった。……ごめんなさい。先生、役に立たなかったね……」
後悔の念が入った謝罪に、わたしは首を横に振る。
先生は教師になって三年目で六年生の担任になった。
卒業の年の学年を持つプレッシャーを背負いながら毎日、頑張ってたと思う。
そこに複雑な環境のわたしの担任なんて、余計にしんどかっただろう。
「一年間、ありがとうございました」
わたしは、先生に笑顔でお辞儀をした。
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