王子さまは二人いる

鳴澤うた

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わたしの卒業式にファミリーが全員集合!?

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 卒業式が始まった。わたしはクラスの女子の中で一番背が高いので、最後だ。
 
 保護者たちの拍手の中、所定の席に座る。
 シオンくんは? 
 たくさんの保護者でわからなかったけれど、どこかにいて、わたしを見守ってくれていると思うと嬉しかった。
 
 ふいに列に並んで行進している唯奈ちゃんと目があう。唯奈ちゃんは隣のクラスだ。
 わたしを目があった瞬間に、サッと逸らされた。――ちょっとした変化。
 
 いつもは、どこか馬鹿にしたような意地悪そうな顔でわたしを見つめたけれど、「会っちゃいけない人」に出会ってしまったように、どこか怯えているようにも感じた。

『縁を切れ』という言葉を思い出す。
 わたしと関わるとまずいから、なるべく視界に入らないようにしているのかな?
 
 唯奈ちゃんは、春から通う近所の中学校の制服じゃなくて、この日のために購入したような、ワンピースを着ていた。
 
 わたしがいないほうが、きっと叔母さんの家庭は平和に暮らせる。いや、もう暮らしてるだろうな。
 そう想いを馳せても、わたしの心は痛むことはなかった。
 
 そっと胸に手をあてる。
 ――うん。だってわたしにも、素敵な家族ができたんだもん。
 
 哀しさや虚しさを何百倍、ううん、何万倍も上回る幸福感が、わたしを包んでいる。
 
 ――大丈夫。うん、大丈夫!
 
 わたしは笑顔で壇上を見上げた。校長先生が声をあげる。

「これから、第四十一回、卒業式を始めます」

 一人ひとり名前を呼ばれて、卒業証書をもらっていく。
 卒業式の練習に参加しなかったけれど、先に渡されていく生徒を習ってどうにかこなした。
 校歌とリクエストした『六年生たちが卒業式に歌いたい曲』を、みんなで歌って閉会。
 
 体育館から出ると、みんなバラバラに散っていく。
 仲のいい友達と卒業を祝う人たち。
 保護者と合流して喜びに泣く人たち。様々だ。
 
 わたしはシオンくんを探す。

「莉緒」
 と後ろから声をかけてきた人がいた。知っている声にわたしは振り返る。

「シオンくん………………と?????」




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