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衝撃(しょうげき)の事実
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しおりを挟む「じゃあ、お父さんは叔父様?」
「お父さんと呼んでくれてたのに、ガッカリさせてすまない」
深々と頭を下げられ、わたしはブンブンと首を横に振る。
「いえ、そのなんかホッとしたというか……。だってシオンくんたちのお母さんがいるのに、わたしのお母さんと浮気して……って、モヤモヤしていた部分があったので。そうじゃなくてよかったです」
「そうか。そうだったね。そこまで考えてなかったよ。かえって変な心配させてしまった」
「じゃあ、エミルくんとレナちゃんは?」
「この子たちもそうなんだ。両親が亡くなって私が引き取った」
じゃあ、お父さん――もとの呼びかたに戻って、オジサマの子供はシオンくんとレフくんだけ!?
「そうなんですね……」
ちょっと放心したわたしの手を、アリナ姉さんがそっと握握ってきた。
触れるのが怖いけれど、でも、勇気をだして手を触れたような、そんな。
「寄せ集めの家族だけれど……莉緒はそういうの、嫌?」
アリナ姉さんの声が少し震えている。常夏の海のような色の目は、波打つように揺れていた。
わたしは、みんなに視線を移す。みんな不安そうにわたしを見つめていた。
わたしは――
お父さんとシオンくんは狼のまま服を着ているけれど、人のときのように二足歩行ができてお喋りもできる。
足を組んでソファに座っているお父さんや、窓際にいるシオンくんの絵面が……なんかすごい。
もちろん、耳と尻尾だけ狼のアリナ姉さんとレフくん。子狼のエミルくんとレナちゃんは、じゃれ合っていて、可愛いを通り越した可愛さだ。
ファンタジー映画の世界に入った気分で、ソワソワしてしまう。
「……確かに驚きました。けれど、不思議に怖くないんです。それにぜんぜん、嫌じゃないです」
わたしは、アリア姉さんの手をしっかりと握り返す。
「わたしが、オジサマのお兄さんアレクシスとお母さんの子供なら、わたしだって狼男の血を引いているんですよね? だからなのか、なんだかワクワクしてるんです。こんなワクワクって初めてで、飛び跳ねたい気分です! これが狼男の血筋なんでしょうか?」
そう、わたし、なんだかウズウズしてる。
狼に変身しているわけでもないし、耳や尻尾が出てきてるわけじゃない。
けれど。すごく体が高揚してるっていうのかな?
お月様を見ると元気になるのって、わたしの狼男の血だったんだ!
「――莉緒! 大好きよ!」
アリナ姉さんに抱き着かれて、わたしも抱きしめ返す。
「わたしもアリナ姉さんのこと、大好きです!」
「あたしも~抱っこ!」
「ぼくも~!」
子狼姿のエミルくんとレナちゃんが、文字通りピョーンと、飛び込んできた。
「あああん、もう! 二人とも可愛い!」
アリナ姉さんとわたしは、エミルくんとレナちゃんを抱きしめる。
そんなわたしたちを、オジサマにシオンくんとレフくんは、ホッとしたように笑って見つめていた。
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