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窮鼠猫を噛む
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北を大国『チクヨヘヌ』に。東を大国『ブヨ』に。西を大国『ロクノル』に。南を大国『ニニチ』に囲まれている国は何処だ?
勿論、小国『ズネヒヤ』だろう。この国は世間一般からは、最も滅ぶ可能性が高い国と呼ばれている。
なぜか?言わずもがな、分かることでしょう。
嘗て隣接する小国たちをまとめていたこの国も、今や、隣接する大国たちに脅かされている。
よく「鶏口となるとも牛後となることなかれ」と言われるが 、それはもうこの国には無理のようだ。
そんなとき、時のズネヒヤ宰相の推薦のもと、一人の男が外務大臣に任命された。その名もシュー。彼は外交官の家に育ち、幼い頃から外交の英才教育を受けてきた。まさに、外交のプロとは彼のことを指すのだろう。
彼は早速、今、ズネヒヤが置かれている状況を数名の側近たちと整理しはじめた。
「まず我が国は、周知のように大国に囲まれ、その国々から従属するように促されている。これを如何せん。」シューは腕を組み、目の前に広げた大きな地図を見た。
側近の一人はこう言う。「温厚な国民性を持つ南のニニチはどうでしょう。きっと、待遇も良いでしょう。」シューはこの意見に頷く。
また、ある側近はこう言った。「やはり、避けておきたいのは東のブヨでしょう。あの国は今でも奴隷制度を続けております。我が国が従属するとなるとどうなるか、目に見えております。」シューはまた頷く。
さらに出た意見には、「今一番強いのは、北のチクヨヘヌだ。これは悩むことではありません。」や「西のロクノルは経済的にも豊かです。やはり、優先させるべきは経済でしょう。」などあり、意見がバラバラであった。
「諸君!有意義な議論をありがとう。」シューは側近たちが静かになりだすと話はじめた。「まず、北のチクヨヘヌは確かに今一番この世界の覇権を握るのに近い国である。また、奴隷制度を続ける東のブヨは避けるべきだろう。西のロクノルの経済力も無視できないし、南のニニチも同じだ。」今まで話された意見をまとめるシュー。声色を変えて続けた。「そこでだな、こんなことを思い付いた。」側近たちはなんだなんだと耳を傾ける。
「本当にそんなことが可能なんですか?」シューの言葉を聞いた側近たちは不安そうな顔をしながら質問した。
シューは胸を張って答えた。「当たり前だ。私は外交のプロだぞ。」
数十年が経った。宰相の席につく老人は、じっと新しい世界地図を見つめていた。
「まさか、本当に実現するなんて。流石です、宰相閣下。」側近である中年の男は目を湿らせていた。
今、老人が見る世界地図は正式には世界地図ではない。ズネヒヤの全国地図である。
嘗て、ズネヒヤを囲っていた大国はどこへ行ったのか?と疑問が湧いてくることだろう。
北の大国チクヨヘヌはシューが外務大臣の座に就いた翌年、東西南の連合軍によって滅ぼされた。その時、ズネヒヤはチクヨヘヌの領土を一部得た。
次に南の大国ニニチが不当な理由で東西連合軍から攻められ滅亡。この時もズネヒヤはニニチの領土を一部得ている。
さらに、奴隷制度を悪として東のブヨは西のロクノルとズネヒヤの連合軍によって攻め滅ぼされた。この時点で、ズネヒヤはロクノルと同規模の大国に成り上がっていた。
しばらくすると、ロクノルは突然ズネヒヤに宣戦布告をした。ロクノルは持ち前の経済力を奮って使い、他国と同盟を結んだ。しかし、それは無駄であったのだ。ズネヒヤが先にしかも、秘密裏に同盟を結んでいた。この事が分かったロクノルは孤立、そして降伏し、ズネヒヤへ従属した。
これはかなり前の話。チクヨヘヌの武力に、ロクノルの経済力を吸収したズネヒヤはあっという間に、近隣国を支配。そして、今に至るのだ。
宰相となった老人は側近たちの方を見てこう言った。
「言ったであろう。私は外交のプロだ、と。」
勿論、小国『ズネヒヤ』だろう。この国は世間一般からは、最も滅ぶ可能性が高い国と呼ばれている。
なぜか?言わずもがな、分かることでしょう。
嘗て隣接する小国たちをまとめていたこの国も、今や、隣接する大国たちに脅かされている。
よく「鶏口となるとも牛後となることなかれ」と言われるが 、それはもうこの国には無理のようだ。
そんなとき、時のズネヒヤ宰相の推薦のもと、一人の男が外務大臣に任命された。その名もシュー。彼は外交官の家に育ち、幼い頃から外交の英才教育を受けてきた。まさに、外交のプロとは彼のことを指すのだろう。
彼は早速、今、ズネヒヤが置かれている状況を数名の側近たちと整理しはじめた。
「まず我が国は、周知のように大国に囲まれ、その国々から従属するように促されている。これを如何せん。」シューは腕を組み、目の前に広げた大きな地図を見た。
側近の一人はこう言う。「温厚な国民性を持つ南のニニチはどうでしょう。きっと、待遇も良いでしょう。」シューはこの意見に頷く。
また、ある側近はこう言った。「やはり、避けておきたいのは東のブヨでしょう。あの国は今でも奴隷制度を続けております。我が国が従属するとなるとどうなるか、目に見えております。」シューはまた頷く。
さらに出た意見には、「今一番強いのは、北のチクヨヘヌだ。これは悩むことではありません。」や「西のロクノルは経済的にも豊かです。やはり、優先させるべきは経済でしょう。」などあり、意見がバラバラであった。
「諸君!有意義な議論をありがとう。」シューは側近たちが静かになりだすと話はじめた。「まず、北のチクヨヘヌは確かに今一番この世界の覇権を握るのに近い国である。また、奴隷制度を続ける東のブヨは避けるべきだろう。西のロクノルの経済力も無視できないし、南のニニチも同じだ。」今まで話された意見をまとめるシュー。声色を変えて続けた。「そこでだな、こんなことを思い付いた。」側近たちはなんだなんだと耳を傾ける。
「本当にそんなことが可能なんですか?」シューの言葉を聞いた側近たちは不安そうな顔をしながら質問した。
シューは胸を張って答えた。「当たり前だ。私は外交のプロだぞ。」
数十年が経った。宰相の席につく老人は、じっと新しい世界地図を見つめていた。
「まさか、本当に実現するなんて。流石です、宰相閣下。」側近である中年の男は目を湿らせていた。
今、老人が見る世界地図は正式には世界地図ではない。ズネヒヤの全国地図である。
嘗て、ズネヒヤを囲っていた大国はどこへ行ったのか?と疑問が湧いてくることだろう。
北の大国チクヨヘヌはシューが外務大臣の座に就いた翌年、東西南の連合軍によって滅ぼされた。その時、ズネヒヤはチクヨヘヌの領土を一部得た。
次に南の大国ニニチが不当な理由で東西連合軍から攻められ滅亡。この時もズネヒヤはニニチの領土を一部得ている。
さらに、奴隷制度を悪として東のブヨは西のロクノルとズネヒヤの連合軍によって攻め滅ぼされた。この時点で、ズネヒヤはロクノルと同規模の大国に成り上がっていた。
しばらくすると、ロクノルは突然ズネヒヤに宣戦布告をした。ロクノルは持ち前の経済力を奮って使い、他国と同盟を結んだ。しかし、それは無駄であったのだ。ズネヒヤが先にしかも、秘密裏に同盟を結んでいた。この事が分かったロクノルは孤立、そして降伏し、ズネヒヤへ従属した。
これはかなり前の話。チクヨヘヌの武力に、ロクノルの経済力を吸収したズネヒヤはあっという間に、近隣国を支配。そして、今に至るのだ。
宰相となった老人は側近たちの方を見てこう言った。
「言ったであろう。私は外交のプロだ、と。」
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