異世界トリップして、双子の女神様とお菓子&料理をつくることになりました~箱庭世界で女神様と妖精の国を作ろう~

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第一章 初めての妖精

課題の締め切り

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 何かを作って欲しいと言われた僕だけれど、

「どうしてそんなに急いでいるのですか?」

 と聞いてみた。
 何を作るのか先に調べてきた方が良いと僕は思ったから。
 すると銀髪のスノウが、

「実は女神として世界を創造する課題の締め切りが近づいておりまして」

 困ったような恥ずかしそうな顔でスノウが言う。
 それに水色の髪のレインが、

「ただどうしても私達だけではうまくいかなくて。そのため、お力を貸していただきたくて、蓮様をお呼びしたのです」
「そうなんだ……じゃあ、二人は何か食べたいものがあるのかな?」

 僕がそう問いかけると、レインとスノウは顔を見合わせてから首を振り、銀髪のスノウが、

「ごめんなさい、思いつかないです」
「そうなんだ。じゃあまずは、食材を見せてもらえるかな?」
「分かりました、こっちです」

 そういって僕は、スノウとレインに案内されて、食材の取れるこの世界の“庭”を見に行く。
 新緑と木漏れ日が美しい土の道を僕たちは歩いていく。
 白い花などが咲いた、穏やかな庭だ。

 ここと食材の採れる“庭”はどのように違うのだろうと思っているとそこで、木で作られた柵が見える。
 簡易的な、僕の片腕程度の長さの細い丸太をひもで縛って作ったもののようだ。
 ただ、それよりも気になるものがある。

 その柵を越えた先の木々は、まるで紅葉したかのように赤や黄色に色づいているのだ。
 その不思議な光景に僕は疑問を覚えているとそこで水色の髪のレインが、

「食材というと、まずは実り豊かな秋がいいでしょうか」
「秋?」

 不思議に思って聞くと、それに銀色の髪のレインが、

「ええ、この世界は春夏秋冬の季節が、この屋敷の周りに配置されているのです」

 そう説明してくれた。
 どうやら僕のいたあの庭は、“庭”と呼ばれる四季の季節を現した世界と繋がっているらしい。
 そこで今度は銀髪のスノウが、

「また、後四つほどは新しい世界が作れるのです」
「そうなんだ、でも秋だとこの格好は寒いかな?」

 僕が自分の服装を見てそう聞くと、二人の女神様は顔を見合わせてから小さく笑い、次に水色の髪のレインが、

「大丈夫ですよ、私たちの加護がありますから」

 そういって楽しそうにくすくす笑われてしまう。
 しかもすぐに銀色の髪のスノウが、

「ちなみに加護の影響で、蓮様の目は今は緑色ですよ。この世界のものが“見やすい”ようにしている関係もありますが」
「ええ! あとで鏡を見よう……」

 そんな話をしていると開けた場所にやってきていて、そこで、僕たちの前にオレンジ色の大きな何かが見えてきた。
 否、僕はあまり考えたくなったのかもしれない。
 そう、僕の目の前にあったのは……僕の身長数倍はあるような大きなニンジンだったのだ。

「あの、これは……」

 戸惑う僕。
 しかも目の前でニンジンの一本が、小さく振動したかと思うと空高く昇っていく。
 なんだ……これは。

 混乱する僕に水色の髪のレインが答える。

「“ロケットニンジン”です」
「……え?」

 そこで目の前にぱらぱらと、僕の知っているニンジンが大量に降ってくる。
 どうやら先ほどの巨大ニンジンから落ちてきたようだ。
 もう何が何だかと僕が凍り付いていると水色の髪のレインが落ち着いたように、

「熟すと空に打ちあがって二つに割れて種を地上にまくのです。この種を食べるんですよ?」
「僕の知っているニンジンと違う!」

 指さされたそれに僕はつい叫んでしまう。
 それに水色髪のレインが、

「異世界だからこんなニンジンもあるんです。でもちょうど熟したものがあってよかったですね。これを使った料理かお菓子はいかがですか?」

 そう僕は聞かれてしまった。
 果たしてこれはニンジンと言っていいのかと思ったけれど、

「僕の世界のニンジンと同じものだと見ていいのかな?」

 それに二人の女神様は頷くので、僕はその種? であるニンジンを、普通に調理することにした。
 異世界であるし、僕が呼ばれた理由は、料理かお菓子を作って欲しいという理由だったから。
 だから僕は、

「それで屋敷にはほかにどんな材料があるのですか?」
「小麦粉、卵、砂糖、油、バター、ベーキングパウダーを少量づつ用意しておきました」

 水色の髪のレインがそう僕に説明してくれる。
 そうなってくると後は……と僕が思って、

「じゃあニンジンケーキが作れるね。ケーキ用の型はあるかな? あと、できればシナモンとクローブがあると嬉しいけれど」
「ありますね」

 銀髪のスノウがそう答える。
 材料は一通りそろっているようだった。
 こうして僕は、ニンジンケーキを作ることにしたのだった。
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